ちょっとスペイン語

スペインの童話 

ドイツのグリム童話、イギリスのマザーグース、フランスのペロー童話そしてギリシャのイソップ物語など、ヨーロッパの童話はいろいろありますが、あまりスペインの童話って知っている方はいないのはないのでしょうか。そういう私自身もスペインの童話は自分の子供が生まれるまであまり知りませんでした。スペインでも、グリム童話やペロー童話が一般的に知られていて、スペイン人自体もスペイン特有の童話、昔話として特別認識しているわけでもないようです。でも、やはりどこの国にも童話や昔話はあるものです。

今回は、軽快な歌と共によく知られたお話、「ガルバンシート」のお話を紹介します。

ガルバンシート(ヒヨコマメ君)

昔々、あるところに、とっても小さくて、見えないくらいの息子がいる夫婦が暮らしておりました。あんまり小さすぎるので、ガルバンシート(ヒヨコマメ君)と名づけて呼んでいました。

 ガルバンシートが家を出て何かをするごとに、お母さんはとても心配でたまりませんでした。なぜって、ガルバンシートのことを誰かが踏んずけちゃうんじゃないかと怖かったからです。でもガルバンシートは、「もし僕のことが見えなくても、僕の声が聞こえるから大丈夫。だって僕いつも歌っているんだもん。」と言っていました。

ある日、お母さんが、ガルバンシートにサフランを買ってくるように頼みました。そこで、ガルバンシートは歌を歌いながら道を歩いていきました。

「パティン、パタン、パトゥン、足元を見てね!パティン、パタン、パトゥン、僕ここにいるよ!」

 お店に入りましたが、お店の人にはどこにも誰の姿も見えません。そこで、ガルバンシートは歌いだしました。そしてやっと店の人は、お金がひとりで動いているのを見つけました。

 「これは一体どうしたんだ!」と、店の人はおびえて言いました。「誰も見えないが・・・。」するとガルバンシートが、「僕のことが見えないんでしょ。だって僕ガルバンシートだからね。とっても小さいんだ。」

 「何をほしいんだい?」店の人は尋ねました。「2レアル(スペインの古い貨幣)分のサフラン、お願いします。」お店の人は、床にあるお金を拾い、その代わり紙袋入りのサフランをくれました。

 ガルバンシートは得意げに、紙袋をしっかり抱えて、家へ向かって駆け出しました。

 みんなから踏まれないように、大きな声で歌いました。ガルバンシートの歌声を聴いて、家の中に居た人まで、何事かと窓から顔を出しました。

 でも、だれの姿も見えません!人々は、通りを紙袋がひとりで歩いているのを見て、びっくりして隠れてしまいました。

 お母さんは、ガルバンシートがサフランを持って無事に帰ってきたのでとても喜びました。 そこでガルバンシートが、「お母さん、お父さんにお昼のお弁当を届けに行ってもいい?」と聞きました。

 「とっても重いから、お弁当のかごを持っていくなんて小さいあなたには無理ってことわからないの?」

でもガルバンシートは、とっても力持ちだということをお母さんに分からせるため、かごを肩に担いで見せました。そして、意気揚々とお父さんのお弁当かごを担いで出ていきました。

 途中で、激しい雨が降り始めました。雨宿りをするため、畑の横で止まり、キャベツの下に隠れました。

 ところがそこへ、おなかをすかした雄牛がやってきました。そして、キャベツとガルバンシートと、そしてお父さんへのお弁当の入ったかごとをぜーんぶいっぺんに一口で食べちゃいました。

 ガルバンシートの両親は、ガルバンシートがいつまでも帰ってこないので、畑へ出て大声で力一杯叫びました。「ガルバンシート、どこにいるんだーい。」でも、あまりに気が動転していて、ガルバンシートの声が聞こえませんでした。

 「雪も雨も降らない、雄牛のおなかの中だよー!」

両親がやっとその声を聞きつけると、雄牛にえさをおなか一杯になるまで与え、待つことにしました。ずいぶん経ってから雄牛はおもむろにうんちをし始めました。

すると、ガルバンシートが元気に飛び出しきたんですって!

 コロリン・コロラド おーしまい!

ガルバンシートを食べたのは君たちのうちの誰?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です