諸聖人の日(Día de Todos los Santos)に食べるスペインのお菓子色々

毎年11月1日は、「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」としてスペインでは祝日です。これは、カトリック教会の祝日の一つ全ての聖人と殉教者を記念する日で、古くは「万聖節」と呼ばれていました。そして翌日11月2日は死者の日に当たります。既にこの世を去ってしまった家族や友人などに思いを馳せながら、お墓参りをしたり家族で集まって故人を偲んだりします。日本のお盆のようなものと考えてもらえば分かりやすかもしれません。

家族が集まれば、矢張りみんなでワイワイ語りながら食事やお菓子を食べるのはどこの国でも同じこと。日本では、昔に比べるとお盆をお祝いする習慣は廃れてきていると思いますが、それでも地方などではお盆には家族で集まり食事をしたり、落雁を食べる機会もあるでしょう。ここスペインでもこの日はいろいろなお菓子を食べる習慣があります。今回は、諸聖人の日(Día de todos Los Santos)に食べる様々なスペインのお菓子を紹介します

ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)

左側のものは、ココナッツを使い形も骨っぽく仕上げています(写真: 筆者撮影)

「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」というは、「聖人の骨」という意味です。日本人の感覚からはちょっと驚きの名前ですが、スペイン人にとっては愛情をこめて死者を象徴する「骨」を食べているようです。もともとカトリック教会では、イエス・キリストや聖母マリアの遺品、キリストの受難にかかわるもの、また諸聖人の遺骸や遺品を「聖遺物(Reliquia)」として大切に保管し、聖人とその遺物に加護と神への取り次ぎを求める願掛けや治癒の奇跡を含む様々な宗教実践が形成されてきました。(ウィキペディアより)もしかすると、「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」という「聖人の骨」を表したお菓子を食することにより、庶民のささやかな願掛けや病気で苦しんでいる人の治癒の奇跡を望む切実な願いが込められていたのかもしれません。

ちょっと敬遠したくなるような名前のお菓子ですが、アーモンドの粉と砂糖を練り合わせたマジパンの中に卵黄を使ったクリームが入っていて、結構食べ応えのあるお菓子です。「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」の最初のレシピとしては、1611年、スペイン王フェリッペ2世の厨房責任者フランシスコ・マルティネス・モンティーニョ(Francisco Martínez Montiño)著書「料理・菓子・スポンジケーキ(ビスコッチョ)・保存食の方法『Arte de Cocina, Pastelería, Vizcochería y Conservería』」(筆者訳)に記載されていました。

私が住むカステージャ・イ・レオン州では、「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」に食べる定番のお菓子ですが、スペイン中色んな所で食べられているようです。マジパンの生地に様々な味と色を付けてカラフルな「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」が最近では出回っています。

上からオレンジ味、キーウィ味、イチゴ味の「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」(写真: 筆者撮影)

ブニュエロス・デ・ビエント(Buñuelos de viento)

諸聖人の日(Día de todos los Santos)には欠かせないブニュエロス・デ・ビエント (Buñuelos de viento)(写真: 筆者撮影)

ブニュエロス・デ・ビエント (Buñuelos de viento)は、ピンポン玉程の大きさで一口サイズの揚げシュークリームです。とても美味しく手食べやすいサイズということも手伝い、ついつい何個でも食べてしまう魅惑のお菓子です。(笑) 

ブニュエロス・デ・ビエント (Buñuelos de viento) の「ブニュエロス (Buñuelos)」は、小麦粉を使った生地を丸めて油で揚げたお菓子のこと、「ビエント(Viento)」は、「風」という意味ですが、ここでは「デ・ビエント (de viento)」で、「膨らんだ(hinchados)」という意味です。この揚げ菓子の中にカスタードクリームやスペインではカベージョ・デ・アンヘル(Cabello de angel)と呼ばれている金糸瓜(またはそうめんかぼちゃ)を使ったクリーム、チョコレートクリームや生クリーム等が入っています。

