ちょっとスペイン語-18-(No poner huevo en casa)-(ずっと)家を空けている、家に居ない

卵(Huevo)を使った言葉いろいろあります(写真: 筆者撮影)

ここでは、ちょっとしたスペイン語の言い回しや、ことわざ、話し言葉など、辞書には載っていない単語も含めて紹介していきます。スペイン語を勉強している方には言葉の幅が広がるお手伝いができればいいなと、スペイン語には興味ないという方には雑学として楽しんでいただければいいなと思っています。

No poner huevo en casa(ずっと)家を空けている、家に居ない

先日、スペイン人の友人とおしゃべりしていたら、次のような言葉が友人の口から聞かれました。

Esta mañana he ido a trabajar, luego por la tarde he ido a hacer las preparaciones del concierto que estamos organizando hasta que he ido al ensayo. Mira qué hora es ya, no he puesto huevo en casa hoy.

朝から仕事に行って、午後は今計画中のコンサートの準備をコンサートの練習に行くまでやってたの。ほら、もうこんな時間よ。今日はずっと家を空けっぱなしだったわ。

スペインに語学留学で来て、結婚してからスペインに住んで、もうかれこれ30年近くになりますが、この表現は初めて聞いたので、思わず、「えっ?ウエボ (huevo=卵) がどうしたって?」と聞いてしまいました。(笑) 友人も大笑いしながらこの文章の意味を教えてくれ、基本的には否定語の「No」と一緒に使われる表現だとか。

「huevo」は卵、「casa」は家のことで、「poner un huevo」で「卵を産む」という意味があります。直訳すると、「No poner huevo en casa」は、「家で卵を産まない」ということ。ひいては、「ずっと家に居ない」という意味になるようです。

家に帰ってから早速、スペイン王立アカデミー編纂の西西辞典(Real Academia Española)でこの表現を探してみましたが、残念ながら載っていませんでした。いわゆる話し言葉(coloquial)でのみ使われている表現なのでしょう。辞書に載っていないとなると、ますます希少価値なる表現を手に入れたような気になり、今からいつこの表現を実際に使おうかとワクワクしながら待ち構えています。(笑) 

ロマネスクへのいざない (8)- カスティーリャ・イ・レオン州-ブルゴス県(5) – ハラミージョ・デ・ラ・フエンテの聖母被昇天教会 (Iglesia de la Asunción de Nuestra Señora en Jaramillo de la Fuente)

ハラミーリョ・デ・ラ・フエンテの聖母被昇天教は、調和のとれた気品あるロマネスク建築の一例だ(写真:アルベルト・F・メダルデ)

ハラミージョ・デ・ラ・フエンテという村に着き、聖母被昇天教会(Iglesia de la Asunción de Nuestra Señora-ラ・アスンシオン・デ・ヌエストラ・セニョーラ教会)を見たとき、青い空と前庭の緑の芝生、そして太陽の光を浴びた黄金色の石と赤い屋根がとても素敵な色のコントラストをなしていて目を奪われた。とても調和のとれた美しいロマネスク様式の教会だ。

ちょうどスペインではお食事時間の午後2時半ごろに着いたので、殆ど村には人がいなかったが、一人おじいさんが教会の前を通ったので、「教会には入れますか?」と尋ねると、「あー、今は昼ご飯の時間なので4時以降だったら教会の近くに住む神父に頼めるよ。」と教えてくれた。そして、教会を見上げながら、「わしらの教会はとっても美しいだろう?」と誇らしげに言っていたのが印象的だった。こんな小さな村に、ロマネスク様式の宝物のような教会があることに本当に驚きを感じた。

スペインの文化財

ハラミージョ・デ・ラ・フエンテ村の聖母被昇天教会に関する最古の記録は982年まで遡り、このブログでも紹介したことのあるサン・ペドロ・デ・アルランサ修道院(Monasterio de San Pedro de Alranza)の管轄範囲にあったことが、約100年後の1119年にウラカ女王自らが確認している。(https://www.romanicodigital.com/sites/default/files/pdfs/files/burgos_JARAMILLO_DE_LA_FUENTE.pdf より)

サン・ペドロ・デ・アルランサ修道院(Monasterio de San Pedro de Alranza)について興味のある方はこちらをどうぞ。

約1000年の時を経た1991年に、スペインの文化財として歴史的・芸術的モニュメント(Bien de Interés Cultural)に指定された。この辺りには、ブルゴス地方にあるシエラ・デ・ラ・デマンダ(Sierra de la Demanda)と呼ばれる山脈全地域に存在していた「山の学校 (Escuela serrana)」と呼ばれたロマネスク建築群があるが、その中でもハラミーリョ・デ・ラ・フエンテの聖母被昇天教会は、特に気品があり興味深いロマネスク建築の一例として知られている。

