サラマンカの隠れスポット-カリスト&メリベアの庭(Huerto de Calixto & Melibea)

石畳の通り、石造りの建物の多いサラマンカの街の中にある「カリスト&メリベアの庭」は気持ちを和ませてくれる憩いのスポットです。ここに入ると季節の花の香りやさまざまな色彩の花たちが暖かく迎えてくれます。暑い夏には、木陰の下でホッと一息つける場所でもあります。

カリスト&メリベアの庭の入口(写真:筆者撮影)

ラ・セレスティーナ(La Celestina)の舞台

この庭の名前になっている「カリスト」と「メリベア」は、15世紀末に出版されたスペインの悲喜劇「ラ・セレスティーナ(La Celestina)」(原題は「カリストとメリベアの悲喜劇」)の主人公です。そしてこの庭がその戯曲の舞台といわれています。この戯曲を書いたフェルナンド・デ・ロハス(Fernando de Rojas)は、サラマンカ大学で法学を学んだと言われ、「ラ・セレスティーナ」の本の中で「アルセディア―ノ通り」の名前が出ていて、サラマンカに実在する「アルセディア―ノ通り」の突き当りにあるこの庭が舞台だろうと言われているわけです。

原題を見るとわかるように主人公はカリストとメリベアでしたが、二人の悲しい恋の仲立ちをした老女セレスティーナがあまりにもやり手婆さんで主人公よりも強烈な登場人物だったので、今では彼女の名前がこの本の題名になっているほどです。

「ラ・セレスティーナ(La Celestina)」はスペインの学校でも必ず勉強する本の一冊で、スペイン人にとってはセルバンテスの「ドン・キホーテ」と同じように知らない人のいないスペイン文学を代表する一冊です。奸智に長けたやり手婆さんのセレスティーナをはじめとするすべての登場人物の性格を鋭く描写し、身分階級に適した言葉使いや表現を駆使して、一人一人をくっきりと浮き彫りにしているところが何といってもこの本の醍醐味だと言えるでしょう。

3月にはプリムラの花が植えられ、眼を楽しませてくれます(写真:筆者撮影)

ラ・セレスティーナ(La Celestina)から生まれた言葉と絵画

このやり手婆さんの名前「セレスティーナ」から、「セレスティーナ(celestina)」という言葉が生まれました。「セレスティーナ(celestina)」の意味は、【売春斡旋業者、売春宿の主人、やり手ばばあ】と手元のスペイン語辞書には出ています。同じスペインの戯曲「セビリアの色事と石の招客」に出てくる「ドン・フアン」が【プレイボーイ、女たらし】の代名詞として知られているように、「セレスティーナ(celestina)」は【男女の仲介をする人、やり手婆さん】などの代名詞として使われるようになりました。

また、スペイン語に llevar (a alguien) al huerto という遠回しな表現があります。これは、性的関係を結ぶという意味です。最初の写真を見て頂くとわかりますが、「カリスト&メリベアの庭」はスペイン語では「Huerto de Calixto y Melibea」で、「Huerto」は本来の意味では「菜園、果樹園、畑」などの意味があります。この「Huerto」にカリストがメリベアを連れて行って逢引きしたという「ラ・セレスティーナ」の本からこの表現は生まれました。

そして「ラ・セレスティーナ」から生まれた絵画と言えば、宮廷画家として活躍したフランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya)が描いた「マハとセレスティーナ」とパブロ・ピカソのその名もずばり「ラ・セレスティーナ」です

どちらの作品もいかにもやり手婆さん、一癖も二癖もありそうな感じに描かれていますね。

Francisco de Goya:

             ゴヤの「マハとセレスティーナ」

パブロ・ピカソ、【ラ・セレスティーナ】、希少画集画、新品高級額・額装付、状態良好、送料無料、Pablo Picasso_画像1

    ピカソ 「ラ・セレスティーナ」

こんな「ラ・セレスティーナ」に思いを馳せながら、今では「菜園」ではなく「庭、公園」になっている「カリスト&メリベアの庭」をゆっくり散歩してみてくださいね。

ここからサラマンカ郊外も見渡せ、サラマンカ大聖堂やサン・エステバン修道院なども見れます。

是非、サラマンカに訪れた際はどうぞ。

サン・エステバン修道院。手前は城壁にある塔。(写真:筆者撮影)

カリスト&メリベアの庭 情報

カリスト&メリベアの庭(Huerto de Calixto y Melibea)

開園時間:10時~日没まで

入園料:無料

住所:サラマンカ市アルセディア―ノ通り12番地 郵便番号 37001(C/ Arcediano, 12. Salamanca. 37001 Salamanca)

サラマンカ観光案内所

住所:サラマンカ市マヨール広場32番地 郵便番号 37002 (P/ Mayor, 32. Salamanca. 37002 Salamanca)

電話番号:902 302 002 / 923 218 342

FAX:923 263 409

E-Mail:informacion@turismodesalamanca.com

Webページ:http:/www.salamanca.es

・スペイン演劇の研究・紹介をされている古屋雄一郎氏のウエブページに「ラ・セレスティーナ」について出ています。興味のある方はどうぞ。

theatrum mundi | スペイン文学史上の怪物 (theatrum-mundi.net)

カリスト&メリベアの庭から見える大聖堂(写真:筆者撮影)

ロマネスクへのいざない (2)- カスティーリャ・イ・レオン州-サラマンカ県(1)-サラマンカ旧大聖堂(Catedral Vieja de Salamanca)

カスティーリャ・イ・レオン州はロマネスク建築の宝庫だ。ここサラマンカの旧大聖堂こと「サンタ・マリア大聖堂(Catedral de Santa María)」はイチオシのロマネスク建築である。このサラマンカ旧大聖堂とゴシック様式のサラマンカ新大聖堂は、二つの大聖堂がまるで新大聖堂が旧大聖堂を包み込むように建っている。正面からではなく、アールヌーボー&アールデコの「カサ・リス美術館(Museo Casa Lis)」前のパチィオ・チコ広場(Plaza de Patio Chico)から右に曲がりエル・アルセディアノ通り(Calle El Arcediano)から見上げると、二つの大聖堂の様式の違いがよく見て取れとても興味深いものだ。サラマンカに訪れる人には是非見てほしいアングルだ。

左のドームは新大聖堂、右の塔は旧大聖堂 エル・アルセディアノ通り(Calle El Arcediano)より望む(写真:筆者撮影)

建設時の時代背景

サラマンカ旧大聖堂は、12世紀前半に造り始め13世紀に完成した。

12世紀前半とは1100年から1130年位だと言われている。その当時のスペインはまだ統一されておらず、8世紀からイスラムの支配を受けていた時代だ。そして11世紀後半からキリスト教の軍勢によるコンキスタ(国土回復運動)が進んでいた。

ここサラマンカは、1085年キリスト教側の王アルフォンソ6世によって完全にイスラム王国から取り戻されたが、それまでのサラマンカはキリスト教王国とイスラム教王国の境界地帯であったため、それぞれの王国によって何度も解放されたり征服されたりしていて、街は多くの戦いによって破壊され悲惨な状態だったようだ。荒れ果てた廃墟の如き街に再入植して活気を取り戻すために、アルフォンソ6世は、娘婿のフランス人ブルゴーニュ伯ライムンドに助けを求めた。ライムンド伯爵は、色んな所からやってきた多くの人を連れてサラマンカの街にやってきた。フランス人をはじめ、ポルトガル人、カスティーリャ人、山岳民族セラーノ人など、様々な人たちが新しい土地をもらえるという約束のもとに喜びいさんでやってきた。そして、新しい共同体を治める法律家や裁判官などもサラマンカに移り住んだ。

興味深いことに、その当時サラマンカに住む人々はキリスト教徒の人たちばかりではなく、キリスト教徒でありながらイスラム教徒の治下にいたモサラべと呼ばれる人たち、ユダヤ教を信仰するユダヤ人たち、この街に残ることにしたイスラム教徒(ムスリム)の人たちがいて、文化や宗教が異なる全ての人たちが皆一緒にサラマンカの街興しに参加して仲良く暮らしていた時代だった

そういう街の雰囲気の中で、サラマンカ旧大聖堂の建設は始まった。

サラマンカ旧大聖堂 窓際の柱にある装飾グリーンマンと山羊(写真:筆者撮影)

ロマネスク様式の大聖堂

その当時、ヨーロッパのなかで後に「ローマ風の建物」と呼ばれるロマネスク建築が主流になっていた。サラマンカ旧大聖堂は、建築当初は純粋なロマネスク建築による大聖堂を作ることを目的とされた。しかし建築期間が長くなり、12世紀後半にはフランスから入ってきたゴシック建築がスペインでも取り入れられ、このサラマンカ旧大聖堂でも最終段階で建築された身廊部分では、尖頭アーチで交差リブの丸天井部分等でゴシック様式を見ることができる

また、サラマンカの街が発展し大きくなってくると、さらに大きな大聖堂を造ることになった。 

そして新大聖堂が造られた際、旧大聖堂北側の外陣の一部と北側の翼廊が壊された。通常は旧大聖堂を完全に取り壊し新大聖堂を造り直すことが多かった中で、サラマンカの場合は、新大聖堂の建築に長い歳月が費やされ、旧大聖堂を残してミサを行う必要があったため崩壊を免れたと言われている。そのおかげで、ヨーロッパの中でも最も美しいロマネスク建築の大聖堂の一つといわれるサラマンカ旧大聖堂が今日まで残ったのである。

