スペインのミートボールはこれだ!

スペインではミートボールのことは、アルボンディガス(Albóndigas)といいます。この名前を初めて聞いたとき、まるで怪獣の名前みたい!と思いました。ちょっとイカツイ感じを受ける名前のアルボンディガス、食べてみるととっても美味しくてまた食べてみたくなる一品です。タパスで出してくれるバルもあります。

このレシピはスペイン人の義母が教えてくれた素朴な味のアルボンディガスです。日本に里帰りした時、甥っ子たちに作ってあげると大好評のスペイン料理の一つ。難しくもなく、材料も日本で手軽に手に入れることができるものばかりなので、是非試してみてくださいね。

アルボンディガス( Albóndigas )

材料:4人分

・牛挽肉        600g

・玉葱         150g

・焼き赤パプリカ    150g (ない時は、生の赤パプリカ)

・ニンニク       一片   

・白ワイン       50㏄

・卵          1個

・パン粉          大さじ 2杯

・ナツメグ       適宜

・完熟トマト      2個 (または缶詰のホールトマトを潰したもの)

・月桂樹の葉      1枚

・塩          適宜

・砂糖         小さじ 1杯

・小麦粉        適宜

・オリーブ油      大さじ 4杯

作り方

1.ニンニクはみじん切りにする。玉葱はざく切り。焼き赤パプリカ(または生の赤パプリカ)もざく切りにする。

2.ボールに牛挽肉、1 のニンニク、白ワイン、卵、パン粉、ナツメグ、塩を入れて手でよく混ぜる。

3.小さめのコップに小麦粉を入れる。2 の混ぜた挽肉大匙1杯分ほどの量を小麦粉の入ったコップに入れる。軽く小麦粉をまぶした後、手に取って丸める。

小麦粉の入ったコップに一口大のミートボールを作っていく

4.鍋にオリーブ油を入れ熱し、3 の丸めたミートボールを鍋に入れて中火よりやや強めの火で表面を焼き付けていく。

焼き目がつくまで転がしながら焼いていく

5.全体に焼き目がついたら、鍋から取り出して置く。(生の部分があると、煮る際に煮崩れする可能性があるので、なるべくまんべんなく焼き付ける。)

まんべんなく焼き目がついたミートボール

6.全部のミートボールを焼き付けて取り出したら、火を弱火にして、同じ油に1 の玉葱を入れて炒める。(生の赤パプリカの場合は、ここで玉葱と一緒に炒める。)

玉葱を甘みが出るまでじっくり炒める

7.5分~10分程炒め、玉葱がしんなりしてきたら5 の焼きミートボールを鍋に戻して軽く混ぜ合わせる。

8.完熟トマトを大根おろし器でおろし、鍋に入れる。焼きピーマン、砂糖、月桂樹の葉、塩を入れて軽く混ぜ、蓋をして中弱火で30~40分程煮る。途中で軽く混ぜ合わせながら、水分が少なくなってきたら水を少し足す。

いい感じに煮えてきました

9.味を見て、塩が足りない場合は足す。

パンと一緒に食べるのはスペイン風。トマトを多めに入れてソースをたっぷり作り、白ごはんにかけて食べても美味。

トマトを入れずに、白ワインを入れて煮ても美味しいですよ。また違った味が楽しめます。その時は、焼き赤パプリカ(生赤パプリカ)は入れないで、たっぷりの玉葱を入れてください。

スペインでバードウォッチング!-種類別 スペインの野鳥 日本語名( ミズナギドリ科)

ここでは、スペインに生息する野鳥の名前を、種類別に集めてみました。スペイン語名をクリックしてもらうと、スペイン鳥学会のホームページに飛びます。残念ながら日本語版はありませんが、英語での鳥の名前は出ています。スペインで野鳥観察されるとき、またはスペインの旅の途中で見かけた鳥のスペイン語名を知りたいときに、少しでもお役に立てれば幸いです。

Pardelas y petreles = ミズナギドリ科

スペイン語日本語ラテン語//常駐/偶然
Fúlmar borealフルマカモメFulmarus glacialis
Pardela cenicientaオニミズナギドリCalonectris diomedea
Pardela capirotadaズグロミズナギドリPuffinus gravis偶然
Pardela chicaバローロヒメミズナギドリPuffinus baroli偶然
Pardela pichonetaマンクスミズナギドリPuffinus puffinus
Pardela mediterráneaチチュウカイミズナギドリPuffinus yelkowan
Pardela balearヨーロッパミズナギドリPuffinus mauretanicus
Pardela sombríaハイイロミズナギドリPuffinus griseus偶然
Petrel de BulwerアナドリBulweria bulwerii偶然
Paíño europeoヒメウミツバメHydrobates pelagicus常駐
Paíño de WilsonアシナガウミツバメOceanites oceanicus偶然
Paíño borealコシジロウミツバメPuffinus gravis
Paíño de MadeiraクロコシジロウミツバメOceanodroma castro常駐
Paíño de SwinhoeヒメクロウミツバメOceanodroma monorhis偶然
フルマカモメ (写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

ロマネスクへのいざない (3)- カスティーリャ・イ・レオン州-ブルゴス県(1)

サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院 (Monasterio de Santo Domingo de Silos) の浅浮き彫り(写真:アルベルト・F・メダルデ)

ブルゴス県のロマネスクを訪ねて

今回、カステーリャ・イ・レオン州のブルゴス県にあるロマネスク巡りの旅に2泊3日で行ってきた。代表的なロマネスク建築だけではなく、まるで忘れられたような小さな村にひっそりと建てられているロマネスク建築や今も村の教会として活躍しているロマネスク建築、スペインのブルゴス県特有(ロマネスク建築が建てられた当時はブルゴス県という概念はなかったが・・・)のロマネスク建築も含めた多くのロマネスク建築を見ることができた。

サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院 (Monasterio de Santo Domingo de Silos) の柱頭(写真:アルベルト・F・メダルデ)

サント・ドミンゴ・デ・シロス(Santo Domingo de Silos)からピネダ・デ・ラ・シエラ(Pineda de la Sierra)まで

第1日目に訪れたロマネスク建築は次の通り。7ヶ所のロマネスク建築を見ることができた

・サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院 (Monasterio de Santo Domingo de Silos)

サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院 (Monasterio de Santo Domingo de Silos) の回廊(写真:アルベルト・F・メダルデ)

