スペインでバードウォッチング!-世界一大きな飛べる鳥「ノガン」を見に行こう!-カスティーリャ・イ・レオン州「ビジャファフィラ・ラグーン(Lagunas de Villafafila)」

                              観察日:2020年10月18日

                               観察した鳥の種類:34種類

ビジャファフィラ・ラグーン(ビジターセンターが見えている)/写真:筆者撮影

ヨーロッパ中のバードウォッチャーがやってくるバードウォッチングの聖地

今回は、カスティーリャ・イ・レオン州のサモーラ県にある自然保護区で、ラムサール条約登録地でもある、「ビジャファフィラ・ラグーン(Lagunas de Villafafila)」に行ってきました。ここは、地球上にいる飛べる鳥類としては世界一大きな鳥「ノガン(Avutarda)」が生息していることで有名で、ヨーロッパ中のバードウォッチャーがやってきます。コロナウイルス感染者が増加中であるにもかかわらず、イギリスから来たというバードウォッチャーにも今回出会いました。「ノガン」は、オスの方がメスより大きいのですが、オスは全長115㎝、18㎏です。なかなか飛んでいるところは見れないのですが、飛ぶ姿はなかなかの見物です。久しぶりに見れたらいいな~と期待しながら行ってきました。私が住んでいるサラマンカからは車で約1時間ちょっと。この日はお天気にも恵まれ、とても気持ちの良い一日でした。

ゴーストタウン「オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)」

ビジャファフィラのビジターセンターの開館時間まで、近くの村「オテロ・デ・サリエゴ」に行き、早速、野鳥観察。ちなみに、この村は今では全く住む人のいないゴーストタウンです。今は廃墟となった教会や、この地方でよくみられる鳩舎(Palomar)などが残っていますが、ここの住人はの野ウサギや様々の鳥たちです。鳩舎を再現したハイドが造られていて、ゆっくりのんびり思う存分野鳥観察が楽しめます。今回は、夏から全く雨が降らなかったせいか、村にある大きなラグーンはかなり干上がって小さくなっていて、残念ながら、ここではあまり水鳥は見れませんでした。でも、他の鳥は結構見れましたよ。

廃墟と化した鳩舎(Palomar)/写真:筆者撮影

この地域は野鳥保護区に指定されていて、生息数が激減している「ヒメチョウゲンボウ」もよく見れます。世界の42%に当たるヒメチョウゲンボウが、ここカスティーリャ・イ・レオン州に生息し、そのうち50%がこの野鳥保護区にいるとのこと!。実際、車でゆっくり走っていると道の両側に「飛ぶヒメチョウゲンボウ」や「止まっているヒメチョウゲンボウ」をあちこちで簡単に見ることができます。

オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)のハイド。鳩舎(Palomar)を再現しています。向こう側にはラグーンが広がっているはずでしたが、残念ながら干上がって水がみえません。/ 写真:筆者撮影

この地方は、「パロマール(Palomar)」と呼ばれる鳩舎があちこちで見られます。これは、鳩のひな鳥(Pichón)を食用とし、鳩の糞を肥料に使用するために造られていました。現在では、一般家庭で鳩のひなを食べる習慣はあまりないようですが、レストランでは鳩のひな料理が食べられますよ。

ラグーンには、ローマ時代の橋も残っています。(Puente Romano)/写真:筆者撮影

今回、オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)で出会えた鳥たちは以下の通りです。

・ソリハシセイタカシギ(学名:Recurvirostra avosetta / 西:Avoceta Común)

ソリハシセイタカシギ(学名:Recurvirostra avosetta / 西:Avoceta Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ツクシガモ(学名:Tadorna tadorna / 西:Tarro Blanco)

ツクシガモ(学名:Tadorna tadorna / 西:Tarro Blanco)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ハイイロガン(学名:Anser anser / 西:Ansar Común)

ハイイロガン(学名:Anser anser / 西:Ansar Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・マガモ(学名:Anas platyrhynchos / 西:Anade Azulón)

