この庭の名前になっている「カリスト」と「メリベア」は、15世紀末に出版されたスペインの悲喜劇「ラ・セレスティーナ(La Celestina)」(原題は「カリストとメリベアの悲喜劇」)の主人公です。そしてこの庭がその戯曲の舞台といわれています。この戯曲を書いたフェルナンド・デ・ロハス(Fernando de Rojas)は、サラマンカ大学で法学を学んだと言われ、「ラ・セレスティーナ」の本の中で「アルセディア―ノ通り」の名前が出ていて、サラマンカに実在する「アルセディア―ノ通り」の突き当りにあるこの庭が舞台だろうと言われているわけです。
また、スペイン語に llevar (a alguien) al huerto という遠回しな表現があります。これは、性的関係を結ぶという意味です。最初の写真を見て頂くとわかりますが、「カリスト&メリベアの庭」はスペイン語では「Huerto de Calixto y Melibea」で、「Huerto」は本来の意味では「菜園、果樹園、畑」などの意味があります。この「Huerto」にカリストがメリベアを連れて行って逢引きしたという「ラ・セレスティーナ」の本からこの表現は生まれました。
そして「ラ・セレスティーナ」から生まれた絵画と言えば、宮廷画家として活躍したフランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya)が描いた「マハとセレスティーナ」とパブロ・ピカソのその名もずばり「ラ・セレスティーナ」です。
カスティーリャ・イ・レオン州はロマネスク建築の宝庫だ。ここサラマンカの旧大聖堂こと「サンタ・マリア大聖堂(Catedral de Santa María)」はイチオシのロマネスク建築である。このサラマンカ旧大聖堂とゴシック様式のサラマンカ新大聖堂は、二つの大聖堂がまるで新大聖堂が旧大聖堂を包み込むように建っている。正面からではなく、アールヌーボー&アールデコの「カサ・リス美術館(Museo Casa Lis)」前のパチィオ・チコ広場(Plaza de Patio Chico)から右に曲がりエル・アルセディアノ通り(Calle El Arcediano)から見上げると、二つの大聖堂の様式の違いがよく見て取れとても興味深いものだ。サラマンカに訪れる人には是非見てほしいアングルだ。
左のドームは新大聖堂、右の塔は旧大聖堂 エル・アルセディアノ通り(Calle El Arcediano)より望む(写真:筆者撮影)
また、カルメル会のバトゥエカス修道院(Monasterio de Las Batuecas)があり、現在も少人数の修道士達が静かに瞑想の生活を送っているそうです。一般観光客には公開されていませんが、一定の期間、世俗を離れて瞑想の生活を送りたい人々のための宿泊所として開かれています。
このアルベルカ辺りに住む人が増えてくるのは12~13世紀ころからです。そして、シエラ・デ・フランシア(Sierra de Francia)地方にある大きな岩の上であるペーニャ・デ・フランシア(Peña de Francia)にて聖母像が発見されると、礼拝堂が建てられ巡礼者が訪れるようになりました。15世紀のことです。「銀の道」というスペインのサンティアゴ巡礼の道の一つがこの礼拝堂を通り、南からの巡礼者たちの巡礼の道となっていたところでもあります。ちなみにこの礼拝堂は、標高1727mの岩山の上にあり、世界で最も高い位置にある礼拝堂です。冬になると雪のため通行不能になるような場所ですが、ここの修道士たちは南米やフィリピンへ宣教師として派遣されていたとのことです。
他に、私の好きなラベンダーの蜂蜜とクリーム状の蜂蜜も買ってきました。お土産に良いサイズでラベルも可愛くて、お友達にプレゼントしても喜ばれそうです。日本ではあまり売ってない蜂蜜もいろいろありますよ。イグレシア広場にある今年オープンしたてのお洒落なお店「レイナ・シエラ・デ・フランシア(Reina Sierra de Francia)」を見つけたので紹介します。現在(2021年1月)はコロナウイルスのため行われていませんが、蜂蜜採集などを体験するツアーなども開催したいとのことでしたので、コロナ収束後が楽しみです。
また、アルベルカの村から近いサン・マルティン・デル・カスタニャル(San Martín del Castañar)やモガラス (Mogarraz)にもぜひ足を延ばしてほしいですね。サン・マルティン・デル・カスタニャル(San Martín del Castañar)とモガラス (Mogarraz)も「スペインで最も美しい村」という協会に認定され登録されている村です。
このシエラ・デ・フランシア(Sierra de Francia)地方は、遊歩道もいろいろあり、散歩するのにもいい場所です。是非、一度訪れてみてくださいね!