雄鶏をかたどった風見を戴く塔を外から見ると、まるで魚の鱗で覆われ、ほぼ円錐形をした4つの小さい塔や窓の周りに規則正しく丸い飾りがある細長い窓や屋根に施されたカールした飾り等々、そのオリジナルで美しい姿は、一目見たら忘れられない。初めてこの塔を見たとき、幼い頃に読んだヘンゼルとグレーテルの物語に出てくるお菓子の家を思い出し、可愛い塔だなと思って顔がほころんだことを思い出す。ゴシック建築のあまりにも壮大で威厳のある姿とは異なり、ロマネスク建築には丸味や温かさを感じさせられる

サラマンカ旧大聖堂の中 ゴシック様式である尖頭アーチの交差リブが見える(写真:筆者撮影)

大聖堂の役割

街の歴史を学ぶ上で、建築の歴史は、その当時の人々のニーズ、思想、宗教、生活の基盤、衛生状態、生活の知恵等々色々なものが見えてきて面白い。

サラマンカ旧大聖堂は、イスラム教徒の王国からキリスト教徒の王国へと奪回された後にキリスト教を中心にこれから街興しを行っていくという希望、キリスト教の誇示、そして中世の建築精神に基づき戦いの際の防御となる役目も担わされていた。実際、窓はまるで矢狭間(やざま)のようである。

大聖堂は、平和時にも戦争時にも人々の心を一つにする役割を担っていた。

サラマンカ旧大聖堂の建築には、キリスト教徒だけが参加したのではなく、前述のようにキリスト教徒でありながらイスラム教徒の治下にいたモサラべと呼ばれる人たち、ユダヤ教を信仰するユダヤ人たち、この街に残ることにしたイスラム教徒(ムスリム)の人たち全てが皆一緒にこの建築に携わった。全ての人は皆「神の子」であると言われ、宗教に関係なくサラマンカの町興しに精を出した。

昔も今も大聖堂はそこに住む人たちの心の拠り所となっているのである。

サラマンカ旧大聖堂 窓際の柱にある装飾ドラゴンか?(写真:筆者撮影)

祭壇画

サラマンカ旧大聖堂の中に入ると、目を奪われ釘付けにさせられるのが祭壇画だ。これは15世紀のゴシック様式美術で、聖母マリアとキリストの生涯を絵で表している。世界的に見ても素晴らしい祭壇画の一つと言えるものだ。

アプス(後陣)に取り付けるため壁に沿って半円状に53枚の絵が縦に11列、横に5段あり、そして下から1階と2階の中央には、サラマンカの守護聖人である聖女ベガ(Virgen de la Vega)の像がある。

祭壇画の上にはキリストを中心とする「最後の審判」が壁に直接描かれている。この祭壇画の美しさときらびやかさはそれだけでただただ祭壇画の前でいつまでもいつまでも見ていて飽きないものがある。しかし、その一つ一つの絵の意味が解るとまるで聖母マリアとキリスト二人の人生の壮大な蒔絵を見ているような、又は人生劇を見ているような感覚になる。この世界の宝ともいえる祭壇画を見ずにサラマンカを離れた人は一生後悔するだろう。

必見の祭壇画(写真:筆者撮影)

雄鶏の塔(Torre de Gallo)

ロマネスク様式には珍しく、ビザンチン帝国の伝統で東洋的要素である雄鶏を塔の上に飾ってある。これは、スペインの南部から来た東洋の建築様式の知識があった、キリスト教徒でありながらイスラム教徒の治下にいたモサラべ達がもたらしたものである。

雄鶏の形をした風見からこの塔の名前は付けられたが、雄鶏は魂を監視し、終末にキリストが再来するというシンボルであった。

サラマンカ旧大聖堂といえばこの「雄鶏の塔」と言われるほどシンボリックなものである。

夕方になると金色の大聖堂となる(写真:筆者撮影)

「イエロ二ムス」(Ieronimus)

このサラマンカ旧大聖堂はゴシック建築の新大聖堂の隣に建っているので、ロマネスク建築とゴシック建築の相違が一目でわかる。また、旧大聖堂の入口の右手に行くと小さな入口があり「イエロ二ムス」という大聖堂の屋根を歩けるコースが設けられている。これに参加してみると、間近で「雄鶏の塔」や新大聖堂の上部を見ることができ、お薦めのコースだ。大聖堂を見るにはいつも見上げるものだが、このコースを回ると視線の位置が平行や下方へと変わり、距離もグッと近くなるので、新しい発見、予期せぬ感動や驚きを体験できる。そして、大聖堂の高い部分から大聖堂の内部を見下ろせるというなかなかできない体験ができる。

サラッと外や中から大聖堂を見るだけではなく、もっとゆっくり時間をかけて二つの大聖堂と祭壇画を見て感じてほしい。

情報・お薦め動画

・サラマンカ大聖堂のオフィシャルサイト。旧大聖堂の紹介がある。日本語はないが、グーグル翻訳での英語版あり。

La Catedral Vieja – Catedral de Salamanca (catedralsalamanca.org)

・こちらは、スペイン語での解説だが、サラマンカ旧大聖堂の中の映像などが見れる。

La Catedral Vieja de Salamanca – YouTube

・説明はスペイン語だが、1枚1枚の祭壇画が紹介されていて興味深い。

El retablo del altar mayor de la Catedral Vieja de Salamanca – YouTube

・旧大聖堂の「雄鶏の塔」が間近で見ることができる。サラマンカに訪れる方には絶対体験していただきたい「イエロ二ムス」。

スペイン旅行 サラマンカ 「大聖堂の屋根を歩く」Ieronimus, Salamanca – YouTube

おいでよ!スペインの素敵な村(2)-カスティーリャ・イ・レオン州-ラ・アルベルカ(La Alberca)

アルベルカ (La Alberca) のマヨール広場 (Plaza Mayor) にある十字架 (写真:筆者撮影)

スペインで最も美しい村

サラマンカから車で1時間半程で行けるアルベルカの村は、「スペインで最も美しい村」という協会に認定され登録されている村の一つです。「日本で最も美しい村」という日本版の協会もあるのでご存知の方も多いかもしれません。ちなみに、この「スペインで最も美しい村」という協会は2011年に設立され、人口1万5000人以下(歴史地区の人口は5000人以下)であること、建築的遺産または自然遺産があることなどを条件に、村内の環境、宿泊施設、案内板に至るまで厳正に審査し、登録を認定しています。2020年12月末時点で、105村が認定されています。(ウィキペディアより)

そして、このアルベルカは1940年に歴史的・芸術的な村としてスペインで宣言された最初の村でもあります。これは、アルベルカの村があるシエラ・デ・フランシア(Sierra de Francia)地方の伝統的な建物によるものです。

この村は、ただただぶらぶらと歩きまわって見るだけでもとても美しい村です

イグレシア広場にある家々。夏になるとベランダの花が咲いて目を楽しませてくれます。(写真:筆者撮影)

また、この村からバトゥエカスと呼ばれる場所まで行くと、新石器時代の岩画が残っていて、歴史的にも古い地方です。バトゥエカスは、散歩道沿いに川が流れていて夏になると川遊びができ、涼しいので週末ともなると家族連れでにぎわいます。

また、カルメル会のバトゥエカス修道院(Monasterio de Las Batuecas)があり、現在も少人数の修道士達が静かに瞑想の生活を送っているそうです。一般観光客には公開されていませんが、一定の期間、世俗を離れて瞑想の生活を送りたい人々のための宿泊所として開かれています。

このアルベルカ辺りに住む人が増えてくるのは12~13世紀ころからです。そして、シエラ・デ・フランシア(Sierra de Francia)地方にある大きな岩の上であるペーニャ・デ・フランシア(Peña de Francia)にて聖母像が発見されると、礼拝堂が建てられ巡礼者が訪れるようになりました。15世紀のことです。「銀の道」というスペインのサンティアゴ巡礼の道の一つがこの礼拝堂を通り、南からの巡礼者たちの巡礼の道となっていたところでもあります。ちなみにこの礼拝堂は、標高1727mの岩山の上にあり、世界で最も高い位置にある礼拝堂です。冬になると雪のため通行不能になるような場所ですが、ここの修道士たちは南米やフィリピンへ宣教師として派遣されていたとのことです。

現在のようなアルベルカの村が作られていくのは16世紀末以降ですが、それまでアルベルカの村があるこの地方には、ローマ人、西ゴード人、ユダヤ人、アラビア人と様々な文化を持つ人々が綿綿と暮らしてきました

建物の特徴

この村の建物の特徴は、石と木材を使い、柱が見える真壁造り(しんかべづくり)となっていることです。

また、一階部分は石造りで二階から上が張り出した形になっていて、屋根に至っては向かいの建物の軒に届きそうなくらい張り出しています。この狭い通りの両側にある家々が作り出す光と影は、この村を散歩する際に是非楽しんでいただきたい点の一つです。

アルベルカの家々(写真:筆者撮影)

アルベルカの村を歩いていると、まるで迷路に迷い込んでしまったような錯覚を起こさせます。まるでユダヤ人街の中にいるようです。実際、アルベルカの村にはユダヤ教からキリスト教に改宗したユダヤ系の人が多く住んでいたとか。

アルベルカの村の中心はマヨール広場です。花崗岩でできたアーケード、古いバルコニー、石灰によって白塗りされた壁に光が当たるとまばゆいばかりの白です。白壁と横木のこげ茶色のコントラストが奏でる軽快なリズムを是非自分自身で感じてみてください。

夏になると、バルコニーに色とりどりの花が飾られて私たちの目を楽しませてくれます。

まるで集合写真を撮るかのように十字架の足元に集まる若者たち(写真:筆者撮影)