裏側に回って見る鐘楼(写真:アルベルト・F・メダルデ)

柱廊玄関(La galería porticada)

ガレリア・ポルティカーダ(Galería porticada)と呼ばれる柱廊のある玄関は、計7つの半円形アーチで構成され、左側(東側)は2つのアーチ、右側(西側)には4つのアーチがあり、左右対称ではないが不思議ととても調和がとれている。

ガレリア・ポルティカーダ(Galería porticada)(写真:アルベルト・F・メダルデ)

この「7つ」のアーチの数字の「7」には、初期キリスト教における7つの主要教会として、新約聖書ヨハネの黙示録の中で言及されている教会(エフェソス、スミルナ、ペルガモン、ティアティラ、サルデス、フィラデルフィア、ラオディキア)を指し、完全な数を表している。(「Rutas Romanicas en Castilla y León/2 (provincia de Burgos) (カスティージャ・イ・レオン州のロマネスク・ルート 2 ブルゴス県編)」Luis María de Lojendio(ルイス・マリア・デ・ロヘンディオ)著, Abundio Rodriguez(アブンディオ・ロドリゲス)著、 Ediciones Encuentro, S.A. (エンクエントロ出版社) より参照)

「7」という数字には、キリスト教の中で「完全、完璧に終わる」という意味が込められている。神はこの世界を「7日」で創造した(「7日」で完成した)。キリスト教には、洗礼、聖体、堅信、告解、病者の塗油、叙階、婚姻と呼ばれる「7つ」の秘跡がある。これらの「7」の数字のシンボルとして「完成、完全」などの意味を含んでいるのである。(「Iconografía y Simbolismo Románico (ロマネスクの図像とシンボリズム)」より。David de la Garma Ramírez (ダビッド・デ・ラ・ガルマ・ラミレス)著、Arteguias(アルテギアス)発行)

これら7つの各アーチには2本の柱がそれぞれあり、その柱頭には興味深い彫り物が施されている。いくつか見てみよう。

教会に向かって左側(東側)には、まるで2つの肖像画のように頭部が描かれているが、一つは巻き毛の人、もう一つは怪物のような顔が見える

二つの頭部の髪の毛部分の細かな彫りに注目(写真:アルベルト・F・メダルデ)

次の柱頭には、ギリシャ神話に出てくるお馴染みのケンタウロス(半人半獣の種族)とハイピュイア(女面鳥身の生物)が見える。

ケンタウロス(半人半獣の種族)とハイピュイア(女面鳥身の伝説の生物)(写真:アルベルト・F・メダルデ)

右側(西側)のアーチに目を向けると、王と王妃の頭が見える。王の顎髭のカールした描写や王妃の冠の細かい模様は素晴らしい

王と王妃の頭(写真:アルベルト・F・メダルデ)

その隣の柱頭には、図案化された植物の模様が見られる。

図案化された植物(写真:アルベルト・F・メダルデ)

鐘楼(La torre)

3層から成る鐘楼(写真:アルベルト・F・メダルデ)

角形の鐘楼は3層から成る。下から2層目と3層目に半円形の大きなアーチがあり、そのアーチの中に同じようには半円形の小さな双子型のアーチがある。このタイプの鐘楼はハラミージョ・デ・ラ・フエンテ村のこの教会だけではなく、近隣の町のいくつかの教会でも繰り返し用いられているタイプの鐘楼である。(Arteguiaのウエブサイト「Iglesia de Jaramillo de la Fuente 」より )

後陣またはアプス(El ábside)

愛嬌のある生き物たちや神話の生き物たち(写真:アルベルト・F・メダルデ)

後陣またはアプス(ábside)と呼ばれる部分の中央には、細長い採光窓がある。上の写真で見てもらえるが、半円形のアーチの右上には四足を持つ動物と左上には鳥が描かれていて、二つとも愛嬌のある姿である。また、2本の柱頭には、素人目にもはっきりと、ハイピュイア(女面鳥身の伝説上の生物)とグリフォン(鷲の翼と上半身、ライオンの下半身をもつ伝説上の生物)の姿を確認することができる。質の高い出来と石材が周りの部分と異なることから、この教会の聖堂や身廊の他の部分を手がけていた工房とは別の工房で作られたと思われる。(Arteguiaのウエブサイト「Iglesia de Jaramillo de la Fuente 」より )

見れば見るほど面白いモチーフ(写真:アルベルト・F・メダルデ)