諸聖人の日(Día de todos los Santos)に食べるお菓子の中でも一番ポピュラーなお菓子です。私が住むサラマンカでは、美味しいお菓子屋さんに前もって予約して10月31日頃から買って食べている人が多いようですね。

パネジェッツ(Panellets)

カタルーニャ州・バレンシア州・バレアレス諸島等で最も伝統的かつポピュラーなお菓子で、アーモンドを使った小さなマジパンに様々な風味を加えてあり、色んなバリエーションを楽しめます。

ちなみに、「パネジェッツ(Panellets)」は、欧州連合(EU)の品質認証に登録され、スペインの「本物の美味しさ」を保証している「伝統的特産品で美味しいもの」の一つに認証されています。これは、伝統的特産品保証(TSG=Traditional Specialties Guaranteed)と呼ばれるもので、本物の「パネジェッツ(Panellets)」は、マジパンに、アーモンド以外のでんぷん(ジャガイモまたはサツマイモ)やリンゴを加えることや保存料、着色料の添加は禁止されていて、伝統的かつ安全な食べ物であることが保証されています。(スペイン農業・漁業・食品省のウエブサイト「伝統的特産品保証TSG(Traditional Speciality Guaranteed)」参照) 但し、お店などで売っているものは、サツマイモが入っているものが一般的のようです。

前述の通り「パネジェッツ(Panellets)」にはバリエーションが多く、カタルーニャ州・バレンシア州・バレアレス諸島に訪れる機会があれば、「パネジェッツ(Panellets)」の食べ比べをされるのも一興でしょう。代表的な「パネジェッツ(Panellets)」を紹介します。

バリエーション豊かで可愛いパネジェッツ(Panellets)」(写真: Wikipedia Domain)

両端 パネジェッツ・デ・ピニョネス(Panellets de piñones)

「パネジェッツ(Panellets)」はカステジャーノ語(一般的にスペイン語と呼ばれている言葉)では、エンピニョナードス (Empiñonados) と呼ばれています。松の実(ピニョネス-Piñones)をマジパンの周りにまぶしてあります

右から4列目 パネジェッツ・デ・カフェ(Panellets de café)

前述のスペイン農業・漁業・食品省のウエブサイト「伝統的特産品保証TSG(Traditional Speciality Guaranteed)」によると、アーモンドと砂糖のみのマジパンに挽いたコーヒーと焦がした砂糖を加えて茶色のコーヒー色に仕上げ、アイシングシュガーでコーティングした後、オーブンで焼きます。コーヒー豆を模した可愛い「パネジェッツ(Panellets)」もありますよ。

右から5列目 Panellets de almendra

こちらは、松の実の代わりにアーモンドをマジパンにまぶしたものです。

真ん中 Panellets de coco

マジパンにもココナッツが入っていて、周りにもココナッツをまぶしてあり、とんがり帽子のように先っぽを尖らせた形に作ってあります。

「パネジェッツ(Panellets)」は、カタルーニャ州・バレンシア州・バレアレス諸島等のお菓子なのでこの地方以外ではなかなか見つかりません。もし、これらの州に行かれる機会があれば、是非ご賞味ください。一口サイズのバラエティー豊かな「パネジェッツ(Panellets)」は、日持ちも良いものも多いのでお土産に買って帰るのもお薦めです。

焼き栗(Castañas asadas)

最後に紹介する「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」の日に食べるお菓子は「焼き栗」です。

11月は栗の季節です。この時期になると街角で焼き栗を売っていますが、栗のお祭りが各地で開催されます。スペイン北部で催される「マゴスト(Magosto)」やスペイン東部の「カスタニャーダ(La Castañada)」のお祭りが有名どころでしょうか。私が住むサラマンカでも県内各地でそれぞれの栗祭りを楽しんでいます。10月31日から11月11日の間に開催される所が多く、11月1日の「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」にも焼き栗を食べる習慣があります

もし、この時期にスペイン北部やスペイン東部を訪れる機会がある方は「マゴスト(Magosto)」や「ラ・カスタニャーダ(La castañada)」のお祭りに参加されると面白いと思います。