家の扉の上にある様々なしるし

村の道を歩きながら家々を見ていくと、扉の上にその家が建てられた年や紋章のようなものが彫られていることにすぐ気づくことでしょう。

これらは、キリスト教ドミニコ会の紋章や異端尋問であるインキシシオン(Inquisición)の紋章等やアナグラムが刻まれています。なぜこのような宗教的な紋章を刻んだのでしょうか。ここアルベルカは前述したようにユダヤ教からキリスト教に改宗したユダヤ系の人や、またイスラム教からキリスト教に改宗した人も多かったのですが、自分たちはちゃんと改宗していますよという信仰の目じるしとして、自分の家の扉の上に刻み込んで信仰を表明したと言われています。

ちなみに、ドミニコ会はスペインにおいて異端の改宗と取り締まりを先頭に立って活動していた修道会です。スペインカトリックの暗い時代の片鱗をこの村の家々に見るような気がしました。

ドミニコ会紋章(写真:筆者撮影)
インキシシオン(Inquisición)紋章(写真:筆者撮影)))

手工芸品・お土産

今回、私は有名なアルベルカの蜂蜜を自宅用のお土産に買って帰りました。周囲を山で囲まれたこのアルベルカは、特に栗の花の蜂蜜が有名です。実はまだ栗の花の蜂蜜を食べたことがなかったのですが、濃厚でちょっとビターな今まで食べた蜂蜜とは全く違う味でとても美味しいものでした。また、美味しいだけではなく、栗の花の蜂蜜には様々な効能があるとのこと。含有するタンニンが、動静脈にくっつこうとする脂肪を回避する働きをしてコレステロールを下げたり、酸化防止によるアンチエイジングの効能もあります。その他、血の巡りを良くしたり、鉄欠乏性貧血の方には鉄分補給にも役立ち、抗菌等の効能もあり、蜂蜜の中でも特に体に良い蜂蜜だそうです。

他に、私の好きなラベンダーの蜂蜜とクリーム状の蜂蜜も買ってきました。お土産に良いサイズでラベルも可愛くて、お友達にプレゼントしても喜ばれそうです。日本ではあまり売ってない蜂蜜もいろいろありますよ。イグレシア広場にある今年オープンしたてのお洒落なお店「レイナ・シエラ・デ・フランシア(Reina Sierra de Francia)」を見つけたので紹介します。現在(2021年1月)はコロナウイルスのため行われていませんが、蜂蜜採集などを体験するツアーなども開催したいとのことでしたので、コロナ収束後が楽しみです。

お洒落なハチの巣形の棚(写真:筆者撮影)
右から栗・クリーム・ラベンダーの蜂蜜(写真:筆者撮影)
試食用の蜂蜜(写真:筆者撮影)

他にアルベルカのお土産でお薦めなのは、伝統手工芸品である刺繍が施されている布ものです。

色彩豊かで見ているだけで気持ちが明るくなるようなその素晴らしい刺繍は、母から娘へ、娘から孫へと伝わってきた伝統的なものです。モチーフとしては鳥や魚、ライオンや双頭の鳥、花柄に宗教的な絵柄等です。それぞれに意味があるそうで、鳥は女性、ライオンは男性を表し、双頭の鳥は結婚を意味するとか。また、色合いにも意味があり、全体の柄を青色で刺繍する場合は「死」を表し、故人と共に棺に入れて埋葬していたそうです。大きなテーブルクロスなどはちょっと手が出ないくらい高価なものも多いのですが、花瓶敷きなど小物であれば手ごろな値段で買えるので、お土産にはもってこいですね。

また、同じ柄の陶器もアルベルカの工芸品の一つです。

私も次回アルベルカへ行ったときは、サラダボールを買いたいなと思っています。陶器は割れる心配もあるのでお土産にはためらわれるかもしれませんが、小さな指ぬきや小皿等だったら割れる心配はないかもしれません。こんな素敵な柄のカップでお茶を飲みながらアルベルカの村の思い出に浸るのもいいですね!

Artesanía
「La Alberca」ウエブサイトより

お薦め

アルベルカには是非一泊することをお薦めします!

何故なら、陽が沈み、空気が冷たくなる時刻には街灯がつき始め、お昼とは全く異なる顔のアルベルカを見せてくれるからです。夜になると多かった観光客もグッと少なくなり、お昼に歩いた通りをもう一度歩いてみると、まるでタイムスリップしたような錯覚に陥ります。300年以上も前に同じ石畳の道を改宗したユダヤ系の人たちやアラビア系の人たち、そしてローマ人や西ゴード人の末裔の人たちが、おしゃべりしながら闊歩していたことを想像するのは楽しいものです。流石に、その頃は東洋人は居なかっただろうななどと思いながら歩いていると、ついついもし当時の人が私に出会ったらどんな顔するかしら、などと勝手な想像が膨らんできます。スペインの保存状態の良い村々を訪れる機会があれば、是非一泊されて時空の旅を楽しまれることをお薦めします

オレンジ色の街灯は暖かいイメージを抱かせてくれて、今回冬に訪れた際もかなり寒さが厳しかったにも拘わらず、心はほっこりと暖かくなりました。コロナウイルスの影響で泊まることはできませんでしたが、朝日を浴びたアルベルカの村もきっと素晴らしく、別の印象を与えてくれることでしょう。

オレンジ色の街灯がついたマヨール広場(写真:筆者撮影)

食べ物では、アルベルカの村でリモン・セラーノ(Limón Serrano)と呼ばれるこの地方の名物料理やオルナッソ(Hornazo)を是非お試しください。

また、アルベルカの村から近いサン・マルティン・デル・カスタニャル(San Martín del Castañar)モガラス (Mogarraz)にもぜひ足を延ばしてほしいですね。サン・マルティン・デル・カスタニャル(San Martín del Castañar)とモガラス (Mogarraz)も「スペインで最も美しい村」という協会に認定され登録されている村です。

このシエラ・デ・フランシア(Sierra de Francia)地方は、遊歩道もいろいろあり、散歩するのにもいい場所です。是非、一度訪れてみてくださいね!

アルベルカと周辺 情報

La Alberca :日本語版もあります!アルベルカがざっくり紹介されています。

Historia – La Alberca :アルベルカの歴史について。残念ながらスペイン語のみです。

Oficina de Turismo Municipal de la Alberca – Portal de Turismo de la Junta de Castilla y León (turismocastillayleon.com):カスティーリャ・イ・レオン州のオフィシャルサイト。日本語はありませんが、英語はあります。

Mancomunidad de la Sierra de Francia(サラマンカ)の観光ポータル (turismosierradefrancia.es) :シエラ・デ・フランシア(Sierra de Francia)地方全体を紹介したウエブサイト。日本語版もあります。

レイナ・シエラ・デ・フランシア(Reina Sierra de Francia) Reina Sierra de Francia – ホーム | Facebook:このブログで紹介した蜂蜜のお店。教会の前にあります。

住所:ラ・イグレシア通り32番地 アルベルカ サラマンカ県(C/La Iglesia, 32 La Alberca)   TEL:(34)675 394 593 / (34) 639 180 852  E-mail:reinasierradefrancia@hotmail.com

おいでよ!スペインの素敵な村(1)-カスティーリャ・イ・レオン州-カンデラリオ(Candelario)

ベハール(Béjar)からカンデラリオ(Candelario)の遊歩道

10月末、お天気が良かったので栗拾い兼紅葉を見にカスティーリャ・イ・レオン州のサラマンカ県にあるカンデラリオ(Candelario)という村に行ってきました。標高1136mというこの村は、サラマンカ市内から車で小一時間程です。紅葉にはちょっと早かったのですが、カンデラリオの村の近くにあるベハール(Béjar)という街に車を止めて、カンデラリオの村に続く遊歩道を気持ちよく散歩できました。ベハールからカンデラリオの村までは約4km、ゆっくり歩いても1時間程です。小さい子供連れでも、あまり歩きなれていない人でも無理なく歩ける遊歩道です。

ベハールの街がみえます。写真:筆者撮影

歩いていると、カウベルが鳴り牛たちがのんびりと草を食む光景や、鳥の鳴き声が聞こえてくる歩道が急に細くなって林の中に誘ってくれる小道や、石橋がある川を渡ったり、乾燥したサラマンカ県の気候の中ではこの辺りは割と雨が多いところなので、普段はめったに見られないコケ蒸した石垣の道を通ったりと、なかなか変化に富んだ遊歩道です。

牛が草を食む牧歌的な風景 写真:筆者撮影

お目当ての栗も拾えました。家族連れで栗拾いを楽しんでいる人もいましたよ。この辺りの栗は小粒ですが、焼いて食べると味は良いですね。我が家でも帰った後、早速オーブンで焼いて食べました。

遊歩道に沿った苔むした石垣 写真:筆者撮影

スペインで最も美しい村

さて、1時間以上かけてゆっくりとカンデラリオの村に着きました。このカンデラリオの村は、「スペインで最も美しい村」という協会に認定され登録されている村の一つです。「日本で最も美しい村」という日本版の協会もあるのでご存知の方も多いかもしれません。ちなみに、この「スペインで最も美しい村」という協会は2011年に設立され、人口1万5000人以下(歴史地区の人口は5000人以下)であること、建築的遺産または自然遺産があることなどを条件に、村内の環境、宿泊施設、案内板に至るまで厳正に審査し、登録を認定しています。2020年8月末時点で、94村が認定されています。(ウィキペディアより)