11世紀から12世紀末に造られたロマネスク回廊の傑作。長方形の回廊には、北側と南側に16のアーチが、東側と西側に14のアーチがある。回廊の角にある浅浮き彫りの中でも、大天使ガブリエルによる「聖母マリアへの受胎告知(La anunciación a María)」は特に名作として有名。これは12世紀末のものだ。また、「エッサイの木(El árbol de Jesé)」と呼ばれるイエス・キリストの祖先の芸術の描写も逸品。ロマネスク建築にあまり興味のない人でも、この回廊の素晴らしさには心打たれるものがある。また、ここの修道士達が歌うヨーロッパ音楽最古と呼ばれるグレゴリオ聖歌は有名で、日本でもCDが売られているので、聞いたことがある人もいるだろう。

浅浮き彫りについてもっと知りたい方はこちらへどうぞ。

・サンタ・セシリア礼拝堂 (Ermita de Santa Cecilia)

サンタ・セシリア礼拝堂(Ermita de Santa Cecilia)(写真:アルベルト・F・メダルデ)

サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院の修道士から訪れることを薦められた礼拝堂。音楽の守護聖人として知られる聖セシリアに捧げられている。9世紀末から10世紀初頭に造られたもので、イベリア半島に現存する21あるモサラべ様式の教会・礼拝堂の一つである。光が入るように作られたギリシャ十字は、この辺りでは珍しい

・サン・ペドロ・デ・アルランサ修道院 (Monasterio de San Pedro de Arlanza)

サン・ペドロ・デ・アルランサ修道院 (Monasterio de San Pedro de Arlanza) (写真:アルベルト・F・メダルデ)

912年に設立されたサン・ペドロ・デ・アルランサ修道院は今は廃墟となっているが、スペインの重要文化財(Bien de Interés Cultural)に指定されている。11世紀後半にロマネスク建築として建てられ、3つの身廊(三廊式)、3つの後陣(アプス)から成っていた。

サン・ペドロ・デ・アルランサ修道院についてもっと知りたい方はこちらへどうぞ。

ハラミ―ジョ・デ・ラ・フエンテの聖母被昇天教会 (Iglesia de la Asunción de Nuestra Señora de Jaramillo de la Fuente)

ハラミ―リョ・デ・ラ・フエンテ教会 (Iglesia de la Asunción de Nuestra Señora de Jaramillo de la Fuente)
(写真:アルベルト・F・メダルデ)

デマンダ山脈地域にあるハラミ―ジョ・デ・ラ・フエンテの聖母被昇天教会も重要文化財に指定されている。12世紀に建てられたロマネスク建築部分は、塔、後陣(アプス)、柱廊のある入口(ギャラリー)だが、全体として調和のとれた美しいロマネスクの教会の一つである。

ハラミ―ジョ・デ・ラ・フエンテ教会についてもっと知りたい方はこちらへどうぞ。

ビスカイノス・デ・ラ・シエラサン・マルティン・デ・トゥール教会 (Iglesia de San Martín de Tours de Vizcaínos de la Sierra)

サン・マルティン・デ・トゥール・デ・ビスカイノス教会 (Iglesia de San Martín de Tours de Vizcaínos de la Sierra)
(写真:アルベルト・F・メダルデ)

12世紀に建てられたロマネスク様式ビスカイノス・デ・ラ・シエラ村のサン・マルティン・デ・トゥール教会は、少なくとも外観は完全なロマネスク建築で保存状態もとても良い。颯爽とした外観は、この辺りのデマンダ山脈地域で多くみられるロマネスク建築の特徴の一つである。

サン・マルティン・デ・トゥール教会についてもっと知りたい方はこちらへどうぞ。

・ピネダ・デ・ラ・シエラサン・エステバン・プロトマルティル教会 (Iglesia de San Esteban Protomártir de Pineda de la Sierra)

サン・エステバン・プロトマルティル・デ・ピネダ教会 (Iglesia de San Esteban Protomártir de Pineda de la Sierra)
(写真:アルベルト・F・メダルデ)

12世紀から13世紀にかけてに建てられたロマネスク様式 柱廊のある入口(ギャラリー)は、重要かつ豪華なものの一つであり、前述のサント・ドミンゴ・デ・シロス修道院の回廊の影響を受けている。

ピネダ・デ・ラ・シエラのサン・エステバン・プロトマルティル・デ教会についてもっと知りたい方はこちらへどうぞ。

オジュエロス・デ・シエラ教会 (Iglesia de Hoyuelos de sierra)

オジュエロス・デ・シエラ教会 (Iglesia de Hoyuelos de sierra) (写真:アルベルト・F・メダルデ)

デマンダ山脈地域にあるロマネスク建築の教会。柱頭に施された鳥、動物、アルピア等の彫の図柄から、 サント・ドミンゴ・デ・シロス修道院の影響を受けていると考えられている。

モナステリオ・デ・ロディ―ジャ(Monasterio de Rodilla)からミニョン・デ・サンティバニェス(Miñon de Santibáñez)まで

第2日目に訪れたロマネスク建築は次の通り。9ヵ所のロマネスク建築を見ることができた。

モナステリオ・デ・ロディ―ジャ礼拝堂 (Ermita de Nuestra Señora del Valle de Monasterio de Rodilla)

モナステリオ・デ・ロディ―ジャ礼拝堂(Ermita de Nuestra Señora del Valle de Monasterio de Rodilla) (写真:筆者撮影)

12世紀に造られたこの礼拝堂は、スペインにおけるバシリカ型ロマネスク建築の教会の最も優れた一例だと言われている。保存状態も良く、改築や異なる様式による追加建築もない純粋なロマネスク建築である。また、ユネスコの文化遺産にも指定され、スペインの重要文化財でもある。

モナステリオ・デ・ロディ―ジャ礼拝堂 (Ermita de Nuestra Señora del Valle de Monasterio de Rodilla) についてもっと知りたい方は、こちらもどうぞ。

サン・ニコラス・デ・エル・アルミニェ教会 (Iglesia de San Nicolás de El Almiñé)

サン・ニコラス・デ・エル・アルミニェ教会 (Iglesia de San Nicolás de El Almiñé) (写真:筆者撮影)

小さな村の教会として今もミサが行われているサン・ニコラス教会は12世紀に建てられ、ロマネスク、ゴシック、バロック様式等が見られる。ロマネスク建築は塔部分で、エル・アルミニェ村のすぐ近くにあるテハダ村のサン・ペドロ教会の模倣が見られ、この地方特有の「ウシ―ジャ(Usilla)」と呼ばれる塔に上るための円柱形の螺旋階段がある

サン・ペドロ・デ・テハダ教会 (Iglesia de San Pedro de Tejada)