「焼き栗 (Castañas asadas)」自体はスペインの冬の風物詩で、クリスマス明けくらいまではスペイン各地の街角で焼き栗を売っているので、冬の間にスペインを訪れる方は、是非街角で焼き栗を買って食べてみてくださいね。木枯らしが吹く中、焼き立ての栗を食べるのはいかにもスペインらしく、スペインの秋から冬の楽しみの一つです。

最後に

「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」という11月1日前後の短い期間のみにしか売っていないお菓子もあるので、この時期にスペイン訪問される方は「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」のお菓子を是非食べてみてください。旅の良い思い出になること間違いなしです!

参考

・欧州の「本物の美味しさ」を保証する認証制について興味のある方は、在日欧州連合代表部の公式ウエブサイトをご覧ください。

https://eumag.jp/issues/c1013/

・伝統的特産品保証(TSG=Traditional Specialties Guaranteed)、スペイン語では「TSG(Traditional Speciality Guaranteed)」について興味のある方は、スペイン農業・漁業・食品省のウエブサイトをご覧ください。

https://www.mapa.gob.es/es/alimentacion/temas/calidad-diferenciada/etg/Panellets.aspx

秋から冬のスペイン街角の風物詩-焼き栗(Castañas asadas)

10月も半ばを過ぎ、そろそろ本格的な栗の季節到来です!

この時期になると、スペインの街角ではカスタニェーロ(Castañero)と呼ばれる焼き栗を売る人が栗を焼いている姿をあちこちで見ることができます。新聞紙を円錐形にクルっと作り、12個の焼き栗を売ってくれます。勿論もっと沢山買いたい場合はもっと多い量の焼き栗を売ってくれますが、一般的には、円錐形の新聞紙に12個入りの焼き栗がスペイン人一人が買う焼き栗の量です。特に寒い日には、焼きたての栗を剥いて食べながら散歩する人や、子供に焼き栗を買ってあげる親の姿をよく見ます。日本では町中での立ち食い・歩き食いはお行儀が悪く敬遠されますが、こちらではとてもよくある秋から冬の風物詩です。

カスタニェーロ(Castañero)が作る焼き栗を家でも再現したいと、この時期になると我が家ではよくオーブンで焼き栗を作ります。オーブンがない場合は、フライパンでもできますよ。

焼き栗(Castañas asadas)

材料:4人分

・栗            約500g                

作り方

1.栗に切り込みを入れる。(焼いている間に栗が破裂しないように)

切り込みの入れ方は十字でもよし、縦切り・横切りでもよし、栗の端っこを少し削ぎ切りしてもよし(写真: 筆者撮影)

2.オーブン用の皿に重ならないように並べる。

できるならば大きさを揃えた方がいいのですが・・・(写真: 筆者撮影)

3.200℃に予熱したオーブンで20~25分焼く。(オーブンによっては多少時間が異なるので、途中で焼け具合を見てみる)

4.焼きあがっていたら、オーブンから出して熱いうちに皮をむいて食べる。

焼きたての方が皮がむきやすいですね(写真: 筆者撮影)

熱々の栗なので、火傷しないように軍手などをして皮をむいてくださいね。ホクホクしてとても美味しい焼き栗が簡単にできますよ。寒くなったら是非試してみてください。

トマトの時期は、「お手軽パントマト(Pan con tomate)」で朝食を!

やっと我が家の畑のトマトの収穫ピークが訪れました!今年は例年より10日ほど遅い収穫ピークです。周りの畑のトマトはもう既に8月中旬からピークを迎えていたのに、我が家のトマトはなかなか熟しませんでした。

トマトの種類によりけりなのでしょう。今年は、青トマト(Tomate azul)と呼ばれる種種類のトマトを多く植えているからでしょうか。とにかく、畑のトマトの収穫が始まると我が家では毎朝パントマトを食べます。スペインでは一般的に「パントマカ」と呼ばれているカタルーニャ地方の料理がよく知られていますが、我が家では、アンダルシア地方の料理教師である友人のレシピ、「お手軽パントマト」を食べています

カタルーニャ地方では、軽く焼いたフランスパンに半分に切ったニンニクをこすりつけ、更に半分に切ったトマトをこすりつけます。その上にエキストラ・バージンオリーブオイルをたっぷりかけ、仕上げに軽く塩を振って食べます。スペインにいらしたことがある方は、この上に生ハムがのっているものを食べたことがあるのではないでしょうか。これもなかなか美味です!