後陣またはアプス(ábside)の装飾には、ヤギ、熊等の動物や、読書する僧、天を見上げる二人の男性、アクロバット(?)をする男性または恥部を露出している(?)男性等、好奇心を掻き立てられるモチーフがある。

出入口(La puerta

教会の出入口(写真:アルベルト・F・メダルデ)

柱廊玄関(La galería porticada)を入ると、教会への出入口がある。柱廊玄関(La galería porticada)の庇によって雨風等から守られたためか12世紀の教会としては保存状態が良く、多彩色で装飾された痕跡も見て取られる。そして、5つの半円形のアーチボルト、左右2本ずつ丸い柱とその上に柱頭があり、柱頭には下の写真のように興味深い装飾が施されている。

向かって左側から見てみよう。二股に分かれた尾鰭を持つ人魚。次は、両手を膝の上に合わせて両側からライオンに襲われている人。右側の柱では、旧約聖書の士師記の中で語られる怪力の持ち主サムソンを題材とした「ライオンと戦うサムソン」。そして、最も右側にある柱頭には、後脚で立つライオンが描かれている。

ロマネスクによくみられる二股に分かれた尾鰭を持つ人魚(写真:アルベルト・F・メダルデ)
両肩をライオンから嚙みつかれている人(写真:アルベルト・F・メダルデ)
ロマネスク彫刻に特に好まれて描かれたライオンと戦うサムソン(写真:アルベルト・F・メダルデ)
後脚で立つライオン(写真:アルベルト・F・メダルデ)

最後に

今回は、時間の都合で教会の中に入ることはできなかったので、帰ってきてこの教会の内部についても調べてみたが、ハラミージョ・デ・ラ・フエンテ村の聖母被昇天教会の見どころは外観にあることが分かった。

こちらの動画に教会の中が少し見える。教会内部は、後期ゴシック様式だという。

それにしても、ロマネスク建築の装飾のモチーフは面白く、飽きさせない。旧約聖書に出てくる場面を装飾にしたものは、識字率が極端に低かった当時、教会へ訪れる信者たちへビジュアルで理解を助けていただろうということはよくわかるが、何故、アクロバットだの、ライオンから嚙まれている人だのが教会の出入り口などのモチーフに使われたのか理解に苦しむ。と同時に、だからロマネスクの教会を訪れるのはとても楽しく、笑ってしまうモチーフ探しをやめられない

別の機会に、ロマネスク装飾のモチーフについても紹介しよう。

参考

ここで紹介したハラミージョ・デ・ラ・フエンテの聖母被昇天教会 (Iglesia de la Asunción de Nuestra Señora en Jaramillo de la Fuente)は、ブルゴス県のロマネスクを訪ねたルートの中の一つです。こちらのルートを知りたい方はこちらを参考にして下さい。

・スペイン語ですが、教会についてだけではなく、興味深い図面なども見れます。

https://www.romanicodigital.com/sites/default/files/pdfs/files/burgos_JARAMILLO_DE_LA_FUENTE.pdf

・こちらもスペイン語ですが、興味のある方は是非ご覧ください。

https://www.arteguias.com/iglesia/jaramillofuente.htm

・デマンダ連峰の観光案内。残念ながらスペイン語のみです。

https://sierradelademanda.com/

・デマンダ連峰にあるロマネスク建築のパンフレット。これも残念ながらスペイン語のみです。

https://sierradelademanda.com/wp-content/uploads/2019/01/FOLLETO-ROMA%CC%81NICO-SERRANO.pdf

ロマネスクへのいざない (7)- カスティーリャ・イ・レオン州-ブルゴス県 (4)– サン・ペドロ・デ・テハダ教会 (Iglesia de San Pedro de Tejada)

正面からみたサン・ペドロ・デ・テハダ教会 (Iglesia de San Pedro de Tejada) / 写真:筆者撮影

ロマネスク様式の絶頂期に造られたサン・ペドロ・デ・テハダ教会

カスティージャ・イ・レオン州のブルゴスから北へ車で約1時間程に行くと、スペインで2番目に長く大きな河川であるエブロ川流域の村にこのサン・ペドロ・デ・テハダ教会はある。静寂に包まれているサン・ペドロ・デ・テハダ教会は、周囲の景色と溶け込んでまるで今にも修道士たちが教会から出てくるような錯覚に陥らせてくれる。

車は教会の下方にある村に停めてなだらかな坂を上っていくと、すらりとしたサン・ペドロ・デ・テハダ教会の姿が現れる。ロマネスク様式によくみられるずんぐりとした雰囲気はない。伸びた鐘楼部分と入口の三角の屋根は神の国を目指しているような印象を与える。