サン・ペドロ・デ・テハダ教会 (Iglesia de San Pedro de Tejada) (写真:アルベルト・F・メダルデ)

12世紀に建てられたロマネスクの教会で、ブルゴス県のなかでも保存状態の良い純粋なロマネスク様式として重要なものの一つである。珍しいことに個人の所有物だが、決められた時間であれば料金を支払い教会の中に入ることができる。周りの景色と融合して建つその様は、印象的だった。

サン・ペドロ・デ・テハダ教会については、こちらも読んでみてください。

大天使サン・ミゲル・デ・バルデノセダ教会(Iglesia de San Miguel Arcángel de Valdenoceda)

大天使サン・ミゲル・デ・バルデノセダ教会(Iglesia de San Miguel Arcángel de Valdenoceda) (写真:アルベルト・F・メダルデ)

前述のサン・ニコラス・デ・エル・アルミニェ教会 (Iglesia de San Nicolás de El Almiñé) とサン・ペドロ・デ・テハダ修道院 (San Pedro de Tejada)と共にバルディエルソ盆地にあるロマネスク様式の教会の一つ。 テハダ村のサン・ペドロ教会の模倣が見られ、この地方特有の「ウシ―ジャ(Usilla)」と呼ばれる塔に上るための円柱形の螺旋階段があり、翼のあるライオン(マルコ)、天使(マタイ)の姿が見える。これは、テトラモルフォと呼ばれる新約聖書の4福音書記者を象徴するもので、鷲(ヨハネ)と雄牛(ルカ)は失われていた。

アエダ・デル・ブトロンの聖母の被昇天教会 (Iglesia de Nuestra Señora de la Asunción de Ahedo del Butrón)

アエダ・デル・ブトロンの聖母の被昇天教会 (Iglesia de Nuestra Señora de la Asunción de Ahedo del Butrón)
(写真:アルベルト・F・メダルデ)

細い田舎道を車でしばらく走っていくとようやくこのアエダ・デル・ブトロン村に着いた。12世紀に造られたロマネスク様式部分は玄関部分のみで、その他は16世紀に改築されたルネッサンス様式の教会である。しかし、タンパンに彫られた東方三博士の礼拝 (Adoración de los Magos)は、必見の価値あり

アエダ・デル・ブトロン村の聖母の被昇天教会にあるについては、こちらも読んでみてください。

ビルヘン・デ・ラ・オリーバ・デ・エスコバード・デ・アバホ礼拝堂 (Ermita de la Virgen de la Oliva de Escobado de Abajo)

ビルヘン・デ・ラ・オリーバ・デ・エスコバード・デ・アバホ礼拝堂 (Ermita de la Virgen de la Oliva de Escobado de Abajo)
(写真:アルベルト・F・メダルデ)

12世紀に建設され、18世紀に拡張工事が行われた。ロマネスク様式の様々なモチーフで飾られた持ち送りは、植物や動物、幾何学模様、人間の半身像、空想上の獣などを見ることができる。

サン・エステバン・プロトマルティル・デ・モラディジョ・デ・セダノの教会 (Iglesia de San Esteban Protomártir de Moradillo de Sedano)

サン・エステバン・プロトマルティル・デ・モラディジョ・デ・セダノの教会(Iglesia de San Esteban Protomártir de Moradillo de Sedano) (写真:アルベルト・F・メダルデ)

運よく教会の内部まで見せてもらった。12世紀に造られた玄関のテンパンは覆われているので外から見えなかったが、中に入って見せてもらうと保存状態の良いロマネスク様式の タンパンが現れた。建設当初に多色装飾した色が薄っすらと残っている部分さえあった。 タンパンと内部にあるジグザク形の柱身は必見

サン・エステバン・プロトマルティル・デ・モラディジョ・デ・セダノの教会の内部を知りたい方はこちらをどうぞ。

サン・ペド・イ・サン・パブロ・デ・グレディージョ・デ・セダノ教会 ( Iglesia de San Pedro y San Pablo de Gredillo de Sedano)

サン・ペド・イ・サン・パブロ・デ・グレディージョ・デ・セダノ教会 ( Iglesia de San Pedro y San Pablo de Gredillo de Sedano)
(写真:アルベルト・F・メダルデ)

12世紀末に建築されたろロマネスク様式。タンパンには、聖母戴冠 (Coronación de la Virgen)の浅浮き彫りがあるが、残念ながらマリアの頭部は後から取って付けたようで違和感を覚えた。しかし、神々しいマリアの隣で、まるで自分は関係ない者のようにうとうととしているヨセフの姿は印象的だった。

サン・ペドロ・デ・ミニョン・デ・サンティバニェス教会 (Iglesia de San Pedro de Miñon de Santibáñez)

サン・ペドロ・デ・ミニョン・デ・サンティバニェス教会 (Iglesia de San Pedro de Miñon de Santibáñez)

スペインの重要文化財の一つ。12世紀末から13世紀初頭にかけて造られたこの教会の入口にある浅浮き彫りには驚かされた。まるで、「千と千尋の神隠し」に出てくるような漫画チックでユーモラスな顔のものが多く、またソディアック・サインと思われる「射手座」や「乙女座」等が見れるのは興味深い。

スペインのワイナリー見学(2)-エラクリオ・アルファロ(Heraclio Alfaro)

スペインでは、ワイナリーを見学してワインを試飲するエノツーリズム(ワインツーリズム)と呼ばれるワイン観光に人気があります。ワイナリー見学&試飲だけでなく、ブドウ畑を馬で周ったり、散策したり、昔ながらのブドウ踏みをする等々体験型のエノツーリズムもあります。また、家族でも楽しめるようにワインではなく、未成年には「モスト」と呼ばれるグレープジュースを出してくれたり、子供用にブドウやワインに関することを学ぶ体験を提供してくれる様々なエノツーリズムがあって、子供やワインに興味のない大人をも巻き込んだ観光が魅力です。今回は、スペインの赤ワインの代表「リオハ」にあるちょっと変わったワイナリー見学を報告します。

スペインのワインと言えば「リオハ、「リオハ」のワインと言えば「テンプラニーリョ種」 (写真:筆者撮影)

「エラクリオ・アルファロ(Heraclio Alfaro)」ワイナリーの歴史

近年、有名ワイナリーのなかで、有名建築家による奇抜なワイナリーが色々と出ていますが、ここのワイナリー程ユニークなワイナリーはそんなにないのではないでしょうか。

現在ワイナリーがあるこの場所は、スペインでは歴史的な場所として知られています。1919年に飛行場がここに作られました。発着場として使われていた土地は、今では見渡す限りのブドウ畑になっています。今使われているワイナリーは飛行機の格納庫として作られた建物を改装したもので、格納庫としての構造は今も残っています。