生ハムがのったカタルーニャ地方料理「パムトマカ」(写真: Wikipedia Domain)

では、我が家のアンダルシア式(というかアンダルシアの友人式)「お手軽パントマト」の作り方を紹介します。

「お手軽パントマト」(Pan con tomate)

材料:4人分

・トマト(あれば完熟)            大 1個

・エキストラ・バージンオリーブオイル      適宜

・塩                     少々                

作り方

1.軽く焼いたフランスパンに、エキストラ・バージンオリーブオイルをたっぷりかける。

2.すりおろしたトマトを上からたっぷりのせる。

3.最後に軽く塩を振って出来上がり。

これぞ我が家のパントマト!(笑)

エキストラ・バージンオイルは、できればあまり癖のないアルベキーナ (Arbequina) のエキストラ・バージンオリーブオイルをお薦めします。アルベキーナというオリーブの実から搾られたオイルは、辛みや苦味がなく、後味に甘みを残すような味です。これだと、トマトの酸味をほんのりと和らげ、トマト本来の味を引き立てれくれます。

アルベキーナ (Arbequina) というオリーブの実から搾られたエキストラ・バージンオリーブオイルをたっぷりつけて!

日本ではピンク系のトマトが主流ですが、スペインでは赤系のトマトが断然人気があります。畑作りをしていると、畑のご近所さんから「このトマトは美味しかったから一度食べてみて!気に入ったら種を取って来年植えるといいよー!」とトマトを頂くことも多々あります。先日、バレンシア地方のトマトを頂きましたが、とっても美味しくて、早速来年用に種を取り、乾燥させています。来年が楽しみです!

左からジグザクに、青トマト、かなり大きいピンクトマト、黒トマト、先がちょっととんがったバレンシアトマト、小粒なガリシアトマト、トマトソースに使う洋ナシ形トマト

素朴な味!スペインの豚リブとジャガイモの煮込み(Costillas con patatas )

この料理は、仲良しのスペイン人男性から教えて頂いたスペイン料理です。レシピはマドリードのレストランのコックさんだったお父様直伝のもので、我が家でも子供たちに人気のあるレシピの一つです。

日本でも手軽に手に入れることができる材料で作ることができ、素朴な味です。是非お試しください。

豚リブとジャガイモの煮込み(Costillas con patatas )

材料:4人分

・豚リブ          800g

・玉葱           1/2個

・ジャガイモ       3~4個

・ピーマン        1個

・トマト         2個

・ニンニク         一片    

・月桂樹の葉 (ローレル)  1枚

・塩            適宜

・パプリカ         大さじ 1杯

・オリーブ油        大さじ 4杯

作り方

1.ニンニクはみじん切りにする。玉葱とピーマンもみじん切りにする。トマトはすりおろしておく。ジャガイモは、一口大の大きさに切る。その際、小さい包丁又はナイフでジャガイモに切り口を入れ、そのまま割るように切る。こうすることにより、断面がデコボコになり、包丁で切るより表面積が広くなり、火の通りや味の含みが良くなる。

切り口がデコボコのジャガイモ。スペインの人達はみんな小さな包丁を使って、ほとんどまな板も使わず料理をしています

2.鍋にオリーブオイルを多めに敷き、オイルが熱くなったら1のみじん切りした野菜-玉葱・ピーマン・ニンニク-を入れ、弱火にして気長に炒める。

気長に炒めていると、野菜がたっぷりオリーブオイルを含み、しんなりとしてきました

3.2の野菜の色が変わり、しんなりしてきたら、豚リブを入れてよく混ぜ合わせる。更に、すりおろしたトマトも入れてしばらく混ぜ合わせながら、豚リブの色が変わるまで炒める。