マガモ(学名:Anas platyrhynchos / 西:Anade Azulón)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・アカトビ(学名:Milvus milvus / 西:Milano Real)

アカトビ(学名:Milvus milvus / 西:Milano Real)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ノビタキ(学名:Saxicola rubicola / 西:Tarabilla Común)

ノビタキ(学名:Saxicola rubicola / 西:Tarabilla Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・クロヅル(学名:Grus grus / 西:Grulla Común)

クロヅル(学名:Grus grus / 西:Grulla Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

10月18日に野鳥観察に行ったのですが、驚いたことに、クロヅルの群れの中に一回り大きく白いツルが一羽混じっていました。どうもこれは日本のタンチョウヅルだったようです。ビジャファフィラの野鳥のサイトにも17日と22日に目撃されたことが出ていました。ちょっと遠くてよくは見えなかったのですが、こんな遠い西の果ての国でタンチョウヅルに出会えるとは嬉しい驚きでした。

・アカアシイワシャコ(学名:Alectoris rufa / 西:Perdíz Roja)

アカアシイワシャコ(学名:Alectoris rufa / 西:Perdíz Roja/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ヨーロッパチョウヒ(学名:Circus aeruginosus / 西:Aguilucho Lagunero)

ヨーロッパチョウヒ(学名:Circus aeruginosus / 西:Aguilucho Lagunero)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・イソシギ(学名:Actitis hypoleucos / 西:Andarrios Chicos)

イソシギ(学名:Actitis hypoleucos / 西:Andarrios Chicos)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ハタホオジロ(学名:Miliaria calandra / 西:Escribano Triguero)

ハタホオジロ(学名:Miliaria calandra / 西:Escribano Triguero)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・タゲリ(学名:Vanellus vanellus / 西:Avefría)

タゲリ(学名:Vanellus vanellus / 西:Avefría)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ハシグロヒタキ(学名:Oenanthe oenanthe / 西:Collalba Gris)

・ヒメチョウゲンボウ(学名:Falco naumanni / 西:Cernícalo Primilla)

ヒメチョウゲンボウ(学名:Falco naumanni / 西:Cernícalo Primilla)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・チョウヒワシ(学名:Circaetus gallicus / 西:Águila Culebrera)

チョウヒワシ(学名:Circaetus gallicus / 西:Águila Culebrera)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ワタリガラス(学名:Corvus corax / 西:Cuervo)

・ニシコクマルガラス(学名:Corvus monedula / 西:Grajilla)

・カワラバト(学名:Columba livia / 西:Paloma Doméstica o Paloma Bravía)

「ノガン(Avutarda)」との再会

さて、オテロ・デ・サリエゴ(Otero de Sariego)からビジャファフィラ(Villafafila)まで行き、ビジターセンターに寄ろうとしましたが、残念ながらコロナウイルス感染予防のため、ビジターセンターの中には入れませんでした。このビジターセンターは、ビジャファフィラ・ラグーンで昔塩が取れていたその歴史や塩の採取方法などが詳しく説明されたパネルなどもあり、一見の価値ありです。次回行くときはコロナウイルスが終息していることを祈りながら、ビジターセンターの外の敷地内での野鳥観察に行きました。敷地内には、幾つものハイドが造られていて、ゆっくりバードウォッチングを楽しめます

カサ・デル・パルケ(Casa del Parque)と呼ばれるビジターセンター / 写真:筆者撮影

今回見た鳥たちは以下の通りです。

・ノガン(学名:Otis tarda / 西:Avutarda)

ノガン(学名:Otis tarda / 西:Avutarda)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・カイツブリ(学名:Tachybaptus ruficollis / 西:Zampullín Común o Zampullín Chico)

カイツブリ(学名:Tachybaptus ruficollis / 西:Zampullín Común o Zampullín Chico)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・オオバン(学名:Fulica atra / 西:Focha Común)

オオバン(学名:Fulica atra / 西:Focha Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・タシギ(学名:Gallinago gallinago / 西:Agachadiza Común)

タシギ(学名:Gallinago gallinago / 西:Agachadiza Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ハシビロガモ(学名:Anas clypeata / 西:Pato Cuchara)