標高1136mの村カンデラリオ。右上の山には薄っすらと雪が積もっていました。 写真:筆者撮影

ここカンデラリオの村は2015年に「スペインで最も美しい村」に登録されましたが、その伝統的な建築により歴史的・芸術的な場所としても宣言されています。遊歩道からカンデラリオの村への入り口に、「カンデラリオ サラマンカの史跡ルート」なる看板が立っていました。

カンデラリオ山脈は、サラマンカ県、アビラ県、カセレス県にまたがり、その美しく多様な風景は、フユナラと栗の森におおわれた渓谷による河川と、氷河の浸食作用によって形成された地形の1つである圏谷とによってつくられています。

この自然の飛び地は、「共同遺産地区」並びに「野鳥保護特別地区」に指定されています。また、2006年にユネスコ協会により「ベハール山脈とフランス山脈の生物圏保護区」の一部として生物圏保護地区(ユネスコエコパーク)として宣言されました。ちなみに、スペインはこの生物圏保護地区(ユネスコエコパーク)に登録されている場所は、現在52か所あり、ヨーロッパの中でもかなり多い国です。

カンデラリオの村は、坂の多い可愛い村です。小さい村ですが、隅々まで歩いて周ると色んな発見があります。今回数年ぶりにこの村を訪れましたが、村の所々に様々な説明板がありました。残念ながらスペイン語しかありませんでしたが。この村を週末や夏に訪れると、結構な数の観光客で賑わっていますが、今回はお天気も良い週末にもかかわらず、コロナウイルスの影響で人っ子一人居ない閑散とした状態でした。いつもなら人のいない写真を撮るのに一苦労するところですが、今回はまるで村全部を貸し切っているかのような感じでした。コーヒーを飲みに入ったバルの人と話すと、「本当にいつもの賑わいが戻ってほしい」と残念がっていました。心からコロナウイルスの収束を願ってやみません。

左側に見えるバルでコーヒーを飲みました。本当に人が全く居なくて驚くやら悲しいやら・・・。 写真:筆者撮影

ラ・カサ・チャシネラ(La Casa Chacinera)

さて、カンデラリオの村の特徴の一つは、何といってもその建築にあります。18世紀初頭から「チョリソ」や「サルチチョン」と呼ばれるスペインのソーセージやサラミ等豚肉製品を作る産業が盛んになってくると、「チョリソ」や「サルチチョン」作りに適した家屋を造るようになりました。そして、一階は肉製品加工所、二階は居住する場所、そして三階は乾燥室並びに一階で加工した物を保管する倉庫である三階建ての家が造られ始めました。それらの家を「ラ・カサ・チャシネラ(豚肉製品用家屋)」と呼び、この村の特徴の一つとなったわけです。

「ラ・カサ・チャシネラ」一階は肉製品加工、二階は居住用、三階は乾燥室並びに一階で加工した物を保管する倉庫 写真:筆者撮影

バティプエルタ(Batipuerta)

上の写真でもみえますが、この村にある建物の特徴のもう一つに、「バティプエルタ」と呼ばれる扉があります。本扉の前に付けられた下から半分だけの扉です。この「バティプエルタ」には多様な用途があったようで、それらは、①通りに降り積もった雪から本扉を守るため ②動物たちが勝手に家の中に入るのを避けるため ③本扉を開け放ったままで自然光や風が建物の中にも入るためのものでした。

昔のスペインでは、犬や猫だけではなく豚や牛などの家畜も放し飼いにされていて、家の中に勝手にお邪魔してくる家畜たちも少なくはありませんでした。そこで、この「バティプエルタ」が活躍するわけです。また、前述したようにスペインソーセージやサラミ「チョリソ」「サルチチョン」等の豚肉製品を加工する際、自然光がよく入り、風通しを良くするためにもこの「バティプエルタ」はなくてはならないものでした。

自然や産業に適した建物を造り、そこには生活の知恵や生活様式が反映されていてとても興味深いです。その上、ただ単に半分に切った扉ではなく、デザイン的にもなかなかお洒落です。

「バティプエルタ」 写真:筆者撮影

ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アスンシオン教会(Iglesia de Ntra. Sra. de la Asunción)

村の高い所に建てられたアスンシオン教会は、1329年に建設が始まり、ロマネスク、ゴシック、ムデハル、バロックと様々な様式が混在しているためか、ちょっと不思議な印象を与えられる教会です。外側から見ると飾り気はないけれど力強く古拙な感じを受けますが、中に入るとその独特なスタイルに驚かされます。

石畳の階段を上るとアスンシオン教会が建っています 写真:筆者撮影

祭壇の上を飾るムデハル様式の天井は一見の価値ありです。ムデハル様式とは、スペインの建築様式の一つで、イスラム教徒の建築様式とキリスト教徒の建築様式が融合したイベリア半島特有の様式です。特徴として建物の壁面に幾何学文様の装飾を施していますが、この教会のムデハル様式の天井は約100㎡の大きさがあり、ポリクロームと呼ばれる多色装飾による99個の星が施されています。

鮮やかに多色装飾された美しい天井 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

村巡りのすすめ

今回は紹介しませんでしたが、この遊歩道の出発点がある「ベハール」の街も見るところが沢山あります。また、もう少し足を延ばすと「モガラス(Mogarraz)」や「ミランダ・デル・カスタニャル (Miranda del Castañar)」や「ラ・アルベルカ(La Alberca)」という「スペインで最も美しい村」に登録されている素敵な村々もありますよ。是非、車を借りて、村巡りを楽しんでみてください。マドリッドやバルセロナ等の大都市にはない、もっとディープなスペインに出会えること間違いなしです。

カンデラリオの村の隅々に流れる水路。山からの水は冷たかった!

「ラ・アルベルカ(La Alberca)」についてはこちらもどうぞ。

「ムセオ・カサ・チャシネラ」博物館 開館情報

・「ムセオ・カサ・チャシネラ」カンデラリオにある博物館。

住所: カジェ・ペラレス3番地(Calle Perales, 3 )

郵便番号 37710 カンデラリオ( Candelario)サラマンカ県 ( Salamanca ).

電話番号:(34)695 56 34 91

E-mail:museocasachacinera@gmail.com. 

開館時間:土曜日 17:30~19:00 日曜日 11:30~13:00

一風変わった博物館で、ここに訪れると1920年頃にタイムスリップし、「チョリソ」「サルチチョン」などを作る人達の姿を見ることができます。というのも、博物館に居る人たちがその当時の服装で迎えてくれ、芝居によって説明してくれるからです。芝居はスペイン語ですが、当時の服装、仕事ぶりを見るのも楽しいものです。是非、立ち寄って見てくださいね。

http://www.candelario.es/museo-casa-chacinera-de-candelario/

スペインでバードウォッチング!-カスティーリャ・イ・レオン州-ベハール(Bejar)からカンデラリオ(Candelario)への遊歩道

私が住むカスティーリャ・イ・レオン州のサラマンカ県にあるベハールという町からカンデラリオというとても美しい村までの遊歩道でバードウォッチングしてきました。

このベハールからカンデラリオの地域は、2006年にユネスコ協会により「ベハール山脈とフランス山脈の生物圏保護区」(ユネスコエコパーク)として宣言されました。また、「野鳥保護特別地区」にも指定されており、バードウォッチングには最適の場所です。

カンデラリオ(Candelario)の山々 / 写真:筆者撮影

今回、出会えた鳥たちは以下の通りです。

・カケス(学名:Garrulus glandarius / 西:Arrendajo)

カケス(学名:Garrulus glandarius / 西:Arrendajo)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・タンシキバシリ(学名:Certhia brachydactyla / 西:Agateador Europeo o Agateador Común)

タンシキバシリ(学名:Certhia brachydactyla / 西:Agateador Europeo o Agateador Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ゴジュウカラ(学名:Sitta europaea / 西:Trepador Azul)

ゴジュウカラ(学名:Sitta europaea / 西:Trepador Azul)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・マミジロキクイタダキ(学名:Regulus ignicapilla / 西:Reyezuelo Listado)

マミジロキクイタダキ(学名:Regulus ignicapilla / 西:Reyezuelo Listado)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・アオガラ(学名:Cyanistes caeruleus / 西:Herrerillo Común)

アオガラ(学名:Cyanistes caeruleus / 西:Herrerillo Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・カンムリガラ(学名:Lophophanes cristatus / 西:Herrerillo Capuchino)

カンムリガラ(学名:Lophophanes cristatus / 西:Herrerillo Capuchino)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・シジュウカラ(学名:Parus major / 西:Carbonero Común)

シジュウカラ(学名:Parus major / 西:Carbonero Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ヒガラ(学名:Periparus ater / 西:Carbonero Garrapinos)

ヒガラ(学名:Periparus ater / 西:Carbonero Garrapinos)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・クロジョウビタキ(学名:Phoenicurus ochruros / 西:Colirrojo Tizón)

ヒガラ(学名:Periparus ater / 西:Carbonero Garrapinos)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・エナガ(学名:Aegithalos caudatus / 西:Mito)

エナガ(学名:Aegithalos caudatus / 西:Mito)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)

カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・シロエリハゲワシ(学名:Gyps fulvus / 西:Buitre Leonado)

シロエリハゲワシ(学名:Gyps fulvus / 西:Buitre Leonado)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・アカゲラ(学名:Dendrocopos major / 西:Pico Picapinos)

アカゲラ(学名:Dendrocopos major / 西:Pico Picapinos)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・チャイロツバメ(学名:Ptyonoprogne rupestris / 西:Avión Roquero)

チャイロツバメ(学名:Ptyonoprogne rupestris / 西:Avión Roquero)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・モリバト(学名:Columba palumbus / 西:Paloma Torcaz)

モリバト(学名:Columba palumbus / 西:Paloma Torcaz)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

カンデラリオの村についてすぐの公園で、持参したサンドウィッチのお弁当を広げお昼にしましたが、その公園内にはたくさんの木が植えてあり、そこでも様々な鳥に出会えました。愉快だったのは、夫が持参していた携帯電話のアプリを使って鳥の鳴き声を付けると、シジュウカラやアオガラ、マミジロキクイタダキなどが近くの木に集まってきたことです!! あまりにたくさんの鳥たちが集まってきたのでびっくりしました。鳥の鳴き声のアプリって、鳥を引き寄せるには効果的なんですね!