完熟トマトを使うとより味が濃厚に!我が家では今が収穫時の畑のトマトを使っています

4.豚リブの色が変わったらジャガイモを入れ、よく混ぜ合わせる。

ジャガイモの大きさはなるべく同じ大きさで

5.その後、塩、パプリカ、月桂樹の葉を入れて再び混ぜ合わせ、蓋をして中火弱の火で煮込んでいく。時々、混ぜ合わせながら、水分がなくなりそうになった時は水を足し、ジャガイモが柔らかくなるまで煮込む。最後に塩加減を調整し、出来上がり!

トマト汁も煮詰まってトロリとしたソースになっています

ジャガイモをフォークの背で潰し、煮汁と絡ませながらお肉と一緒に食べるのがスペイン風の食べ方です。それに、パンと一緒に食べます。ソースが残ったら、しっかりパンでソースをつけながら食べるスペイン人達のお皿は、まるでお皿に料理をつぐ前のようにきれいです。(笑)

ズッキーニってどうやって食べるの?ズッキーニの詰め物(Calabacín relleno)

日本の野菜コーナーでもすっかりお馴染みになったズッキーニ。でも、どうやって食べようか?って悩まれている方も多いと思います。今回は、詰め物のレシピを紹介します。

ズッキーニの詰め物(Calabacín relleno)

材料:4人分

・ズッキーニ         大2本

・玉葱            中1個

・パプリカまたはピーマン   大1個 

・トマト           大1個

・マッシュルーム(好みで)  6~8個

・バージンオリーブオイル   適量

・塩             適宜

・黒胡椒           適宜

・とろけるチーズ       200g

作り方

1.ズッキーニを縦に半分に切って、中身をスプーンですくい取る。

皮を破らないように気を付けながら、中身をくりぬいていく

2.中身をくりぬいたズッキーニは、オーブン用のトレイにオーブン・ペーパーを敷いた上にのせる。

中身をくりぬき皮の入れ物状態にする

3. 全ての野菜を細かく切っておく。フライパンにバージンオリーブオイルを入れ、熱したら2の切った野菜の玉ねぎ、パプリカ、ズッキーニを熱する。

バージンオリーブオイルは、少し多めに入れた方が美味しくできる

4. 3の野菜がしんなりしてきたら、マッシュルーム、トマトも入れてさらに炒める。

蓋をして時々炒める。野菜をくたくたになるまで炒めるのがスペイン風

5. 野菜がくたくたになったら、塩胡椒で味を調える。出来上がったら火を止めて、2のズッキーニに詰めていく。

均等になるように中身を詰める

6. 詰め終わったら、上にとろけるチーズをかける。予め180℃に温めておいたオーブンの中段に入れ、約20~30分ほど焼く。

上からお好みのとろけるチーズをかける

180℃で焼くので、中身を入れた生のズッキーニもしっかり柔らかく焼き上がり、野菜の優しい味を楽しめますよ。

チーズはちょっとパリッとして中身はジュワッと野菜の旨味を引き立てる

どうぞ召し上がれ! ¡Qué aproveche!

やっぱり、スペインと言えば「パエリア」!

スペインを代表する料理と言えば、やっぱりパエリアでしょう!

パエリアはスペイン中どこででも食べれますが、本場はバレンシアで、バレンシアの郷土料理の一つです。パエリアは、家庭の数だけパエリアがあると言われているほど、各家庭によって作り方はいろいろ。バレンシアの人と話していると、「我が家のパエリアが一番おいしいパエリアだよ」って必ず言われ、つい微笑ましくなってしまいます。(笑)

気候が良くなると、お友達や家族を誘って、お庭にテーブルを出し外でパエリアを作って食べる機会が増えます。また、村のお祭り等で巨大なパエリアを作って食べたりします。

今回は、バレンシアのお友達から頂いた彼女の家の魚介類のパエリアのレシピを紹介します。

私が住むサラマンカ郊外にある村でのお祭りのときに作られる巨大パエリア

魚介類のパエリア(Paella de mariscos)