・オカヨシガモ(学名:Mareca strepera/ 西:Ánade Friso)

オカヨシガモ(学名:Mareca strepera/ 西:Ánade Friso)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ヒドリガモ(学名:Anas penelope / 西:Ánade Silbón)

ヒドリガモ(学名:Anas penelope / 西:Ánade Silbón)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・コサギ(学名:Egretta garzetta / 西:Garceta Común)

コサギ(学名:Egretta garzetta / 西:Garceta Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ダイサギ(学名:Egretta alba / 西:Garceta Grande)

ダイサギ(学名:Egretta alba / 西:Garceta Grande)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・イエスズメ(学名:Passer domesticus / 西:Gorrión Común)

イエスズメ(学名:Passer domesticus / 西:Gorrión Común)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)

カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・バン(学名:Gallinula chloropus / 西:Gallineta Común)

・シュバシコウ(学名:Ciconia ciconia / 西:Cigueña Blanca)

シュバシコウ(学名:Ciconia ciconia / 西:Cigueña Blanca)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・アオサギ(学名:Ardea cinerea / 西:Garza Real)

アオサギ(学名:Ardea cinerea / 西:Garza Real)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

・ヨーロッパノスリ(学名:Buteo buteo / 西:Busardo Ratonero)

・ムジホシムクドリ(学名:Sturnus unicolor / 西:Estornino negro)

・ムジホシムクドリ(学名:Sturnus unicolor / 西:Estornino negro) / 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

飛ぶ「ノガン」には出会えませんでしたが、ビジターセンター(Casa del Parque)敷地内で傷ついた「ノガン」を飼っていて、ハイドからゆっくり観察することができました。本当に近くから見るとかなり大きいサイズの鳥だということを実感できます。このビジャファフィラ・ラグーンは、スペインの中でも最も「ノガン」が多く生息している場所です。今回は、秋に行ったので野生の「ノガン」はかなり遠くに、かすかに確認できるぐらいにしか見えなかったのですが、恋の季節に当たる3月から4月には、よく見えるそうです。現在、ビジャファフィラで確認されている「ノガン」の数は約3000羽で、ヨーロッパ全体で2万5000羽ほどが生息していると言われています。

ビジターセンター(Casa del Parque )敷地内にあるハイドの一つ / 写真:筆者撮影

是非、一度は世界一大きな飛べる鳥「ノガン」や、「ヒメチョウゲンボウ」に会いに、ビジャファフィラ・ラグーンまで望遠鏡持参で来てくださいね!

ビジャファフィラ 情報

・ビジャファフィラ・ラグーンについての一般情報やビジターセンター、「ノガン(Avutarda)」や「ヒメチョウゲンボウ(Cernícalo Primilla)」の情報が紹介されています。ただ、残念ながらスペイン語版のみです。左側の「Fauna」の「Avistamientos」をクリックすると、最新の目撃された鳥の名前が出てきます。

https://villafafila.com/default2.asp

・カスティーリャ・イ・レオン州の公式観光ウエッブページ。これは英語もあります。

https://www.turismocastillayleon.com/es/rural-naturaleza/espacios-naturales/reserva-natural-lagunas-villafafila#locale=es_ES!nearLat=41.85600299999999!nearLon=-5.593235999999992!nearDistance=40!minLat=44.385354163710005!minLon=-2.4190489023474515!maxLat=39.145651419206914!maxLon=-8.78936102683819!zoom=6

・サモーラ県観光ウエッブページ。英語版もあります。

https://www.turismoenzamora.es/villafafila/

ビジャファフィラ近辺 観光情報

・スペイン観光公式サイト。サモーラ県の10点の魅力を日本語で紹介しています。

https://www.spain.info/ja/toppu/samora-wo-otozureru-riyuu/

・ビジャファフィラから割と近くに廃墟となった12世紀のシトー会の修道院「サンタ・マリア・デ・モレルエラ修道院(Monasterio de Santa María de Moreruela)」があります。興味のある方は立ち寄ってみてください。

https://www.romanicozamora.es/es/monumentos/ver/monasterio-granja-de-moreruela/141

