光の画家フワキン・ソロージャ(1863-1923)とソロージャ美術館

文化
海辺の散歩(1909)ソローリャ美術館蔵

スペインの画家フワキン・ソロージャをご存知ですか?

19世紀から20世紀にかけて活躍したスペイン印象派画家の巨匠の一人ですが、彼と同じ時期またはもう少し後に出てきたダリ、ピカソ、ミロに比べ、日本での知名度はかなり低いのではないかと思います。そういう私自身、スペインに来るまで彼の存在を全く知りませんでした。でも、彼の作品を一度見ただけで大好きになりました。

戸外にキャンパスを持ち出して、バレンシアの光の元で描いた彼の様々なモチーフの絵は、本当に見ている者を幸せな気持ちにさせる絵が多いのです。実際、国際的な名声を得るきっかけとなったのは、地中海の光景を描くその絵が、光と喜びにあふれていたから「光の画家」と呼ばれる所以です。

海の色、花の色、人々の光の下での肌の色。あぁ、ソロージャ特有の色!見る人を癒してくれるような、やさしく包んでくれるような絵が何時もそこにある。ソロージャの絵をみていると、とても心地よいのです。

ソロージャは、わずか2歳で両親を失ったにも拘わらず、妹と共に母方の叔父・叔母の家で大切に育てられました。そして1888年、人生の伴侶(クロティルデ)と結婚し、若くしてその才能を花咲かせて画家として大成功を修めました。彼自身の人生は、彼が描く絵にも反映しているといってよいでしょう。彼の代表的な絵に家族の肖像がが多数含まれるのを見ても、幸せな家庭を持ち幸せな人生を送った様子が見て取れます。

ソロージャの絵は、マドリッドにあるソロージャ美術館で見ることができます。1912年に建てられたその建物は、実際に彼と彼の家族が暮らしていた住居兼アトリエだったものをソロージャの死後美術館として公開されたものです。その美しいアンダルシア風の中庭や美術館の門を抜けるとすぐ広がる庭は、ソロージャ一家が当時くつろいだ空間です。また、館内に公開されている彫刻、陶器、宝石、古い写真、手紙、そもまま残されている画材などは、彼とその家族の生活の様子、彼の画家としての生活を垣間見ることができ、なかなか興味深いものです。

ソロージャ美術館の門を抜けると…

ソロージャ美術館では、社会的批判の絵画、家族の肖像画、風習を描く作品や自画像など様々な芸術スタイルやテーマが見られます。 また、ベンリウレ、ロダン、ブロイなど他の芸術家の注目すべき作品もあります。この美術館は小規模ながらも去年(2018年)の年間入館者数が26万人を超えたとか!私が最初にこの美術館を訪れた20年以上前は、知る人ぞ知る隠れ屋的な美術館で、受付の人が1人居て入館料を払った記憶があります。その時の入館者は私と友人の2人だけでした。ところが20年以上経って訪れてみると、受付もすっかり様変わりしているし入館者も大勢いました。ちなみに1998年の年間入館者数は5万人ちょっと。この20年で5倍以上に増えたことに!驚きました。

彼の代表的な絵は、地中海の海辺で遊ぶ子供たちなど浜辺の絵が多いのですが、つい見る人の顔がほころぶような絵です。

浜辺の子供たち(1910)プラド美術館蔵

また、ソロージャの絵はプラド美術館でも見ることができます。ただ、ソロージャ美術館に展示してある作品のほうが、「光の画家ソロージャ」の名にふさわしい作品が多いようです。もしマドリッドに行く機会があれば、是非訪れてほしい美術館の一つです。

ソローリャ美術館 開館情報

住所:パセオ・へネラル・カンポス37番地(Paseo General Campos)
最寄り駅:イグレシア(Iglesia 1号線・水色) ルーベン・ダリオ(Rubén Darío 5号線・黄緑色)      グレゴリオ・マラニョン(Gregorio Marañón 7号線 と 10号線・オレンジ色と紺色)
開館時間:火~土 9:30~20:00(最終入館 19:15)日・祝 10:00~15:00  
*月曜日・1月1日・1月6日・5月1日・12月24日・12月25日・12月31日は休館        入場料:3€ (土曜14:30以降・日曜・4月18日・5月18日・12月6日は無料)

ソローリャ美術館 情報(英語・スペイン語)

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