材料:4人分

・魚貝類のスープストック            1,5L

・魚のスープストック用の白身魚の骨       適宜 (鯛のアラ、アンコウの骨等)

・米                       400g

・殻付きエビ                   16~20匹

・ムール貝                    8~12個

・アサリ貝                    300g

・イカ                     1杯

・白身魚                    2切れ

・玉葱                     1個

・完熟トマト                  1個

・青ピーマン、モロッコいんげん、ズッキーニ   適宜 (オプション)

・オリーブオイル                適宜

・サフラン                   適宜

・塩                      適宜

作り方

(魚のスープストック)

1.ムール貝はよく洗ってひげを取り、蒸し器などで蒸す。蒸した後の水をスープストックとして使うので取っておく。ムール貝は食べる前に飾りつける。

2.殻付きエビの殻を取り、水から殻とスープストック用の魚の骨を茹でてスープストックを取る。

3.2を濾す。1のムール貝の蒸し汁と2の濾したスープストックを合わせて1,5Lの魚介類スープストックをつくる。

注:スープストックは弱火にかけて冷えないようにする。

 

(魚介類と野菜の下準備)

1.エビの背ワタを取る。

2.イカを一口大の大きさに切る。

3.白身魚を一口大の大きさに切る。

4.玉葱をみじん切りにする。

5.オプションの野菜(青ピーマン、モロッコいんげん、ズッキーニ)を細かく切る。

6.トマトをすりおろす。

(サフランの下準備)

1.フライパンを空焚きし、サフランを軽く炒る。

2.炒ったサフランをすり、粉状にして、スープストックを入れて色を出しておく。

3.色が出たら残りのスープストックに戻し入れ、弱火にかけて冷えないようにしておく。

(パエリア開始!)

1.パエリアパンにたっぷりのオリーブオイルを敷いて、中~強火にかける。

2.オリーブオイルが熱したら、みじん切りにした玉葱を炒める。次にオプションの野菜を入れて更に炒める。

3.野菜がよく炒まったら、すったトマトを入れて更に炒める。

4.次にアサリ貝を入れて炒め、アサリ貝が開いたら、一旦取り出す。

5.エビ、イカ、白身魚も入れて炒める。

お庭でパエリアを作ろう!

6.米を洗わずにそのまま入れる。塩も入れる。

7.米に油が回ったらアサリ貝を戻し入れ、かぶるくらいの量のスープストックを入れて軽く混ぜ、その後は混ぜたりせずに中火で炊いていく。水分が少なくなったらかぶるくらいの量のスープストックを加えて炊いていく。時々、パエリアパンごとゆすって必要以上に焦げ付かないようにする。

8.塩加減をみて、必要であれば塩を足す。スープストックを入れてしまい、米に芯が残らない程度に炊け、水分がなくなったら火を消して10分ほど置く。

9.蒸したムール貝を飾る。

エビは、殻つきのまま炒めて飾ると華やかな感じになります。また、パエリアにレモンをかけて食べても美味しいです。本場バレンシアで「ソカラッ(socarrat)」と呼ばれるおこげは、みんな大好き!お皿につぎ分けるときに、「ソカラッ(socarrat)」を各自に入れてあげることをお忘れなく! 

¡Que aproveche! (どうぞ、召し上がれ!)

白ワインと一緒に!

スペインのミートボールはこれだ!