ピーマン嫌い解消!スペイン流、とっても美味しいピーマンの食べ方「焼きピーマン(Pimientos Asados)」&「揚げ煮シシトウ(Pimientos de Padrón Frito)」

10月も半ば過ぎ、我が家の畑の夏野菜もそろそろ終わりの時期となっています。

ピーマンの収穫がここ1ヶ月程続いていますが、朝晩の気温もグッと下がってきたので今年のピーマンも最終段階に入ってきました。

子供の頃、私自身それほどピーマンが好きではありませんでしたが、スペインに来てピーマンの美味しさ発見!日本では知られていない食べ方や料理の仕方等で、イマイチだったピーマンがピカイチになりました。

そこで、今回はスペインで一般的なとってもおいしいピーマンの食べ方を紹介します。

まずは、焼きピーマン。日本ではパプリカという呼ばれている肉厚のもので作ります。

赤と黄パプリカをオーブンで焼きました

焼きピーマン(Pimientos Asados)

材料:4人分

・赤パプリカ                 2~3個

・黄パプリカ                 2~3個

作り方

1.パプリカは軽く水洗いし、よく水けを拭いておく。

2.180℃に熱したオープンに入れ、約30分焼いたらひっくり返して約30分焼く。しんなりしたら出来上がり。(写真参照)

こんな感じになったら焼き上がりです

3.冷めたら、薄皮と種をきれいに取り除き、焼き汁と一緒に瓶に詰め真空にして保存します。この保存の際、ニンニクを切って焼きピーマンと一緒に瓶に入れたり、焼き汁を少々とバージン・オリーブ・オイルを入れて保存すると、すぐお肉の付け合わせとしても使えますよ。

この焼きピーマン、作り置きしておくと色んな場面で重宝します。

レタス・アボカド・スイートコーン・トマト、そして黄パプリカの焼きピーマンを飾ってサラダに

この他にも、ツナ缶と焼きピーマンを混ぜて、バルサミコ酢、バージン・オリーブオイルと塩で味付けしたものをクラッカーにのせて、カナッペスタイルでもなかなかお洒落なおつまみができます。

また、お肉やお魚をフライパンで焼いて、この焼きピーマンとニンニク、それにそれに瓶に残っているピーマンの焼き汁も少し混ぜてオリーブオイルで軽く炒め、焼いたお肉やお魚その付け合わせにするのもいいですよ。時間がない時にあっという間にできる、便利な料理の一つです。

豚ヒレをフライパンで軽く焼き、焼き汁と焼きピーマンを合わせてトッピングしたトスタ

この焼きピーマン、スーパーなどでも赤パプリカで作ったものが瓶詰めで売っています。ちょっとしたお土産にも喜ばれること間違いなしです!

次に、日本のシシトウにそっくりなピミエントス・デ・パドロン(Pimientos de Padrón)をオリーブオイルで揚げ煮するという、夏になるとレストラン等でもよくみる定番の料理を紹介します。

スペイン版シシトウ(ピミエントス・デ・パドロン)の揚げ煮(Pimientos de Padrón fritos)

材料:4人分

・ししとう                 300g

・オリーブオイル              適宜

・粗塩                   適宜

作り方

1.シシトウには、少し切れ目を入れておく。

2.フライパンに多めにオリーブオイルを敷き、中強火にして温める。

3.オリーブオイルが温まったら、重ならないようにシシトウを入れてゆっくり揚げ煮する。ひっくり返しながら、焦げないように気を付けて揚げる。しんなりなったらすぐ取り出し、油を切る。

4.皿にのせ、粗塩を軽く振って熱いうちに召し上がれ!

手前の大きいやつはイタリアン・ピーマン。同じやり方で揚げ煮したらとても美味しかったですよ!