発酵温度をコントロール「タンク室」 (写真:筆者撮影)

1970年代に、最初のワインを造り始め、2000年には別のファミリーがこのワイナリーを受け継ぎ、近代化して「エゴメイ」という名前で新しいラインのワインを造りました。そして、2018年にテーラス・ガウダ・グループがこのワインに新しい風を吹き込み、2015年に最初のワイン「エラクリオ・アルファロ・クリアンサ」がヴィンテージされました

テーラス・ガウダ・グループは、ガリシア州にある白ワインのワイナリーから発展したグループで、ガリシア州の白ワインワイナリーが赤ワインの代表地ともいえるリオハ州のワイナリーに進出するのはスペインでは初めてのことで、テーラス・ガウダ・グループはその意味でのパイオニアです

スペインのワイナリー見学-テーラス・ガウダ(Terras Gauda) | おいでよ!スペイン (shiroyshishi.com) テーラス・ガウダ・グループについてはこちらもどうぞ。

「木樽熟成庫」木樽はフランス・オーク(写真:筆者撮影)

エラクリオ・アルファロ とは?

さて、このワイナリーの名前「エラクリオ・アルファロ(Heraclio Alfaro)」は、スペインの飛行機パイロット、飛行機製作者としてのパイオニアであるエラクリオ・アルファロ氏に敬意を表して、その名前を冠したものです。

エラクリオ・アルファロ氏は、20世紀初頭において、国境を越えて活躍したまさしく「グローバル」な人物でした。1914年、パイロット資格を取り、世界でも最も若いパイロットの一人で、なんと21歳という若さでした。そして彼は飛行機を操縦するだけではなく、スペインで初めて一から最初の飛行機を作り上げたのです。その後、アメリカに渡り、航空学においていくつも賞を受け、ボストンにあるマサチューセッツ工科大学で教鞭をとり、同時に飛行機設計を続け、多くの特許をアメリカやカナダで取りました。グローバルでパイオニア、自分の夢を追求した人物といえるでしょう。

彼のようにグローバルでパイオニア、そしてこのワイナリーで働く人たちのワイン造りに対する熱い思い、そして夢を追求するという意味を重ね合わせ、ワイナリーの名前、そして最初のワインの名前も彼の名前が付けられました

1914年 自身作成の「アルファロ1号」に乗るエラクリオ・アルファロ氏 (Wikipedia Public Domain)

多様な畑と挑戦

現在、115ヘクタールの畑を所有しており、リオハ地方特有の黒ブドウの3つの品種に割り当て、テンプラニーリョ種、グラシア―ノ種、マスエロ種を栽培しています。ブドウの木は70年代に植えられたもので、樹齢45年ほどです。また、この地方で最も高い地域(海抜750m)にあるブドウ畑もあり、そこではガルナッシュ/ガルナッチャ種を栽培しています。 この品種を加えることで、フレッシュな果実と酸味のある、より調和のとれたワインを造ることができます。

リオハ地方では、この土地のブドウであるテンプラニーリョ種とガルナッシュ/ガルナッチャ種が多く栽培されていましたが、このガルナッシュ/ガルナッチャ種はテンプラニーリョ種と比べ繊細な種類で、花が咲く時期に花が散ってしまうことが多くみられるそうです。そのため、ブドウの房にびっちり実が生らないのでどうしても収穫量が減り、栽培を嫌厭される傾向になり、どんどん地元のブドウであるガルナッシュ/ガルナッチャ種の栽培が減少していたとのこと。しかしこのワイナリーでは、ガルナッシュ/ガルナッチャ種にも力を入れて栽培し、ガルナッシュ/ガルナッチャ種を多く含むワインを造ることにチャレンジしています

調和のとれたワインに仕上げるには欠かせない「ガルナッシュ/ガルナッチャ種」  (写真:筆者撮影)

このワイナリーの特徴の一つとしては、 ブドウ畑だけではなく果樹園とオリーブ畑もあるところでしょうか。12ヘクタールは、果実園とオリーブ畑として割り当てられています。ブドウだけではなく、リオハ州という果実や野菜などにも適した気候・土地を生かし、リンゴやオリーブも栽培しています。

緑色のオリーブの実がたわわに実っていました (写真:筆者撮影)
リンゴの種類はなんと日本の「ふじ」! スペインでも人気のりんごです(写真:筆者撮影)

ここで取れたオリーブの実はエクストラ・バージン・オリーブオイル用に使われていますが、今年リオハ州が主催するコンクールで、エコ栽培を対象にした「オリーブの実」カテゴリーで2位を受賞しました! スペインで栽培されているオリーブの品種は、なんと200種類以上ありますが、ここで栽培されているものはアルベキ―ナ(arbequina)という種類で、苦みや辛みのないサッパリとした口当たりで、オリーブの果実特有のフルーティな香りがするとても美味しいエクストラ・バージン・オリーブオイルです。オリーブオイルになじみのない方にも癖のないすんなりと味あえる種類のオリーブオイルでお薦めです。

ラベルも素敵な「エラクリオ・アルファロ」のエクストラ・バージン・オリーブオイル(写真:筆者撮影)

試飲

一通りワイナリー内を見て回り、説明も聞いた後、試飲です。お店の後ろにテイスティング・スペースが設けられていました。大きなガラス張り窓から見えるザクロの木には赤い実がなっていて、まるで額縁の中の絵のような美しさを感じました。

ザクロの木 (写真:筆者撮影)

色々と説明してくれたホルヘ(Jorge)とイドージャ(Idoya)。本当にワイン造りに対する熱い思いを語ってくれました。リオハ州の赤ワインの代名詞のようなテンプラニーリョ種の ブドウは、荒々しくもがっちりとした味わいが魅力。そこに女性的な繊細でフレッシュなガルナッシュ/ガルナッチャ種を加えることでハーモニーが生まれ、口当たりの良いワインになるとのこと。そしてフランス・オークの木樽で熟成させることにより、バニラのようなちょっと甘い風味になるとのこと。

イドージャは、このワイナリーのワイン造りを直接担当しているエノロゴ(醸造家)で、私が訪れた日も茎がついたままでワインを醸造する「全房発酵」と茎を取る「除梗」を行ってワインを醸造する実験用のワインの準備を忙しく行っていましたが、日々、自分たちの求めるワインを造るために色んな試行錯誤を繰り返していると熱く語ってくれました。