ここカンデラリオの村は2015年に「スペインで最も美しい村」に登録された、坂の多いとてもかわいい村です。バードウォッチングをした後は、村でゆっくり観光してみませんか?バードウォッチングと美しい村観光という二重の楽しみを味わえますよ!

カンデラリオ(Candelario)の村 / 写真:筆者撮影

スペインでバードウォッチング!-世界一大きな飛べる鳥「ノガン」を見に行こう!-カスティーリャ・イ・レオン州「ビジャファフィラ・ラグーン(Lagunas de Villafafila)」

                              観察日:2020年10月18日

                               観察した鳥の種類:34種類

ビジャファフィラ・ラグーン(ビジターセンターが見えている)/写真:筆者撮影

ヨーロッパ中のバードウォッチャーがやってくるバードウォッチングの聖地

今回は、カスティーリャ・イ・レオン州のサモーラ県にある自然保護区で、ラムサール条約登録地でもある、「ビジャファフィラ・ラグーン(Lagunas de Villafafila)」に行ってきました。ここは、地球上にいる飛べる鳥類としては世界一大きな鳥「ノガン(Avutarda)」が生息していることで有名で、ヨーロッパ中のバードウォッチャーがやってきます。コロナウイルス感染者が増加中であるにもかかわらず、イギリスから来たというバードウォッチャーにも今回出会いました。「ノガン」は、オスの方がメスより大きいのですが、オスは全長115㎝、18㎏です。なかなか飛んでいるところは見れないのですが、飛ぶ姿はなかなかの見物です。久しぶりに見れたらいいな~と期待しながら行ってきました。私が住んでいるサラマンカからは車で約1時間ちょっと。この日はお天気にも恵まれ、とても気持ちの良い一日でした。

ゴーストタウン「オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)」

ビジャファフィラのビジターセンターの開館時間まで、近くの村「オテロ・デ・サリエゴ」に行き、早速、野鳥観察。ちなみに、この村は今では全く住む人のいないゴーストタウンです。今は廃墟となった教会や、この地方でよくみられる鳩舎(Palomar)などが残っていますが、ここの住人はの野ウサギや様々の鳥たちです。鳩舎を再現したハイドが造られていて、ゆっくりのんびり思う存分野鳥観察が楽しめます。今回は、夏から全く雨が降らなかったせいか、村にある大きなラグーンはかなり干上がって小さくなっていて、残念ながら、ここではあまり水鳥は見れませんでした。でも、他の鳥は結構見れましたよ。

廃墟と化した鳩舎(Palomar)/写真:筆者撮影

この地域は野鳥保護区に指定されていて、生息数が激減している「ヒメチョウゲンボウ」もよく見れます。世界の42%に当たるヒメチョウゲンボウが、ここカスティーリャ・イ・レオン州に生息し、そのうち50%がこの野鳥保護区にいるとのこと!。実際、車でゆっくり走っていると道の両側に「飛ぶヒメチョウゲンボウ」や「止まっているヒメチョウゲンボウ」をあちこちで簡単に見ることができます。

オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)のハイド。鳩舎(Palomar)を再現しています。向こう側にはラグーンが広がっているはずでしたが、残念ながら干上がって水がみえません。/ 写真:筆者撮影

この地方は、「パロマール(Palomar)」と呼ばれる鳩舎があちこちで見られます。これは、鳩のひな鳥(Pichón)を食用とし、鳩の糞を肥料に使用するために造られていました。現在では、一般家庭で鳩のひなを食べる習慣はあまりないようですが、レストランでは鳩のひな料理が食べられますよ。

ラグーンには、ローマ時代の橋も残っています。(Puente Romano)/写真:筆者撮影

今回、オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)で出会えた鳥たちは以下の通りです。

・ソリハシセイタカシギ(学名:Recurvirostra avosetta / 西:Avoceta Común)

ソリハシセイタカシギ(学名:Recurvirostra avosetta / 西:Avoceta Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ツクシガモ(学名:Tadorna tadorna / 西:Tarro Blanco)

ツクシガモ(学名:Tadorna tadorna / 西:Tarro Blanco)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ハイイロガン(学名:Anser anser / 西:Ansar Común)

ハイイロガン(学名:Anser anser / 西:Ansar Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・マガモ(学名:Anas platyrhynchos / 西:Anade Azulón)

マガモ(学名:Anas platyrhynchos / 西:Anade Azulón)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・アカトビ(学名:Milvus milvus / 西:Milano Real)

アカトビ(学名:Milvus milvus / 西:Milano Real)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ノビタキ(学名:Saxicola rubicola / 西:Tarabilla Común)

ノビタキ(学名:Saxicola rubicola / 西:Tarabilla Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・クロヅル(学名:Grus grus / 西:Grulla Común)

クロヅル(学名:Grus grus / 西:Grulla Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

10月18日に野鳥観察に行ったのですが、驚いたことに、クロヅルの群れの中に一回り大きく白いツルが一羽混じっていました。どうもこれは日本のタンチョウヅルだったようです。ビジャファフィラの野鳥のサイトにも17日と22日に目撃されたことが出ていました。ちょっと遠くてよくは見えなかったのですが、こんな遠い西の果ての国でタンチョウヅルに出会えるとは嬉しい驚きでした。

・アカアシイワシャコ(学名:Alectoris rufa / 西:Perdíz Roja)

アカアシイワシャコ(学名:Alectoris rufa / 西:Perdíz Roja/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ヨーロッパチョウヒ(学名:Circus aeruginosus / 西:Aguilucho Lagunero)

ヨーロッパチョウヒ(学名:Circus aeruginosus / 西:Aguilucho Lagunero)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・イソシギ(学名:Actitis hypoleucos / 西:Andarrios Chicos)

イソシギ(学名:Actitis hypoleucos / 西:Andarrios Chicos)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ハタホオジロ(学名:Miliaria calandra / 西:Escribano Triguero)

ハタホオジロ(学名:Miliaria calandra / 西:Escribano Triguero)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・タゲリ(学名:Vanellus vanellus / 西:Avefría)

タゲリ(学名:Vanellus vanellus / 西:Avefría)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ハシグロヒタキ(学名:Oenanthe oenanthe / 西:Collalba Gris)

・ヒメチョウゲンボウ(学名:Falco naumanni / 西:Cernícalo Primilla)

ヒメチョウゲンボウ(学名:Falco naumanni / 西:Cernícalo Primilla)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・チョウヒワシ(学名:Circaetus gallicus / 西:Águila Culebrera)

チョウヒワシ(学名:Circaetus gallicus / 西:Águila Culebrera)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ワタリガラス(学名:Corvus corax / 西:Cuervo)

・ニシコクマルガラス(学名:Corvus monedula / 西:Grajilla)

・カワラバト(学名:Columba livia / 西:Paloma Doméstica o Paloma Bravía)

「ノガン(Avutarda)」との再会

さて、オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)からビジャファフィラ(Villafafila)まで行き、ビジターセンターに寄ろうとしましたが、残念ながらコロナウイルス感染予防のため、ビジターセンターの中には入れませんでした。このビジターセンターは、ビジャファフィラ・ラグーンで昔塩が取れていたその歴史や塩の採取方法などが詳しく説明されたパネルなどもあり、一見の価値ありです。次回行くときはコロナウイルスが終息していることを祈りながら、ビジターセンターの外の敷地内での野鳥観察に行きました。敷地内には、幾つものハイドが造られていて、ゆっくりバードウォッチングを楽しめます

カサ・デル・パルケ(Casa del Parque)と呼ばれるビジターセンター / 写真:筆者撮影

今回見た鳥たちは以下の通りです。

・ノガン(学名:Otis tarda / 西:Avutarda)

ノガン(学名:Otis tarda / 西:Avutarda)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・カイツブリ(学名:Tachybaptus ruficollis / 西:Zampullín Común o Zampullín Chico)

カイツブリ(学名:Tachybaptus ruficollis / 西:Zampullín Común o Zampullín Chico)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・オオバン(学名:Fulica atra / 西:Focha Común)

オオバン(学名:Fulica atra / 西:Focha Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・タシギ(学名:Gallinago gallinago / 西:Agachadiza Común)

タシギ(学名:Gallinago gallinago / 西:Agachadiza Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ハシビロガモ(学名:Anas clypeata / 西:Pato Cuchara)

・オカヨシガモ(学名:Mareca strepera/ 西:Ánade Friso)

オカヨシガモ(学名:Mareca strepera/ 西:Ánade Friso)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ヒドリガモ(学名:Anas penelope / 西:Ánade Silbón)

ヒドリガモ(学名:Anas penelope / 西:Ánade Silbón)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・コサギ(学名:Egretta garzetta / 西:Garceta Común)

コサギ(学名:Egretta garzetta / 西:Garceta Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ダイサギ(学名:Egretta alba / 西:Garceta Grande)

ダイサギ(学名:Egretta alba / 西:Garceta Grande)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・イエスズメ(学名:Passer domesticus / 西:Gorrión Común)