スペインではミートボールのことは、アルボンディガス(Albóndigas)といいます。この名前を初めて聞いたとき、まるで怪獣の名前みたい!と思いました。ちょっとイカツイ感じを受ける名前のアルボンディガス、食べてみるととっても美味しくてまた食べてみたくなる一品です。タパスで出してくれるバルもあります。

このレシピはスペイン人の義母が教えてくれた素朴な味のアルボンディガスです。日本に里帰りした時、甥っ子たちに作ってあげると大好評のスペイン料理の一つ。難しくもなく、材料も日本で手軽に手に入れることができるものばかりなので、是非試してみてくださいね。

アルボンディガス( Albóndigas )

材料:4人分

・牛挽肉        600g

・玉葱         150g

・焼き赤パプリカ    150g (ない時は、生の赤パプリカ)

・ニンニク       一片   

・白ワイン       50㏄

・卵          1個

・パン粉          大さじ 2杯

・ナツメグ       適宜

・完熟トマト      2個 (または缶詰のホールトマトを潰したもの)

・月桂樹の葉      1枚

・塩          適宜

・砂糖         小さじ 1杯

・小麦粉        適宜

・オリーブ油      大さじ 4杯

作り方

1.ニンニクはみじん切りにする。玉葱はざく切り。焼き赤パプリカ(または生の赤パプリカ)もざく切りにする。

2.ボールに牛挽肉、1 のニンニク、白ワイン、卵、パン粉、ナツメグ、塩を入れて手でよく混ぜる。

3.小さめのコップに小麦粉を入れる。2 の混ぜた挽肉大匙1杯分ほどの量を小麦粉の入ったコップに入れる。軽く小麦粉をまぶした後、手に取って丸める。

小麦粉の入ったコップに一口大のミートボールを作っていく

4.鍋にオリーブ油を入れ熱し、3 の丸めたミートボールを鍋に入れて中火よりやや強めの火で表面を焼き付けていく。

焼き目がつくまで転がしながら焼いていく

5.全体に焼き目がついたら、鍋から取り出して置く。(生の部分があると、煮る際に煮崩れする可能性があるので、なるべくまんべんなく焼き付ける。)

まんべんなく焼き目がついたミートボール

6.全部のミートボールを焼き付けて取り出したら、火を弱火にして、同じ油に1 の玉葱を入れて炒める。(生の赤パプリカの場合は、ここで玉葱と一緒に炒める。)

玉葱を甘みが出るまでじっくり炒める

7.5分~10分程炒め、玉葱がしんなりしてきたら5 の焼きミートボールを鍋に戻して軽く混ぜ合わせる。

8.完熟トマトを大根おろし器でおろし、鍋に入れる。焼きピーマン、砂糖、月桂樹の葉、塩を入れて軽く混ぜ、蓋をして中弱火で30~40分程煮る。途中で軽く混ぜ合わせながら、水分が少なくなってきたら水を少し足す。

いい感じに煮えてきました

9.味を見て、塩が足りない場合は足す。

パンと一緒に食べるのはスペイン風。トマトを多めに入れてソースをたっぷり作り、白ごはんにかけて食べても美味。

トマトを入れずに、白ワインを入れて煮ても美味しいですよ。また違った味が楽しめます。その時は、焼き赤パプリカ(生赤パプリカ)は入れないで、たっぷりの玉葱を入れてください。

子供も大好きズッキーニ!ズッキーニのクリームポタージュ(Crema de Calabacín)

花は天ぷらにしても美味

ズッキーニのクリームポタージュ(Crema de Calabacín)

材料:4人分

・ズッキーニ        中3~4本

・クリームチーズ(KIRI)    6~8個(好みで)

・塩              適宜

・ナツメグ            適宜

作り方

1.ズッキーニは輪切りにしておく。新鮮なズッキーニは、皮は向かずにそのままでも苦みはありません。今回は、適当に所々皮を剥いて作りました。

2.鍋に 1 のズッキーニを入れ、水をヒタヒタに入れる。塩を入れて煮る。

ズッキーニはちょっとクタッとなるまで煮る

3.ズッキーニが柔らかく煮上がったら火を止めて、水分が多い場合はカップに余分な煮汁を取る。煮汁は、後でハンドミキサーにかけた後、もう少し柔らかくしたければ足す。残った煮汁は捨てずにそのままスープとして飲んでも美味。