ワイナリーのアルムデナ、ホルヘ、カルメン、イドージャ(写真:筆者撮影)

試飲のワインは、ここのワイナリーで造られている2種類のワイン「エラクリオ・アルファロ」と「エラクリオ・アルファロ・フィンカ・エスタリホ」。この2種類の赤ワインは、両方ともテンプラニーリョ種、 グラシア―ノ種、マスエロ種、ガルナッシュ/ガルナッチャ種の4種類のブドウから造られていますが、割合の違いでかなり口当たりの異なるワインになっています。試飲で、同じ種類のブドウのワインでも割合によって味だけではなく香さえも異なるワインができるということが実感でき、素人の私にとっては驚きの体験でした。

「エラクリオ・アルファロ」は、赤ワインのクリアンサ。フランス・オークの木樽で12ヶ月熟成し、12ヶ月以上貯蔵したもので、テンプラニーリョ種が40%、グラシア―ノ種5%、マスエロ種5%、ガルナッシュ/ガルナッチャ種が50%。このワイナリーが力を入れているガルナッシュ/ガルナッチャ種を多く用いて新しい「リオハワイン」を造りだしています。

「エラクリオ・アルファロ・フィンカ・エスタリホ」赤ワインのクリアンサ。こちらは、フランス・オークの木樽と700Lのフードル(大樽)で16か月熟成した後、12ヶ月以上貯蔵したものです。テンプラニーリョ種が30%、 グラシア―ノ種30%、マスエロ種10%、 ガルナッシュ/ガルナッチャ種が30%。 こちらは「エラクリオ・アルファロ」に比べてヴィンテージ数も少なくリミテッドエディションだそうです。

左がテンプラニーリョ種 右がガルナッシュ/ガルナッチャ種(写真:筆者撮影)

また、丁度収穫前に訪れたので、テンプラニーリョ種とガルナッシュ/ガルナッチャ種のブドウの実を食べ比べさせていただきました。イドージャの説明のように、確かにテンプラニーリョ種はそもままブドウとして食べるにはちょっと大味でイマイチ。でもガルナッシュ/ガルナッチャ種の方はそのまま食べても十分美味しく洗練された味で、なるほどこれらを組み合わせて調和のとれたワインを造っていく難しさと醍醐味を実感できました。

左が「 エラクリオ・アルファロ・フィンカ・エスタリホ 」右が「 エラクリオ・アルファロ 」(写真:筆者撮影)
ワインの箱のデザインも素敵なのでお土産にピッタリ!(写真:筆者撮影)

スペイン初のパイロット兼航空学者であるエラクリオ・アルファロ氏についての歴史や、そのパイオニア精神をワイン造りに引き継いでいこうという心意気にも深く感銘を受け、ワインを通して知ることのできる様々な物語を楽しむことができました。

またワインだけではなく、オリーブやリンゴを栽培している多様な土地柄を目の当たりにして、涼しく比較的乾燥しているこの土地の特性も知ることができました。

試飲の後で (写真:筆者撮影)

おすすめ!ワイナリー見学

「エノツーリズム(ワインツーリズム)では、ワイナリーのワインを味わうだけではなく、ワインを造っている人達の情熱、思想、哲学までも垣間見ることができ、そしてワインを造るブドウを育んだ土地への愛着、その土地特有の文化や自然に対する深い理解も実感できます。

ここのワイナリーのガイドをしてくれるホルヘは英語でのガイドもOKとのこと。是非、スペインにいらっしゃる際は、「エラクリオ・アルファロ」ワイナリーのエノツーリズム(ワインツーリズム)を旅行計画に入れてみてはいかがでしょうか。

追記:「シタデル・デュ・ヴァン」コンクールで「スペインワイン特別賞 グランドゴールドメダル2023」を受賞!!

2021年に「エラクリオ・アルファロ」ワイナリーを訪れましたが、今年2023年に入ってフランス・ボルドーのワインコンクール「シタデル・デュ・ヴァン」にて国別の「特別賞 グランドゴールドメダル2023」を受賞したという、とても嬉しい報告を頂きました。

「シタデル・デュ・ヴァン」は、1992年にボルドーワインで有名なフランス・ボルドーで創設された権威ある国際ワインコンクールで、日本のワインもこのコンクールで金賞や銀賞を受賞しているものがあるので、ご存じの方もいらっしゃると思います。「O.I.V.(国際ブドウ・ワイン機構)」の後援のもとで行われる限られたコンクールの一つですが、五大陸のプレミアムワインの多様性と品質に焦点を当てることを目的として、国際的なワインシーンで最も影響力のあるイベントの一つとして確立しています。

「O.I.V.(国際ブドウ・ワイン機構)」が推薦する最高水準のエノログ(ワイン醸造技術管理士)をはじめとする専門家35名が審査を行い、625本のワインを試飲しました。この世界中からエントリーされた625本のワインの中から、「エラクリオ・アルファロ・フィンカ・エスタリホ 2017(Heraclio Alfaro Finca Estarijo 2017) 」が出品されたスペインワインの中で最高得点を獲得し、「スペインワイン特別賞 グランドゴールドメダル2023」を獲得しました。

この報告を受けたとき、真っ先にイド―ジャ(Idoya)の姿を思い出しました。自分たちの追求するワインを造るために、日々試行錯誤を繰り返していると熱く語ってくれたあの姿を。そして、イド―ジャをはじめとして、ホルヘやアルムデナ、そしてカルメン、スタッフのみんなを思い出し、私もとても嬉しくなりました。これからも、美味しいワインを造ってください!とエールを送ります。おめでとうございます!

受賞に興味のある方は、スペイン語ですがこちらもどうぞ。

https://elcorreodelvino.com/heraclio-alfaro-finca-estarijo-2017-recibe-el-premio-especial-de-espana-en-el-concurso-de-burdeos-citadelles-du-vin/

「シタデル・デュ・ヴァン」のウエブサイトにも出ています。

https://www.citadellesduvin.com/index.php?option=com_content&view=article&id=276&tmpl=index-es&Itemid=209

参考

・「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)グループ」の公式サイト。「Enoturismo」をクリックして「Heraclio Alfaro」を見てください。:https://www.terrasgauda.com/ 

・ スペイン観光公式サイトがエノツーリズムについて紹介しています。日本語です。 リオハ・オリエンタルのワインルート。。エノツーリズム | spain.info 日本語

・日本人向けにワイナリーツアーを企画している会社(スペインワインのプロフェッショナルである、バルセロナのOFFICE SATAKEと、バリャドリッドのBUDO YAを中心にスペイン各地のプロフェッショナルが、ワイナリーを本格的に案内)。http://enoturismo.jp/?page_id=703