今回は紹介しませんでしたが、この遊歩道の出発点がある「ベハール」の街も見るところが沢山あります。また、もう少し足を延ばすと「モガラス(Mogarraz)」や「ミランダ・デル・カスタニャル (Miranda del Castañar)」や「ラ・アルベルカ(La Alberca)」という「スペインで最も美しい村」に登録されている素敵な村々もありますよ。是非、車を借りて、村巡りを楽しんでみてください。マドリッドやバルセロナ等の大都市にはない、もっとディープなスペインに出会えること間違いなしです。
今回は、カスティーリャ・イ・レオン州のサモーラ県にある自然保護区で、ラムサール条約登録地でもある、「ビジャファフィラ・ラグーン(Lagunas de Villafafila)」に行ってきました。ここは、地球上にいる飛べる鳥類としては世界一大きな鳥「ノガン(Avutarda)」が生息していることで有名で、ヨーロッパ中のバードウォッチャーがやってきます。コロナウイルス感染者が増加中であるにもかかわらず、イギリスから来たというバードウォッチャーにも今回出会いました。「ノガン」は、オスの方がメスより大きいのですが、オスは全長115㎝、18㎏です。なかなか飛んでいるところは見れないのですが、飛ぶ姿はなかなかの見物です。久しぶりに見れたらいいな~と期待しながら行ってきました。私が住んでいるサラマンカからは車で約1時間ちょっと。この日はお天気にも恵まれ、とても気持ちの良い一日でした。
・カワラバト(学名:Columba livia / 西:Paloma Doméstica o Paloma Bravía)
「ノガン(Avutarda)」との再会
さて、オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)からビジャファフィラ(Villafafila)まで行き、ビジターセンターに寄ろうとしましたが、残念ながらコロナウイルス感染予防のため、ビジターセンターの中には入れませんでした。このビジターセンターは、ビジャファフィラ・ラグーンで昔塩が取れていたその歴史や塩の採取方法などが詳しく説明されたパネルなどもあり、一見の価値ありです。次回行くときはコロナウイルスが終息していることを祈りながら、ビジターセンターの外の敷地内での野鳥観察に行きました。敷地内には、幾つものハイドが造られていて、ゆっくりバードウォッチングを楽しめます。
飛ぶ「ノガン」には出会えませんでしたが、ビジターセンター(Casa del Parque)敷地内で傷ついた「ノガン」を飼っていて、ハイドからゆっくり観察することができました。本当に近くから見るとかなり大きいサイズの鳥だということを実感できます。このビジャファフィラ・ラグーンは、スペインの中でも最も「ノガン」が多く生息している場所です。今回は、秋に行ったので野生の「ノガン」はかなり遠くに、かすかに確認できるぐらいにしか見えなかったのですが、恋の季節に当たる3月から4月には、よく見えるそうです。現在、ビジャファフィラで確認されている「ノガン」の数は約3000羽で、ヨーロッパ全体で2万5000羽ほどが生息していると言われています。
そして、ここ巡礼路の主要地であるレオン市内には、レオン市と日本の姉妹交流、協力と歓迎の意味を込めてモニュメントも作られています。それは、「Ruta del Conocimiento(知の道)」と呼ばれ、巡礼者や日本人観光客のためにレオン市が作ったルートで、「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」にも重なっているものです。
数件バル巡りをしたい方にお勧めの注文方法は、「コルト(corto)」と呼ばれる小さいコップのサイズのビールとピンチョス。あまりお酒に強くない方は、「コルト・デ・クララ(corto de clara)」がいいかも。これは、小さいコップにソーダ水で割ったビールがでてきます。これだと飲みやすいので、数件はまわれますよ!この小さいサイズの「コルト(corto)」はマドリッドなどではないサイズのビールで、マドリッドで「ウン・コルト・ポルファボール(Un corto, por favor)」と注文しても、きょとんとした顔でウエイターから見られるのでご注意を!