イエスズメ(学名:Passer domesticus / 西:Gorrión Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)

カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・バン(学名:Gallinula chloropus / 西:Gallineta Común)

・シュバシコウ(学名:Ciconia ciconia / 西:Cigueña Blanca)

シュバシコウ(学名:Ciconia ciconia / 西:Cigueña Blanca)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・アオサギ(学名:Ardea cinerea / 西:Garza Real)

アオサギ(学名:Ardea cinerea / 西:Garza Real)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ヨーロッパノスリ(学名:Buteo buteo / 西:Busardo Ratonero)

・ムジホシムクドリ(学名:Sturnus unicolor / 西:Estornino negro)

・ムジホシムクドリ(学名:Sturnus unicolor / 西:Estornino negro) / 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

飛ぶ「ノガン」には出会えませんでしたが、ビジターセンター(Casa del Parque)敷地内で傷ついた「ノガン」を飼っていて、ハイドからゆっくり観察することができました。本当に近くから見るとかなり大きいサイズの鳥だということを実感できます。このビジャファフィラ・ラグーンは、スペインの中でも最も「ノガン」が多く生息している場所です。今回は、秋に行ったので野生の「ノガン」はかなり遠くに、かすかに確認できるぐらいにしか見えなかったのですが、恋の季節に当たる3月から4月には、よく見えるそうです。現在、ビジャファフィラで確認されている「ノガン」の数は約3000羽で、ヨーロッパ全体で2万5000羽ほどが生息していると言われています。

ビジターセンター(Casa del Parque )敷地内にあるハイドの一つ / 写真:筆者撮影

是非、一度は世界一大きな飛べる鳥「ノガン」や、「ヒメチョウゲンボウ」に会いに、ビジャファフィラ・ラグーンまで望遠鏡持参で来てくださいね!

ビジャファフィラ 情報

・ビジャファフィラ・ラグーンについての一般情報やビジターセンター、「ノガン(Avutarda)」や「ヒメチョウゲンボウ(Cernícalo Primilla)」の情報が紹介されています。ただ、残念ながらスペイン語版のみです。左側の「Fauna」の「Avistamientos」をクリックすると、最新の目撃された鳥の名前が出てきます。

https://villafafila.com/default2.asp

・カスティーリャ・イ・レオン州の公式観光ウエッブページ。これは英語もあります。

https://www.turismocastillayleon.com/es/rural-naturaleza/espacios-naturales/reserva-natural-lagunas-villafafila#locale=es_ES!nearLat=41.85600299999999!nearLon=-5.593235999999992!nearDistance=40!minLat=44.385354163710005!minLon=-2.4190489023474515!maxLat=39.145651419206914!maxLon=-8.78936102683819!zoom=6

・サモーラ県観光ウエッブページ。英語版もあります。

https://www.turismoenzamora.es/villafafila/

ビジャファフィラ近辺 観光情報

・スペイン観光公式サイト。サモーラ県の10点の魅力を日本語で紹介しています。

https://www.spain.info/ja/toppu/samora-wo-otozureru-riyuu/

・ビジャファフィラから割と近くに廃墟となった12世紀のシトー会の修道院「サンタ・マリア・デ・モレルエラ修道院(Monasterio de Santa María de Moreruela)」があります。興味のある方は立ち寄ってみてください。

https://www.romanicozamora.es/es/monumentos/ver/monasterio-granja-de-moreruela/141

スペインでバードウォッチング-サラマンカ・トルメス川沿い

コロナウイルス危機により、スペインではいまだに警戒事態が続いていて、6月21日以降にやっと警戒事態宣言終了となる予定です。スペインの警戒事態宣言は罰金を伴った外出禁止令が出され、日本の非常事態宣言に比べるととても厳しいもの。必需品の買い物、許可された職場や病院等へ行く以外では全く外出ができない時期が約50日間も!その間、車も人も全く姿を消した街の中では、鳥たちのさえずりの声がひときわよく聞こえ、こんなにも鳥がこの町には居たのか!と今更ながらの驚きの発見でした。鳥たちのさえずりは、家から出れない不自由な身を辛く感じ、自由な身の鳥たちを心底羨ましく思うと同時に、心を癒してくれるものでもありました。そして、外に出れないながらも鳥たちのさえずりの声によって春の訪れを感じることができた初めての経験でもありました。

2020年6月17日現在も、感染者数が多く死亡者も多かったマドリッドに近いサラマンカは県外への移動は禁止されています。そういう状況なので、今回は我が家から歩いて15分位にあるトルメス川沿いへ、家の中から声だけ聴いていた鳥たちを探しにバードウォッチングに行ってきました。

夕方6時くらいから1時間半くらいゆっくり歩いて、川沿いや遊歩道沿いの鳥たちを楽しめました。久しぶりに鮮やかな青色が美しいカワセミに出会ったり、本来ならばスペインでは見られないワカケホンセイインコも見ました。家で観賞用に飼っていたインコが逃げたか、逃がされたのか、どちらにしても今やすっかり野生化してかなりの数のワカケホンセイインコが、トルメス川沿いにコロニーを作り居ついています。鳴き声がかなりうるさいくらいです。散歩道の真ん中にズアオアトリが降りてきて、自転車に乗った若者が通るまでじっくり観察できました。日本では見られない鳥で、名前の通り頭が青く体は茶色のかわいらしい姿に魅せられました。

今日会った鳥たちは次の通りです。

・カワセミ(学名:Alcedo atthis / 西:Martín Pescador)

・モリバト(学名:Columba palumbus / 西:Paloma Torcaz)

モリバト(学名:Columba palumbus / 西:Paloma Torcaz)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ツバメ(学名:Hirundo rustica / 西:Golondrina común)

ツバメ(学名:Hirundo rustica / 西:Golondrina común)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ニシイワツバメ(学名:Delichon urbicum / 西:Avión común)

ニシイワツバメ(学名:Delichon urbicum / 西:Avión común)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ヨーロッパアマツバメ(学名:Apus apus / 西:Vencejo común)

・ズアオアトリ(学名:Fringilla coelebs / 西:Pinzón)

ズアオアトリ(学名:Fringilla coelebs / 西:Pinzón)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・エナガ(学名: Aegithalos caudatus / 西:Mito)

エナガ(学名: Aegithalos caudatus / 西:Mito)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・アオガラ(学名: Cyanistes caeruleus / 西:Herrerillo común)

アオガラ(学名: Cyanistes caeruleus / 西:Herrerillo común)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ヒガラ(学名:Periparus ater / 西:Carbonero Garrapinos)

ヒガラ(学名:Periparus ater / 西:Carbonero Garrapinos)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・クロジョウビタキ(学名:Phoenicurus ochruros / 西:Colirrojo Tizón)

クロジョウビタキ(学名:Phoenicurus ochruros / 西:Colirrojo Tizón)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・クロウタドリ(学名: Turdus merula / 西:Mirlo)

クロウタドリ(学名:Turdus merula / 西:Mirlo)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・マガモ(学名: Anas platyrhynchos / 西:Ánade Azulón)

マガモ(学名: Anas platyrhynchos / 西:Ánade Azulón)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ワカケホンセイインコ(学名: Psittacula krameri / 西:Cotorra de Kramer)

ワカケホンセイインコ(学名: Psittacula krameri / 西:Cotorra de Kramer)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・イエスズメ(学名:Passer domesticus / 西:Gorrión común)

イエスズメ-雌(学名:Passer domesticus / 西:Gorrión Común)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・トビ(学名: Milvus migrans / 西:Milano negro)

トビ(学名: Milvus migrans / 西:Milano negro)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ゴシキヒワ(学名:  Carduelis carduelis / 西:Jilguero)

ゴシキヒワ(学名:  Carduelis carduelis / 西:Jilguero)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ズグロムシクイ(学名:  Sylvia atricapilla / 西:Curruca capirotada)

ズグロムシクイ(学名:  Sylvia atricapilla / 西:Curruca capirotada)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)

カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

コロナウイルスのせいでなかなか遠出もできない状況ですが、歩いていける近所でも色んな鳥たちに会えるかもしれませんよ。是非、双眼鏡持参で近場のバードウォッチングを楽しんでくださいね。

圧巻!スペインのアマポーラ畑-アマポーラの海

5月も終わり6月も半ばです。2020年の約半分が過ぎていこうとしています。世界中で感染が広がった新型肺炎コロナウイルスに翻弄された2020年前半、後半は「新しい生活様式(スペインでは”Nueva normaldad”です)」と呼ばれる窮屈な生活、「古い生活様式」(Vieja normalidad)が恋しくなる生活が始まることになりそうです。特効薬やワクチンがない以上、まだまだ気を抜かず手洗い励行、距離を置く、なるべく家に居る、というような感染対策が続きます。

さて、去年のブログにも5月はアマポーラの季節だと書きましたが、今年は4月に雨が多く、更に丁度外出禁止令が出ていて踏み荒らされることもなく、各地で素晴らしいアマポーラ畑が広がっています。今日は、友人から送られてきたカスティーリャ・イ・レオン州、サモーラの街のアマポーラ畑の写真を紹介します。

真っ赤な絨毯を敷き詰めたような美しさで、深い赤と石造りの建物がマッチしています。高さは約1メートルほどにもなり、まるでアマポーラの海のよう。

今年のアマポーラの季節はそろそろ終わりを迎えます。コロナウイルスも終わりを迎え、来年にはここスペインの美しいアマポーラ畑を見に来ていただきたいなと心から願っています。