教会の敷地の前にある柵の前で、事前に電話予約していた管理人の方が鍵をもって待っていて下さった。

横から見たサン・ペドロ・デ・テハダ教会 (写真:アルベルト・F・メダルデ)

サン・ペドロ・デ・テハダ教会は、セノビオ(cenobio)と呼ばれる共住苦行者たち(初期修道士たち)が作った修道院を受け継いだものだが、修道院自体は紀元850年まで遡る。現在の教会は12世紀前半に造られ、12世紀といえばロマネスク様式の絶頂期であった。このサン・ペドロ・デ・テハダ教会はこの地方特有のロマネスク様式の特徴を併せ持つ、最も完全で保存状態の良いロマネスク様式の教会の一つだ。他のロマネスク様式の教会によくみられる時代ごとの改修などもなく、12世紀そのままの姿を21世紀に生きる私たちの目の前に現してくれている。ちなみに、原型となった修道院は今は全く存在せず、教会のみが残っている。しかし、この修道院は当時この地方で重要な役割を果たし、サン・ペドロ・デ・テハダ修道院の修道士たちの中から、同じ今のブルゴス県にあるオーニャという町に1011年に設立され19世紀まで続いたたベネディクト会のサン・サルバドール・デ・オーニャ修道院 (Monasterio de San Salvador de Oña)の設立者たちがでたという記録が残っている。

教会の入口(Portada)

サン・ペドロ・デ・テハダ教会の入口 (写真:アルベルト・F・メダルデ)

サン・ペドロ・デ・テハダ教会の入口には、特徴のある刳(く)り型彫刻や飾り持ち送りが見られる。スペイン語ではモディジョン(modillón)またはカネシージョ(canecillo)と呼ばれる8つの飾り持ち送りがあり、左右両側の二つは羽のあるマタイ(Mateo)、マルコ(Marcos)、ルカ(Lucas)、ヨハネ(Juan)の4人の姿が表してある。この4人は、福音書を書いた4人である。そして、残りの四つはテトラモルフ(tetramorfo)と呼ばれるこの4人の福音記者を象徴する形象が施してある福音記者4人とテトラモルフによる福音記者4人の形象が同じところにあるのは珍しいということだった。ちなみに、左から鷲の姿をしたヨハネ、雄牛の姿をしたルカ、獅子の姿をしたマルコ、人間の姿をしたマタイである。飾り持ち送りの真ん中には、上昇するキリストの姿が見て取れ、キリストの昇天を表している

8つの飾り持ち送りの下には左右両側に刳(く)り型彫刻が見えるが、キリストの12人の弟子が6名づつ彫られている幾人かの弟子は両手を上に広げた姿をしており、これは「オランス(=祈る人)」の姿勢と呼ばれるものであり、ここでは弟子たちがキリストに対する期待、望みなどを表しているのだという

更に、両端の刳(く)り型彫刻の下には、キリストの「最後の晩餐」と「人間の上にライオンが押し乗っている姿」が表してあるが、これについては未だにその解釈ははっきりされていないとのことだった。

上段:福音記者の2人(右端と右から2番目)とテトラモルフで左から雄牛の姿をしたルカ、獅子の姿をしたマルコ、人間の姿をしたマタイ 
ルカとマルコの間に両手を広げたキリストの姿が見える
中段 :キリストの12人の弟子のうちの6人 
下段:人間の上にライオンが押し乗っている姿 (写真:アルベルト・F・メダルデ)

石材と飾り持ち送りのモチーフ

サン・ペドロ・デ・テハダ教会に使われた石は、下層部分は石灰岩(piedra de caliza)で上層部は凝灰岩(piedra de toba)である。凝灰岩は石材としては軽いもので、まだ建築技術が発達していなかったロマネスク時代において負担を軽くするためにこの石材が選ばれたという。

ユーモラスな動物たち(写真:アルベルト・F・メダルデ)

さて、サン・ペドロ・デ・テハダ教会の入口だけではなく、教会の側面部分や鐘楼部分にも飾り持ち送りが施されている。その一つ一つを見ていくと、笑いを誘うものや不思議なもの、楽器を弾く人やもしかしたらこの教会に携わったのかもしれないと想像させられる石工の姿、ユニークな動物たちや扇情的な人物像等々、実に様々な飾り持ち送りが施されていて、見ていて飽きない

人を踏みつけている悪魔?楽器を弾く人等(写真:アルベルト・F・メダルデ)
聖職者、淑女またはシスターの隣には陰部を見せる男女が!(写真:アルベルト・F・メダルデ)