4.クリームチーズとナツメグを入れてハンドミキサーにかける。味を見て塩が足りなかったら足す。

4.熱いうちにどうぞ。

スペインでは、パンを小さくちぎってポタージュに入れながら食べる人が多いですね。勿論、クルトンを入れても美味しいですよ。簡単で美味しく、子供たちにも人気のこのポタージュ、是非お試しくださいね。

とっても簡単!とっても美味しい! ジャガイモとモロッコいんげんの煮物(Judías verdes con patatas)

モロッコいんげんは平べったく大きめですが、柔らかくて美味

材料:4人分

・モロッコいんげん        400g

・ジャガイモ        中4~5個

・玉葱           少々        

・塩                    小さじ2~3杯(お好みで)

・エクストラ・バージン・オリーブオイル   適宜

作り方

1.モロッコいんげんは洗って筋を取る。手で2∼3cmの長さに折っていく。折った時に筋があれば取り除いておく。

適当に手で折りちぎる

2.ジャガイモは一口大に切り、玉葱はみじん切りにする。

3.圧力鍋に2のジャガイモと玉葱を入れ、水をヒタヒタに入れて強火にかける。

ジャガイモは割るように切る。

4.沸騰したら1のモロッコいんげんと塩を入れる。

5.圧力鍋の蓋をしてピストンが上がったら中火にして5分間煮る。5分後に火を止めてピストンが下がるまで放置する。

6.ピストンが完全に下がったら蓋を取り、塩加減をみる。塩が足りなければここで足す。好みでエクストラ・バージン・オリーブオイルをかける。

スペイン風の食べ方は、ジャガイモをフォークの背で潰して食べます。

味付けも塩とオリーブオイルのみで素材の旨さを引き出し、やさしい味です。また、野菜を茹でたスープは、そのまま飲んでもとっても美味しいですよ。スペインでは、野菜はちょっとクタクタになるまで煮て、かなり柔らかくしたものが一般的です。

とにかく簡単でいんげんが旬の夏は経済的なので、我が家の夏の定番料理です。どうぞお試しください。

おかわり、もう一切れ! 豚ヒレの野菜ソースかけ(Solomillo de cerdo con salsa de verduras)

簡単なのに、ゴージャスでいかにも西洋料理!という感じの一品を今回は紹介します。コロナのせいで外食もままならない昨今、美味しいワインを仕入れておうちで家族パーティーも一興ですね。

豚ヒレの野菜ソースかけ(Solomillo de cerdo con salsa de verduras)

材料:4人分

・豚ヒレ         大1本

・玉葱          中1個

・ニンニク        一片

・人参          1本

・長ネギ         1/2本

・白ワイン        100㎖

・オリーブオイル     適量

・塩           適宜

・黒胡椒         適宜

・水           100~150㎖

作り方

1.全ての野菜を細かく切っておく。

2.豚ヒレは塩胡椒しておく。多めのオリーブオイルを入れたフライパンを中強火にし、豚ヒレをいれて豚肉の旨味を閉じ込めるように全面焼き付ける。

焼き付けて旨味を閉じ込める

3.豚ヒレを焼き付けたら、一旦フライパンから取り出す。同じフライパンに 1 の切った野菜を全部入れて中弱火で気長に炒める。

野菜がクタッとなるまで気長に炒める

4.野菜をよく炒めたら、2 の豚ヒレをフライパンに戻し入れる。白ワインを入れて強火にし、アルコール分を飛ばす。

豚ヒレと野菜を煮込む

5.アルコールがとんだら水を入れて中弱火で蓋をして約20分煮込んでいく。途中、時々豚ヒレをひっくり返し、水分が少なくなったら水を加える。

6.煮込んだ野菜を、ハンドミキサーにかけてソースにする。味を見て塩が足りない時は足して味を整える。

野菜はハンドミキサーにかけてソースにする

7.豚ヒレを切って、大皿に盛ってソースをかけてもよし、銘々皿に盛ってもよし。

お好みでフレンチポテトを添えても美味しい

パンと一緒に食べると、ついついもう一切れ!とおかわりしたくなるおいしさです。

見た目よりずっと簡単にできるので、是非挑戦してみてくださいね!