・ラ・リオハ州公式観光サイト。ラ・リオハ州のエノツーリズムについてのサイト。Enoturismo – La Rioja Turismo

ちょっとスペイン語-11-(No hay de qué) どういたしまして。

ここでは、ちょっとしたスペイン語の言い回しや、ことわざ、話し言葉など、辞書には載っていない単語も含めて紹介していきます。スペイン語を勉強している方には言葉の幅が広がるお手伝いができればいいなと、スペイン語には興味ないという方には雑学として楽しんでいただければいいなと思っています。

No hay de qué-どういたしまして。何も感謝されることはないよ。当たり前のことをやっただけだよ。別に謝る必要はないよ。

スペインに住むようになってからよくこの言葉がスペイン人の口から返ってきることに気づきました。根っから日本人の私は、すぐ「Muchas Gracias(どうもありがとう)」「Perdón(すみません)」と言うのですが、その際よくこの返事が返ってきます。そして、 謝罪で「Perdón(すみません)」 を使う時、 「No hay de qué 」と言われるとホッとしたりします。何故なら、この言葉には、「別に謝られるようなことは何もないよ」「君が謝る必要はないよ」というような意味合いが込められているからです。

¡Perdona! No he podido avisarle antes, es que estaba en una reunión.

すみません!会議があっていたので、ご連絡できませんでした。

No hay de qué. Ya me ha avisado otra persona.

別にいいよ。/大丈夫。他の人から連絡をもらったから。

また、感謝の気持ちで 「Mucas Gracias(どうもありがとう)」 と言った後にこの言葉が返ってくる場合は、「別に感謝されることは何もないよ」「当たり前のことをやっただけだよ」という意味が込められていて、相手の謙虚な気持ちが伝わってきてグッと魅かれてしまいます。

Muchas gracias por ayudarme.(役所などで)

色々とどうもありがとうございます。

No hay de qué, es mi trabajo.

いえ、どうも、当たり前のことですよ。

この言葉がスッと自然に言えるようになると、かなりネイティブっぽく聞こえますね。「Gracias」や「Perdón」と言った後、ネイティブスピーカーの受け答えに注意してみてください。「De nada」だけではない返事が返ってきますよ。

スペインでバードウォッチング!-種類別 スペインの野鳥 日本語名(カイツブリ科)

ここでは、スペインに生息する野鳥の名前を、種類別に集めてみました。スペイン語名をクリックしてもらうと、スペイン鳥学会のホームページに飛びます。残念ながら日本語版はありませんが、英語での鳥の名前は出ています。スペインで野鳥観察されるとき、またはスペインの旅の途中で見かけた鳥のスペイン語名を知りたいときに、少しでもお役に立てれば幸いです。

Somormujos y zampullines = カイツブリ科

スペイン語日本語ラテン語//常駐/偶然
Zampullín cuellirrojoミミカイツブリPodiceps auritus
Zampullín cuellinegroハジロカイツブリPodiceps nigricollis常駐
Zampullín chicoカイツブリTachybaptus ruficollis常駐
Zampullín picogruesoオビハシカイツブリPodilymbus podiceps偶然
Somormujo lavancoカンムリカイツブリPodiceps cristatus常駐
Somormujo cuellirrojoアカエリカイツブリPodiceps grisegna
カンムリカイツブリ Somormujo lavanco  (写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

2000年の時を超えてローマ劇場で行われるメリダ古典演劇祭(Festival Internacional de Teatro Clásico de Mérida)

もう、20年以上も前にメリダ(Mérida)を最初に訪れた際、ローマ劇場や円形競技場を観光しました。ローマ時代の建造物の中に足を踏み入れた初体験だったので、とても感動したことを今でも覚えています。まるでタイムスリップしたかのように2000年以上の時を一気に超え、ローマ時代の人たちが実際に居たところに私も居るんだという、とても不思議な気持ちで一杯になりました。そして、その時友人が「毎年夏になるとここで演劇祭が行われていて、誰でも観に来れるんだよ」と説明してくれたました。その時から、”あー、一度でいいから私もこのローマ劇場でローマ時代の人たちのように劇を楽しんでみたいなぁ・・・”と思っていました。そして、やっとその願いが叶いました!!

ローマ劇場&舞台 (写真:筆者撮影)

メリダ古典演劇祭 (Festival Internacional de Teatro Clásico de Mérida)

長い間廃墟となっていたメリダのローマ劇場は、1910年から本格的な発掘が進められ1933年6月に、実にローマ時代以来初めての演劇が開催されました。しかし、スペイン市民戦争 (1936~1939) の前後を含め約20年近くこのローマ劇場で演劇が催されることはありませんでした。その後、1954年から「メリダ古典演劇祭 (Festival Internacional de Teatro Clásico de Mérida)」が開催されるようになり、今年は第67回目のフェスティバルが7月から8月末まで約一ヶ月にわたって催されました。現在は演劇だけではなく、様々なコンサートが開かれ、また映画も上映されています。今年は去年に続きコロナ下での開催でしたが、多少の制限はあったものの多くの人がこのフェスティバルを堪能することができました。

ローマ劇場 観劇席への入口外観(写真:筆者撮影)

私は初めての観劇となりましたが、毎年必ず観に行く常連さんも多いようです。メリダの夏は、日中は40度前後まで気温が上がるので心配していましたが、開演時間が22時45分と日本人の感覚ではかなり遅いこともあり、暑さも感じず気持ちよく観劇できました。作品は全てスペイン語なので、全部を理解するにはかなり難しいとは思いますが、大体のあら筋を下調べしておけば後はローマ劇場の雰囲気を十分楽しむことができます。今回私が観た「愛の市場(Mercado de amores)」は、紀元前約200年の劇作家プラウトゥスの喜劇でした。YouTubeで劇が終わって役者達が挨拶する場面が出ています。雰囲気を知りたい方はどうぞ。

Final de “Mercado de amores” Festival internacional teatro clásico de Mérida. Julio 2021 – YouTube

ちなみに、主人公のパンフィロ(Pánfilo)の名前は、ギリシャ語では「全てを愛する者、誰でも好きになる人」という意味があるそうです。そしてスペイン語で パンフィロ(Pánfilo)は、「無気力な(人)、のろま(な)、お人好し(の)」という意味があり、面白いなと思いました。

ローマ劇場 メインエントランスを入るとトンネルが !(写真:筆者撮影)