サン・ペドロ・デ・テハダ教会の内部

管理人の方に案内され、教会の内部へと足を入れると想像以上に広く高く感じた。塔部分は17メートルあるということで、現代の建物でいえば5階建てというところだろうか。

サン・ペドロ・デ・テハダ教会は唯一の身廊が3つの部分を成していて、翼のない公差部(crucero sin alas)の上に二層からなる塔が建造され、突き当りに祭壇がある半円形の後陣(ábside)がある。祭壇の壁部分に5つのアーチと柱頭(capitel)がある柱がある。その5つのアーチのうち真ん中のアーチの上には窓がある。現在はミサ等の宗教的な儀式は行われていないので、十字架や聖人の像などもなく至ってシンプルだ。

しかし、祭壇部分に入るアーチ(arco de triunfo)の柱頭部分を見上げると、その細かな彫刻に目を引かれる。4人の聖人と5人の聖人から構成された図柄で、5人の聖人たちはテーブルに集い宴のためのグラスを用意しているかのようだ。4人の聖人の方はそれぞれ手にグラスを持ち、まるで誰かに差し出しているかのようだ。そして、それらの緻密な彫刻の上の部分には市松模様(ajedrezado)で飾られている。この聖人たちの彫刻は、カスティーリャ地方のロマネスク様式の彫刻の中でも最も素晴らしい彫刻の一つだということだった。内部の写真撮影は許されなかったので、教会内部やこの素晴らしい彫刻の写真がなく、紹介できないのは残念だ。

後陣から見たサン・ペドロ・デ・テハダ教会(写真:アルベルト・F・メダルデ)
鐘楼部分とその左側にはこの地方特有のウシ―ジャ(usilla)と呼ばれる螺旋階段が見える

最後に

サン・ペドロ・デ・テハダ教会は、様々な本にはブルゴス地方に残るロマネスク様式の教会でも最も美しい教会の一つとして紹介されているが、私はブルゴス地方のみならずスペイン国内に残るロマネスク様式の教会の中で最も美しい教会の一つだと思う。その姿は、堅固かつ調和のとれたものであり、天へ昇る精神性を体現するかのようだ。ロマネスク様式の教会に興味ある方にもそうでない方にも是非訪れてほしい教会の一つである。

現在は個人の所有物となっているが、前述したように事前に予約を取っていけば管理人の方が敷地内に案内してくださり、教会の内部も見せてもらえる。説明もしてくださり、様々な質問にも答えてくださった。説明してもらえるロマネスク様式の教会はなかなかないので、この機会に色んな事を尋ねてみるとよいだろう。(管理人の方には、心付けを忘れずに!)

約900年もの長い歳月、ここにすっくと立つさまは周りの景色と融合し、当時の修道士たちの祈りやこの教会を建設し、様々な楽しい飾り持ち送りを作った石工などの話し声が聞こえてきそうだ。遠くから聞こえてくる鳥の声を聴きながら、サン・ペドロ・デ・テハダ教会を後にすることが名残惜しく感じた。

参考

ここで紹介しサン・ペドロ・デ・テハダ教会 (Iglesia de San Pedro de Tejada)は、ブルゴス県のロマネスクを訪ねたルートの中の一つです。こちらのルートを知りたい方はこちらを参考にして下さい。

・カスティージャ・イ・レオン州観光公式サイト。サン・ペドロ・デ・テハダ教会がある役所の連絡先が載っているので、事前に確認してから訪ねることをお薦めします。 スペイン語が話せる方は直接こちらへ連絡されるといいです。 947 303200 y 652641079                    英語で予約したい方はこちらからどうぞ。ブルゴス地方観光局:(Oficina de Turismo Regional de Burgos)947 203 125 または 947 276 529。メールアドレス: oficinadeturismodeburgos@jcyl.es

https://www.turismocastillayleon.com/es/arte-cultura-patrimonio/monumentos/iglesias-ermitas/ermita-san-pedro-tejada?isprediction=1

・カスティージャ・イ・レオン州観光公式サイト。こちらは英語版。

Hermitage of San Pedro de Tejada – Official Portal of Tourism. Junta de Castilla y Leon (turismocastillayleon.com)

・youtube でも紹介されています。残念ながらスペイン語のみです。

Iglesia Románica de San Pedro de Tejada (Merindad de Valdivieso) – YouTube

・エンリケ・デ・リベロ(Enrique de Rivero)という方のウエブサイトの中に、サン・ペドロ・デ・テハダ教会の内部の写真があります。興味のある方はどうぞ。

http://www.burgossinirmaslejos.com/blog/san-pedro-de-tejada-el-escondido-tesoro-de-valdivielso/