観察日:2023年6月10日
スペインではないのですが、番外編として今回から3回シリーズで、英国最北端に位置するシェットランド諸島でのバードウォッチングについて紹介します。
第2回は、第1回に紹介したアンスト島(Unst island)から近いフェトラー島(Fetlar island)です。
シェットランドの庭 (The Garden of Shetland)
アンスト島(Unst island)からフェリーに乗ってフェトラー島(Feltar island)に渡りました。
この島には、多様な動植物や野生生物が生息していて、島の3分の2は特別科学保護区(SSSI)、自然保護特別地域(SAC)、英国王立鳥類保護協会(RSPB)の保護区など、何らかの形で保護区や特別地域として指定されています。(フェルター島公式サイトより)また、土壌肥沃度が高く、200種以上の野花が確認されていて、「シェットランドの庭 (The Garden of Shetland)」と呼ばれています。
フェルター島公式サイトによると、現在、この島には69人が住んでいます。たった69人!とびっくりしましたが、2009年初頭の人口48人に比べると少しですが増えているようです。
アカエリヒレアシシギ(Falaropo picofino)に会いに行く!
今回この島へ足を延ばした目的は、アカエリヒレアシシギ(Falaropo picofino)に会うためです。島の東にあるファンジー湖(Loch of Funzie)は、アカエリヒレアシシギの繁殖地があります。他にも、チョウシャクシギ(Zarapito Trinador)やクロトウゾクカモメ(Págalo parásito)の繁殖地があるとのことですが、残念ながら、チョウシャクシギとクロトウゾクカモメを見ることはできませんでした。
アカエリヒレアシシギ(Falaropo picofino)は、ファンジー湖(Loch of Funzie)へ行く途中の道の右側の海辺で見ることができました。丁度、別のバードウオッチャーが車を止めて、海辺で大きなカメラを据えて写真を撮っている姿が見えたので、私たちも車を止めて海辺へ降りていくと、数羽のアカエリヒレアシシギ(Falaropo picofino)の姿が見えました。かなり近い場所で見ることができ、大満足でした!もっと大きな鳥かと想像していたら、とても小さく20cmにも満たない大きさです。
この浜辺に着いたのが午前11時過ぎ頃。5~6羽のアカエリヒレアシシギがしきりと水の中に嘴を突っ込んで食事中でした。上の写真の掲示板に注意書きがあるように、草べりから観察するようにとありますが、十分に近い距離だったので問題なくゆっくり観察することができました。
この海辺では、アカエリヒレアシシギの近くにホンケワタガモ(Éider común)の親子が気持ちよさそうに泳いでいました。4羽の雛たちはお母さんガモから少し離れると、お母さんガモから呼び戻されているようでした。ここではお父さんガモの姿は見れませんでした。
他にも、これまたすぐ近くにミヤコドリ(Osterero)がいました。人間自体が極端に少ないせいか、野生の鳥でありながら殆ど私たちに対して警戒心を示すこともなく、お陰で私は草べりの岩に座り込んでゆっくり観察することができました。
道の右側は海岸沿いでしたが、左側は草原が広がりシェットランド・ポニーたちがのんびり草を食んでお食事中でした。シェットランド・ポニーは、シェトランド諸島が原産の小型のウマです。以前、北海道で見た日本の「どさんこ」を彷彿とさせます。どちらも小型の割にはがっちりとした体形です。
ファンジー湖(Loch of Funzie)とその周辺
お目当てのアカエリヒレアシシギ(Falaropo picofino)をじっくり観察でき、大満足で最初の目的地だったアカエリヒレアシシギの繁殖地ファンジー湖(Loch of Funzie)に向かいました。
広い湖には鳥たちの姿はなく、期待していたアカエリヒレアシシギ(Falaropo picofino)を見ることはできませんでした。ここに着く前に十分見れたので良かったけれど、もしそのまままっすくここに来ていたらアカエリヒレアシシギに会えず、残念至極だったと思います。湖の先の方に野鳥観察舎(ハイド)があったので、そこから野鳥観察することにしました。
ハイドに入ると、すぐ手前の水辺にタジキ(Agachadiza común)が居るのを発見しました。じっと観察していると、羽の身繕いの最中のようです。念入りに羽の身繕いをする姿は、まるで若い女性が念入りに化粧をしている様子と似ています。こんな鳥の様子に出会うと、鳥の観察って面白いなとつくづく思いますね。
ファンジー湖(Loch of Funzie)の周辺にある別の小さな湖の岸辺には、アビ(Colimbo chico)が居ました。卵を温めているのでしょうか、じっと動かずにちょっとぐったりしている様子でした。
その他の鳥たち
ファンジー湖(Loch of Funzie)を後にして、多分この島にある唯一のコーヒーショップに立ち寄って手作りのケーキとビスケットをお茶と一緒に頂きました。素朴な味で何だか気持ちがほっこりしました。その後、フェリーの時刻までかなりの時間があったので、海辺に降りていき散歩することにしました。
ここでも別の種類の鳥たちに出会うことができたので、紹介します。
-アジサシ(学名:Sterna hirundo / 西:Charrán común)
-ハジロコチドリ(学名:Charadrius hiaticula / 西:Chorlitejo grande)
-ユリカモメ(学名:Chroicocephalus ridibundus / 西:Gaviota reidora)
-ニシセグロカモメ(学名:Larus fuscus / 西:Gaviota sombría)
クロトウゾクカモメ(Págalo parásit)には会えませんでしたが、同じトウゾクカモメの仲間キタオオトウゾクカモメ(Págalo grande)には会えました。
-キタオオトウゾクカモメ(学名:Stercorarius skua / 西:Págalo grande)
車をのんびり走らせていると、道路沿いの家から人が出てきました。私たちの方を見ると手を挙げて挨拶しニッコリ笑顔をこちらに向けていました。この島に住む人たちは、島の訪問者たちにも温かい気持ちで接してくれます。居心地の良い所、そんなフェトラー島でした。
参考
旅のアドバイスとして、ちょっと一言。
フェトラー島往復のフェリーは、事前に予約していかれることを強くお薦めします。私たちは、フェリーの事前予約ができることに気が付かず、予約していませんでした。時間に余裕をもってフェリー乗り場まで行って待っていましたが、フェリー待機場所には予約済の車専用レーンと予約していない車専用レーンの二つがあり、予約していない車は私たちだけでした。幸運なことに、最後の1台分の場所に滑り込むことができ、無事にフェトラー島からイェル島(Yell island)のガッチャー(Gucher)フェリー港ま行くことができ、ほっと胸をなでおろしました。
下のウエブサイトからフェリーの予約ができますので、参考にしてください。
・フェリー時刻表・予約のウエブサイト
https://ferry.shetland.gov.uk/booking/web100.asp
・フェルター島についての公式サイト
第1回で紹介したアンスト島(Unst island)について興味のある方は、こちらからどうぞ。
https://goo.gl/maps/Un5g1xAVUKCm5to37