メリダのローマ劇場について

さて、このローマ劇場は、ローマ時代はその植民都市として「エメリタ・アウグスタ」と呼ばれた現在のメリダに、紀元前16年から紀元前15年にかけてアウグストゥス帝の娘婿アグリッパ将軍の後援により築かれました。建設当初の観客収容人数は約6千人で、半円形の階段席は、花崗岩で覆われたローマンコンクリート(古代コンクリートとも呼ばれる)で造られています。現在の観客収容人数は3千人です。

ギリシャ劇場と同じように丘の傾斜を上手く利用した抜群の音響効果で、舞台から観客席まで生の声が鮮明に聞き取れます。既にローマ時代には数回の増築工事が行われ、ローマ時代の人たちの娯楽の場として活躍しましたが、その後、演劇は不道徳なものと考えるキリスト教の影響が強い時代へと移ると、4世紀頃にはローマ劇場は打ち捨てられていきました。そして1500年以上の年月は、劇場を土の下へ埋めてしまったのです。発掘が始まる前までは、 ローマンコンクリートで出来ている観客席のみが地上に現れていたそうです。

ウィキペディアには、1867年の発掘並びに再建前の写真がでています。残存していた観客席がまるで椅子のようだったので「七つの椅子( Las Siete Sillas )」と呼ばれていたそうです。現在の様子とはかなり異なることに驚かされます。

「七つの椅子(Las Siete Sillas)」Wikipedia Domain

そして前述したように、 1910年から本格的な発掘が進められ全容が現れました。実に発掘するため地下9メートルまで掘ったという記録が残っています。地中深く埋まってしまいすっかり忘れられてしまったローマ劇場の真上に、ジャガイモ畑があったり、闘牛場として使っていた時期もあったとか。

ローマ劇場 観劇席の入口から舞台を見る(写真:筆者撮影)

もし、7月から8月にかけてスペインを訪れるなら、旅のルートにこの2000年以上も前に建築されたローマ劇場で行われる 「メリダ古典演劇祭 (Festival Internacional de Teatro Clásico de Mérida)」 を加えて、ローマ時代の人たちのようにローマ劇場での演劇やコンサート等を是非楽しんでみてください。きっと、観光のみでは味わえない旅の思い出になること間違いなしです!

情報

・残念ながらスペイン語のみのサイトです。

Festival Internacional de Teatro Clásico de Mérida – (festivaldemerida.es)

・ スペイン観光公式サイトが日本語で「メリダ古典演劇祭」を紹介しています。

メリダ古典演劇祭。Mérida | spain.info 日本語

・ ローマ劇場について。英語版もあります。

スペインでバードウォッチング!-種類別 スペインの野鳥 日本語名(アビ科)

ここでは、スペインに生息する野鳥の名前を、種類別に集めてみました。スペイン語名をクリックしてもらうと、スペイン鳥学会のホームページに飛びます。残念ながら日本語版はありませんが、英語での鳥の名前は出ています。スペインで野鳥観察されるとき、またはスペインの旅の途中で見かけた鳥のスペイン語名を知りたいときに、少しでもお役に立てれば幸いです。

Colimbos = アビ科

スペイン語日本語ラテン語//常駐/偶然
Colimbo chicoアビGavia stellata
Colimbo grandeハシグロアビGavia immer
Colimbo árticoハシジロアビGavia arctica
Wikipedia domain

子供も大好きズッキーニ!ズッキーニのクリームポタージュ(Crema de Calabacín)

花は天ぷらにしても美味

ズッキーニのクリームポタージュ(Crema de Calabacín)

材料:4人分

・ズッキーニ        中3~4本

・クリームチーズ(KIRI)    6~8個(好みで)

・塩              適宜

・ナツメグ            適宜

作り方

1.ズッキーニは輪切りにしておく。新鮮なズッキーニは、皮は向かずにそのままでも苦みはありません。今回は、適当に所々皮を剥いて作りました。

2.鍋に 1 のズッキーニを入れ、水をヒタヒタに入れる。塩を入れて煮る。

ズッキーニはちょっとクタッとなるまで煮る

3.ズッキーニが柔らかく煮上がったら火を止めて、水分が多い場合はカップに余分な煮汁を取る。煮汁は、後でハンドミキサーにかけた後、もう少し柔らかくしたければ足す。残った煮汁は捨てずにそのままスープとして飲んでも美味。

4.クリームチーズとナツメグを入れてハンドミキサーにかける。味を見て塩が足りなかったら足す。

4.熱いうちにどうぞ。

スペインでは、パンを小さくちぎってポタージュに入れながら食べる人が多いですね。勿論、クルトンを入れても美味しいですよ。簡単で美味しく、子供たちにも人気のこのポタージュ、是非お試しくださいね。

レオン(León)へ行こう!(3)― グルッとローマ時代の城壁巡り

ローマ時代の城壁巡りの説明版

グルッとローマ時代の城壁巡り

同じカスティーリャ・イ・レオン州にあるアビラ市の城壁は11世紀の終わりに造られた中世の城壁ですが、こちらレオン市の城壁は、1世紀からのローマ時代のものと12世紀から14世紀に造られた中世のものとが混在しています。今回は、ご一緒にローマ時代の城壁をぐるっと周ってみましょう。

まずマヨール広場から出発です。 マヨール広場の時計台がある市役所を背にして左側にあるスクエアーからマヨール広場を出ると、左側に「ポンセの塔(Torre de los Ponce)」 があります。ここから左手に曲がりセラドーレス通り(Calle Serradores)を大聖堂に向かって歩いていきます。この道沿いには後述するクーボス通り(Avenida de los Cubos) と同じように城壁の円柱形の小塔(Cubo)と小塔の間に家が建っている面白い通りです。

「ポンセの塔(Torre de los Ponce)」マヨール広場からすぐ
「ポンセの塔(Torre de los Ponce)」 から大聖堂へ。左側にある円柱形の小塔と小塔の間には家が !