スペインの古代ローマ遺跡 - 大邸宅 ラ・オルメダ(La Olmeda)

遺跡はすっぽりと建物に覆われて劣化から守られてる(筆者撮影)

スペインにも古代ローマ時代の遺跡が残っていますが、やはり一番有名なのはセゴビアにある水道橋でしょうか。それともタラゴナの古代劇場でしょうか。セゴビアと同じカスティージャ・イ・レオン州にあるパレンシア県のラ・オルメダと呼ばれる古代ローマ時代の大邸宅は、日本人の観光客がほとんどいない穴場的存在で一見の価値が十分にあります。特にここで発掘されたモザイク画は、ヨーロッパの中でも最も保存状態の良いものの一つです。今日は、日本では知られていない古代ローマ時代の大邸宅ラ・オルメダを紹介します。

ラ・オルメダについて

紀元4世紀、このラ・オルメダと呼ばれる大邸宅は造られました。この大邸宅は当時の大地主が所有し、生活の場として奴隷や使用人達も暮らすあたかも村の縮図といえるようなところだったようです。建物自体の面積が4,400㎡にもおよび、中央には中庭が設けられ、その周りには精緻なモザイク画が施された4つの部屋がありました。部屋が35部屋もあり、そのうちの12部屋には古代ローマの床下暖房の設備が整っていました。また、その35部屋のうちの26部屋には多色装飾されたモザイク画がありそのモザイク画の占める面積は1,450㎡もありました。大邸宅には4つの塔があり、2つは四角形、残りの2つは八角形でした。

ローマ時代の大邸宅ラ・オルメダの見取図(筆者撮影)

このラ・オルメダで是非見て頂きたいモザイク画は、1,500年という時の経過を感じさせないような当時の色が残る美しいものです。人物画には顔の陰影までモザイク画とは思えないほど緻密に表現され、当時の技術の高さがうかがえます。技術の高さといえば、床下暖房設備には驚かされます。ここカスティーリャ・イ・レオン州の冬は長く厳しいものです。当時、寒い冬の間もこれらの部屋で快適な時間を過ごすことができたことは容易に想像できます。もっと時代が下がり中世のお城を訪れると、暖を取るための暖炉は部屋にありますが、どう考えてもローマ時代の床下暖房設備のほうが断然暖かかったろうなと思うと、つくづく古代ローマの技術の高さに舌を巻きます。

ラ・オルメダの遺跡では、古代ローマの共同浴場や墓地も見れます。また、ローマ時代の様々な道具や屋根瓦なども展示してあり、当時の生活の様子がうかがわれ興味深いです。

ラ・オルメダの発見

1968年、この遺跡は偶然に発見されました。ラ・オルメダ遺跡が1500年以上もの長い年月、誰の目に留まることなく静かに地下で眠っていたその眠りを破られ、発掘によりその姿を現すようになったのは、ハビエル・コルテス氏のひとかたならぬ情熱によるものでした。

ハビエル・コルテス氏は、ラ・オルメダの遺跡が眠る土地の所有者で農業を営んでいました。ある場所で何度もトラクターが引っかかることに疑問を抱き、土を調べると小さな同じ大きさの石のようなものが沢山含まれていることに気づきました。そして、それがモザイク画のモザイクではないかと思い、コルテス氏は独自で発掘を始めたのです。それから何と12年間発掘を自費で続けました。その間、大変保存状態の良いモザイク画や数々の生活用品、ローマ時代の硬貨などが発掘されました。1970年から1984年までは自宅の2部屋を展示室として出土してきた様々な物を展示して一般に公開していました。そして、1980年にパレンシア県に土地・遺跡共々寄贈したのです。

このラ・オルメダ遺跡は、ハビエル・コルテス氏の並々ならぬ遺跡に対する情熱から見つかったといっても過言ではないでしょう。

ラ・オルメダ遺跡(筆者撮影)

モザイク画

1,450㎡も占めていたというモザイク画。中でも大広間にあるモザイク画は、オデュッセウスとアキレウスの神話を表しています。下の写真でもわかりますが、保存状態の良い多色装飾のモザイク画が生き生きと描かれています。動きがあり、緻密な陰影によってより立体的なものに仕上がっているうえ、その大きさにも圧倒されます。当時、モザイク画は専門家が作成していました。おそらくこのモザイク画もどこからか専門家を連れてきて作成したものだと考えられています。

このモザイク画のモチーフとしては、スキーロス島のアキレウス、狩猟の様子、イベリア半島の動物、楕円形をしたメダイヨン、肖像画などが描かれています。周りに施された模様も複雑で丁寧に仕上げられています。

中央上にはスキーロス島のアキレウスが。(筆者撮影)
端正なギリシア風の顔立ち。水鳥とイルカの模様も。(筆者撮影)

当時、色鮮やかで美しいモザイク画がこの大邸宅の住人たちの目を楽しませ、訪れる客人たちを驚嘆させたことでしょう。またカスティーリャ・イ・レオン州の長くて暗い寒い冬にあっても気持ちを明るくさせる役割を果たしていたに違いありません。そして、永い眠りから目覚めさせられ、ハビエル・コルテス氏らの目の前にその姿を現した時の彼らが受けた衝撃的な感動を想像するだけで、こちらまでドキドキさせられます。

大広間とは別の部屋に施された8つの花弁がある花模様。(筆者撮影)

浴場

浴場は、温かいお湯の浴場と冷たい水の浴場の二種類があったとのこと。また、浴槽はかなり大きなもので湯船の中で座る場所も設けられ、四角形の四隅は丸くなっていて快適そうです。また、浴場の隣にはお手洗いもあり、驚いたことには、便座は木製でできていて座り心地も計算されていたようです。そして、浴場からの水を使っての水洗トイレ形式でした!

手前が浴場部分で、角は丸く、段差があるのは座るため。奥がトイレになっていて、木製の便座が。(筆者撮影)

博物館 – 聖ペドロ教会(サルダーニャ)

2020年1月現在は、ラ・オルメダから出土した様々な物は近郊の村サルダーニャの聖ペドロ教会に移され展示されています。訪れた時の説明によると、様々な物が出土され、当時の生活の様子を窺い知ることができます。例えば、ラ・オルメダがあるパレンシア県には海がありません。海がある北に位置するアストゥリアス地方まで行くには200キロ以上の道のりですが、ラ・オルメダ遺跡では大量のカキ(貝)が掘り出されているとか。往復400キロ以上もの道のりも美味しいものを求めてなんのその!何か特別なお祝い事がある毎に、アストゥリアス地方の海岸までカキを採りに行っていたようです。また、出土している装飾品に用いられている石-スペイン語ではアサバッチェ(azabache)と呼ばれる黒石(ジェット/jet)-は、スペインではアストゥリアス地方でしか採れない石です。ここの主人はかなり裕福な生活を送っていたようです。私の目を引いた展示物のひとつに、子供用の靴がありました。皮で作られたものですが、とても1500年以上も昔の靴とは思えない機能的かつ可愛いデザインでした。

子供用の皮のブーツ(筆者撮影)

さいごに

ラ・オルメダは単にローマ時代の遺跡を見れるだけではなく、その発見者であるハビエル・コルテス氏の発掘の歴史を知ることも面白いです。また、この遺跡を覆うように建てられた建物自体も、建築という観点から一見の価値があります。今回ご紹介しませんでしたが、ラ・オルメダ遺跡の近くに別のローマ時代のラ・テハーダ遺跡もありますので、併せて見学されることもできます。

その他、ラ・オルメダ遺跡の出土品が展示してある聖ペドロ教会のあるサルダーニャという村は5kmほどの距離にあり、車だと5分程度で行ける村です。今回、村の広場はあいにく工事中で見れませんでしたが、小さいながらも可愛い村です。ぜひ足を延ばしてみてください。

サルダーニャの村の入口(筆者撮影)
サルダーニャ村にあるねじれた家(筆者撮影)

ラ・オルメダ遺跡 開館情報

住所:ペドロサ・デ・ラ・ベガ、パレンシア(Pedrosa de la Vega, 34116 – Palencia)
GPS検索:G.P.S. Latitud Norte: 42° 28’ 50’’ / Longitud Oeste: 4° 44’ 11’’
開館時間:火~土 10:30~18:30(最終入館 18:15)  
*月曜日(祭日に当たる日は開館している場合もあるのでウエッブページでご確認を)・1月1日・1月6日・12月24日・12月25日・12月31日は休館                    1. 入場料(ラ・オルメダ遺跡と聖ペドロ教会の博物館 共通券):               一般;5ユーロ/1人・割引料金; 3ユーロ/1人・特別料金;1,5ユーロ/1人          *12歳までは無料                                   *国際学生証を提示すれば割引料金適用。英語で書かれた教師証明書などがあれば割引の可能性あり。                                           *5月18日と毎週火曜日15:00以降は無料。但し、火曜日はガイドツアー無し。         2. 入場料(ラ・オルメダ遺跡・聖ペドロ教会の博物館・ラ・テハーダ遺跡 共通券):      一般; 6ユーロ//1人 ・割引料金; 4ユーロ/1人・特別料金;2ユーロ/1人          *12歳までは無料                                   *国際学生証を提示すれば割引料金適用。英語で書かれた教師証明書などがあれば割引の可能性あり。                                           *5月18日と毎週火曜日15:00以降は無料。但し、火曜日はガイドツアー無し。 