セラドーレス通り(Calle Serradores) の突き当りがプエルタ・オビスポ広場になり、レオン大聖堂の横に着きます。そのまま真っ直ぐ行くと階段があるのでのぼり、そこにはローマ時代の城壁巡りの説明版があり、右側の足元にはガラス張りを通してローマ時代の「テルマエ」が見えます。これは、その構造からプールまたは貯水槽だったと考えられています。大聖堂に圧倒されて見失いがちですが、大聖堂の横の地下部分にはローマ時代の遺跡が発見されているのです。ローマ時代には両側に塔と木製の開き扉がある東門のオビスポ門(Puerta Obispo) がここにあり、そこからローマ軍の駐屯地に入って行きました。

横から見たレオン大聖堂 ローマ時代のテルマエの遺跡をお見逃しなく!
門の両側に塔があったオビスポ門(Puerta Obispo)

さて、ローマ時代の遺跡テルマエを見たら階段を下りて大聖堂からすぐ左に曲がり、クーボス通り(Avenida de los Cubos)に入り歩いていきます。この「小塔の城壁 (muralla de cubos) 」は、3世紀から4世紀初めにかけて造られたもので、建設当初に造られた約半数に当たる36の小塔が今日まで残存しています。この小塔は、高半円式で直径が約8メートル、高さは約10メートル、城壁自体は約5メートルの厚みがあります。

クーボス通り(Avenida de los Cubos) 奥にレオン大聖堂が見える

そのままクーボス通りをまっすぐ道なりに歩いていくと、左手に曲がっていきます。城壁が続いていますが、左手に門が見えてきます。これがアルコ・デ・ラ・カルセル門(Arco de la cárcel)またはカスティージョ 門(Puerta Castillo )です。ローマ時代には、東にオビスポ門(Puerta Obispo )、西にカウリエンセ門(Puerta Cauriense )、南にアルコ・デル・レイ門(Puerta del Arco del Rey )、そして北にこのカスティー ジョ 門 (Puerta Castillo)がありましたが、今日ではその当時の姿が見れる門は残念ながら北門のみです。

アルコ・デ・ラ・カルセル門(Arco de la cárcel) またはカスティーリョ門(Puerta Castillo)

この門から城壁内には入らずに、そのまま城壁に沿ってラモン・イ・カハル通り(Calle de Ramón y Cajal) を歩いていき、突き当りを左側に曲がります。少し歩くとサン・イシドロ王立参事会教会(Real Colegiata de San Isidoro)の後ろに着きます

このように「ポンセの塔(Torre de los Ponce)」と呼ばれるマヨール広場の後側にある塔から「カスティージョ門( Puerta Castillo )」または 「アルコ・デ・ラ・カルセル門(Arco de la cárcel)」、そして 「 サン・イシドロ王立参事会教会の塔(Torre de la Basílica de San Isidoro )」までローマ時代の小塔を含む城壁が規則正しく残存しています。

城壁が終わった先にはサン・イシドロ王立参事会教会が

レオン市の城壁は、現存するローマ時代のローマ軍城壁としては、スペインの中ではおそらく最も古いものの一つだと言えます。ローマ時代は、城壁を四辺形にとり、その内部にローマ軍団の駐屯地が作られていました。その中には、兵舎、指令本部、古代ローマの護民官、地方総督の家々や、倉庫、井戸、テルマエ、そして城壁の外側に円形競技場がありました。

そして、現在のアンチャ通り(Calle Ancha)がローマ時代のメインストリートでした。

アンチャ通り(Calle Ancha) ローマ時代も現在もレオン市のメインストリート

コーヒータイム&ランチタイム

さて、サン・イシドロ王立参事会教会まできたら城壁巡りはここまでにして、ここからはルイス・デ・サラサール通り(Calle de Ruíz de Zarazar)に入り、コーヒータイム。

ルイス・デ・サラサール通り(Calle de Ruíz de Zarazar)
奥左側はグスマン宮殿(Palacio de los Gusmanes)、右側はガウディ建築のカサ・デ・ロス・ボティネ(Casa de los Botines)

ルイス・デ・サラサール通りには、私のお気に入りのカフェ書店 「トゥラ・バロナ(Tula Varona)」 があります。お茶もできますが、本屋さんでもあります。古本が主で、スペイン語だけではなく英語の本も置いてあります。本好きな弁護士である女主人の夢を体現した本屋さんで、2020年にオープンしました。店内は本に囲まれゆったりした気分でお茶が楽しめます。店の外でもコーヒーが飲めるので、コロナの今は安心ですね。コーヒーを飲みながら、ガウディ建築の カサ・デ・ロス・ボティネス(Casa de los Botines) が見えるのも嬉しいです。

お店の外でもお茶できます
お店の中はこんな感じです

このほか、この城壁巡りコース途中のクーボス通りにある、ミッシェラン1つ星のレストラン「パブロ(Pablo)」はお昼ご飯にお薦めです。テイスティングメニュー(Menú de degustación)とそのメニューに合うマッチングワイン(Maridaje)がありますが、テイスティングメニューは10種類以上の小ぶりな料理がでてきて、次にどんな料理が出てくるのかというサプライズと見た目にも美しい創作料理は、食事時間が楽しいものになること間違いなし! また、ふんだんに地元の食材を使った料理や郷土料理もしっかり含まれていて、旅行者にも嬉しいメニューです。お勧めの数種類のパンは全種類美味しい! 是非、全種類を食べ比べてみてください。ちなみにお値段の方は、2021年8月現在で、 テイスティングメニュー(Menú de degustación) が65ユーロ、 マッチングワイン(Maridaje)が35ユーロです。(ともに税込料金)

ちょっと奮発して、地方で活躍しているミッシェラン・シェフの料理を堪能してみるのも悪くないですね! スペインのレストランは一皿一皿が、ゆったりした時間で提供されるので、余裕を持たせてお昼ご飯の時間を2時間位確保してください。地方都市では、観光できる所は2時から4時くらいまでお昼休みに入ってどこも見れない所が多いので、ゆっくりお昼ご飯に時間をかけても大丈夫ですね。

レストラン「パブロ」大胆かつシンプルなデザインの店構え
色彩が美しい庭園を連想させられる肉料理の一品

ローマ時代の城壁に沿ってグルッと街を歩いていくと、点と点との観光が線の観光へとステップアップされて、街の様子がもっとリアルに実感できると思います。是非、レオン観光に行かれたら試して歩いてみてくださいね。そして、マドリッドやバルセロナ等の大都市とは異なる時間の流れを体験してみてください。きっと別の顔のスペインを発見できることでしょう。 

情報

・レオン市役所のサイト。英語版もありますが、内容は残念ながらスペイン語に比べて充実していないようです。

    Ayuntamiento de León – ruta romana (aytoleon.es)

・レストラン「パブロ」のサイト。”Reservas”から予約できます。

  住所: アベニーダ・ロス・クーボス(Avenida los Cubos)、8番地、レオン市

  郵便番号:24007

  メールアドレス: info@restaurantepablo.es

  電話番号:987 216 562 

    Restaurante pablo |

・ カフェ書店 「トゥラ・バロナ(Tula Varona)」

   住所:  ルイス・デ・サラサール通り (Calle Ruiz de Salazar)、18番地、レオン市