ラ・オルメダ 情報

ラ・オルメダ遺跡の公式サイト(英語・スペイン語・フランス語)            https://www.villaromanalaolmeda.com/

当時の様子を再現した3Dの映像がYouTubeで見れます。    https://www.youtube.com/watch?v=MRPaXpr7qU8

サルダーニャ村の公式サイト(スペイン語)                        http://saldana.es/index.php/turismo/

ラ・テハーダ遺跡の公式サイト(英語・スペイン語・フランス語)              https://www.villaromanalaolmeda.com/villa/tejada/presentacion

ナショナルジオグラフィックが選んだスペインのローマ時代の遺跡10選(残念ながらラ・オルメダ遺跡は選ばれていませんでした。)興味のある方はどうぞ。               https://historia.nationalgeographic.com.es/a/10-fantasticos-restos-romanos-espana_11129/2

レオン(León)へいこう!(1)

ここスペインでは、11月1日は諸聖人の日(Día de Todos los Santos)と呼ばれ、祝日となっています。そして翌日11月2日は死者の日(万霊節)です。今年は、1日が金曜日で3連休となったので久しぶりにレオン市(León)に行ってきました。

聖マルコス教会(Iglesia de San Marcos)(筆者撮影)

この日は、スペインの多くの人たちが実家に帰り家族と一緒に過ごします。そして、花を持って年に一回のお墓参りにいきます。最近では、こういう伝統的な過ごし方をする人は少なくなってきましたが、それでもまだまだ健在です。

聖フランシスコ公園(Parque San Francisco)の紅葉(筆者撮影)

レオンの魅力

レオン市は、スペイン、カスティーリャ・イ・レオン州にあり、高度837m、夏は涼しく冬は寒さが厳しい街です。かつてのレオン王国の首都で、その歴史は2,000年にもさかのぼります。レオンの魅力は、レオン市内を歩いて回ると感じることのできる居心地の良い空間、川に沿って伸びる緑地遊歩道を家族連れやお年寄り、カップルがのんびりとおしゃべりしながら散歩するそのゆったりと流れる時間、ロマネスク様式のサン・イシドロ教会(11~12世紀)、ゴシック様式の大聖堂(13世紀)、ルネッサンス様式のサン・マルコス教会(16~17世紀)、モデルニスモでガウディ建築のカサ・ボティネス(19世紀)に代表される各時代の建物が物語る歴史にあると言えるでしょう。

パパラギンダ通り(Paseo de Paparaguinda)を散歩する人たち(筆者撮影)
鳥居の除幕式(筆者撮影)

巡礼道にある街レオン

キリスト教の三大巡礼地に挙げられるサンティアゴ・デ・コンポステーラは、聖ヤコブ(スペイン語では聖サンティアゴ)の遺骸があるとされています。その巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラへヨーロッパ各国から巡礼者が訪れていました。最盛期の12世紀には年間50万人を超えたというから驚きます。

今も、ユネスコの世界遺産に登録されている「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」は、年間約30万人の巡礼者が訪れていて、過去25年間で毎年その数が増えている人気のルートです。

そして、この「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の主要道はレオンの街を通っています。この「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」と和歌山の「熊野古道」は、1998年に姉妹道となりました。

そして、ここ巡礼路の主要地であるレオン市内には、レオン市と日本の姉妹交流、協力と歓迎の意味を込めてモニュメントも作られています。それは、「Ruta del Conocimiento(知の道)」と呼ばれ、巡礼者や日本人観光客のためにレオン市が作ったルートで、「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」にも重なっているものです。

ちょっと中心地から離れたレオン市入口にあるプエンテ・カストロ地区の公園内に、朱塗りの鳥居が建てられ、桜の木も植えられています。また、ルート内に5つの道標が設置してあり、それぞれの道標にはスペイン語と日本語のメッセージが書かれています。

日本から1万km以上離れた異国の地スペインで、レオン市が日本人観光客を歓迎し、思いがけなく日本の文化を感じる鳥居に出会うという不思議な体験ができます。旅の思い出に立ち寄って見てみるのも一興でしょう。春には、桜の花も見ることができますよ。

コルトとピリッと辛いムール貝のピンチョス   (筆者撮影)

バリオ・ウメド(Barrio Húmedo)VS バリオ・ロマンティコ(Barrio Romántico)

レオンに来て絶対行かなきゃいけないところ!旅の醍醐味は観光のみではありません。地元の人たちが行く気さくなバルやカフェに立ち寄り、まるで自分も地元の一人になった気分になれるようなところ、地元の人たちの素顔を垣間見ることができるところでのんびり過ごすことも旅の楽しみのひとつでしょう。

バリオ・ウメド(Barrio Húmedo)と呼ばれる地区は、昼も夜もとても賑やかなところです。数々のバルやレストランがひしめき合い、通りには冬でも外にテーブルが出て賑わっています。レオンのバルは、それぞれのバルのおつまみがあり、ピリッと辛めの揚げたてポテトチップスが食べたければここ、色んな種類のコロッケが食べたかったらここ、ムール貝だったらここ、という風に、食べたいおつまみで行く店を決めるのがここレオン風です。

最近は、バリオ・ロマンティコ(Barrio Romántico)と呼ばれる地区もとても人気があります。こちらは、バリオ・ウメドに比べるともう少し落ち着いた感じでしょうか。こちらの方が家族ずれが多いようです。サント・ドミンゴ広場からレオン大聖堂に向かって伸びるルア通りを挟んで両方の地区が広がっているので、ぶらぶら歩きながら3~4軒ほどバルに立ち寄りワインまたはビールなどと一緒にピンチョスをつまんでみてはいかがでしょうか。

数件バル巡りをしたい方にお勧めの注文方法は、「コルト(corto)」と呼ばれる小さいコップのサイズのビールとピンチョス。あまりお酒に強くない方は、「コルト・デ・クララ(corto de clara)」がいいかも。これは、小さいコップにソーダ水で割ったビールがでてきます。これだと飲みやすいので、数件はまわれますよ!この小さいサイズの「コルト(corto)」はマドリッドなどではないサイズのビールで、マドリッドで「ウン・コルト・ポルファボール(Un corto, por favor)」と注文しても、きょとんとした顔でウエイターから見られるのでご注意を!

週末はゆっくりバルでおしゃべり(筆者撮影)

レオンの食べ物とワイン

レオンで是非試していただきたい食べ物は、モルシージャとセシーナ、そして子羊料理でしょう。ワインはビエルソ地方のワインがお薦めです。また、レオンは地ビールも種類豊富なので、是非試してくださいね。マラガト地方の郷土料理「コシード」も一度は食べてみたい料理です。マドリッドの「コシード」とは異なり、最後にスープがでてきます。ワインの美味しいビエルソに合う郷土料理は「ボティン」です。また、レオンはジビエ料理も美味しいですよ。また、ビエルソ地方の焼き赤ピーマンは絶品です。お肉の添えやサラダにしても美味しいこの焼き赤ピーマン、是非お試しください。お土産に買って帰るのもいいですね。

マラガト地方のカストリ―ジョ・デ・ロス・ポルバサーレス(Castrillo de los Porvasales)
コシードを食べるなら是非この村で!(筆者撮影)

レオンのお薦めのお土産

まずは、チョコレート。レオンからバスで1時間のアストルガにはチョコレート博物館があり、これは、ヨーロッパで初めてチョコレートが生産されたところがアストルガだからです。カカオ90%というチョコレートや、モルシージャ味のチョコレートなど他ではお目にかかれない不思議な味のチョコレートもあります。

次に、同じアストルガのお菓子「アストルガのパイ(Hojaldres de Astorga)」と「アストルガのマンテカード(Mantecados de Astorga)」もお薦め。マンテカードは、小麦粉、砂糖、卵、バターを材料とするパウンドケーキやマドレーヌに似たお菓子です。

また、「テクラス(Teclas de Hojaldre)」と呼ばれるお菓子や「聖ギジェルモのリボン(Lazos de San Guillermo)」は、私も大好きなお菓子です。是非ご賞味あれ!

ビエルソ地方のワインもお薦めです。ビエルソ地方の特産品赤ピーマンの瓶詰も美味しいですよ。

食べ物以外には、大聖堂の前のお土産屋さんにあるサン・イシドロ教会の暦プレートや手作りのバインダーなどが買える紙のお店屋さん(Abadía)も私のお気に入りのお店です。

聖イシドロ教会バシリカの農業カレンダー

ぜひ、レオン市内、レオン県内の街を散策しながら、あなたのお気に入りを見つけてくださいね。

アストルガの大聖堂(筆者撮影)

レオン観光 情報

http://www.leon.es/leon_turismo/

アストルガのチョコレート博物館 情報

住所:アストルガ市 アベニーダ・デ・ラ・エスタシオン16番地(Avd. de la Estación 16 )
TEL:(34)987 616 220
開館時間:火~土 10:30~14:00、16:30~19:00(最終入館 13:30、18:30)          日・祝 10:30~14:00(最終入館 13:30)  
*月曜日・1月1日・1月5日・1月6日・5月22日・12月24日・12月25日・12月31日は休館    入場料:2,50€                                      ウエッブサイト: http://www.aytoastorga.es/turismo-y-ocio/MUCHA/index.html

レオンお土産・お店 情報

レオンの地元のお菓子はこれ!  http://lazosdesanguillermo.es/es/

「La Rosaleda]-レオン大聖堂の近くにあるレオンの伝統的な食べ物-セシーナ、お菓子、瓶詰の保存食、チーズ、ワイン等-が売ってあります。是非のぞいて見てください!   http://www.despensalarosaleda.com/

「Abadía 」-本当に、素敵な紙が豊富に揃っていて、紙が好きな私はあれもこれも欲しくなってしまうお店です。ウメド地区にあります。  http://encuadernacionabadia.blogspot.com/