このまま、パクパク食べてもよし、お肉などの付け合わせにしてもよし。決め手は、オリーブオイルなので、サラダ油ではなく、オリーブオイルでお試しくださいませ。

スペインのワイナリー見学(1)-テーラス・ガウダ(Terras Gauda)

スペインを訪れる楽しみの一つは、何といってもその食事とワイン!きちんとしたレストランに行かなくても、街のちょっとしたバルでおいしいおつまみ(タパス)と豊富なワインが気軽に楽しめます。今回は、スペインの白ワインでは絶大な人気を誇るガリシア地方にある「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」というワイナリー見学を報告します。

「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)グループ」の紹介

リアス・バイシャスと呼ばれるスペイン、ガリシア州の南、ポルトガルとの国境近くのオ・ロサルという所にこのワイナリーはあります。ローマ、エルサレムと並びキリスト教の三大巡礼地に数えられるサンティアゴ・デ・コンポステーラからは、車で約1時間半。大西洋からは8Km程離れたところに位置し、年間平均温度は15℃。ここは、ガリシア州の中では比較的天気に恵まれており、ぶどうの糖度を高めた状態で成熟させることができる理想的な土地です。

1990年、今からちょうど30年前に最初のワインを造り始めました。最初の年のヴィンテージは3万7千本だったのが、今では150万本を生産し、日本も含め世界45か国に輸出するほどの会社に成長しています。スペイン国内でも絶大な人気があり、今年3月から5月にかけてコロナウイルスによるロックダウンになっていたスペインで、インターネットを通して最もヒットしたワインのベスト10に唯一白ワインで入っていたのがこの「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)グループ」のワイン、テーラス・ガウダ(Terras Gauda)です。

1992年バルセロナ五輪のマスコット「コビー」の生みの親ハビエル・マリスカル氏の絵      
「テーラス・ガウダの友達たちへ愛情をこめて」という献辞が見える(写真:アルベルト・F・メダルデ撮影)

魚介類が豊富で、食べ物がおいしいガリシア州。このワイナリーの白ワインも魚介類との相性抜群!ワインだけでもおいしいですが、食事を引き立ててくれる陰の立役者とでも言えるのがこの「Terras Gauda(テーラス・ガウダ)グループ」のワインです。

今回は、グループ発祥の白ワインのワイナリー「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」について紹介していきます。

ユニークなブドウ畑とブドウの種類

2020年9月18日、午前11時にワイナリー見学が始まりました。1週間程前に予約の電話を入れると、「丁度ブドウの収穫真っ盛りなので、普段見れない光景も見学できますね!」と言われ楽しみにしていました。ただ、雨が降るという天気予報だったのでちょっと心配しましたが、最終的には雨も降らず気持ちの良い一日でした。

予定の時刻にワイナリーまで行くと、エノツーリズム(ワインツーリズム)担当のベゴーニャが迎えてくれました。彼女がバンでブドウ畑まで連れて行ってくれます。バンに乗り込むと、まず、名前の由来の説明がありました。「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」の「Gauda(ガウダ)」の意味には、二通りの説があるとのことで、一つ目は、守り人に対して与えたゴード人のことだという説と、二つ目は、ラテン語の意味である「Tierra de Alegría」、「歓喜の土地」という意味。この辺りは肥沃な土地で、今でも果物、野菜、花や鑑賞用の植物の栽培が盛んなところだそうです。作物に恵まれた「喜びの土地」、素敵な名前ですね。

車でしばらく行くと、両側にブドウ畑が広がってきました。早速、車を降りてベゴーニャの説明がありました。「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」では、垣根仕立て(スペイン語では”Espaldera”といいます)によるブドウの栽培が行われています。垣根仕立てによるメリットは、垂直に伸びていくので雨が降っても水はけがよく菌が発生しにくいということと、棚仕立て(”Parra”)のように陰を作らないので、全てのブドウの実に太陽の光が行き届いて実が完熟し、ムラのないブドウの実を収穫することができ、ワインを造る段階で高品質かつムラのない品質を保つことができること。デメリットとしては、棚仕立てに比べると、収穫量が40%ほど少ないということ。「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」では、プレミアムワインやウルトラプレミアムワインを主に生産することを目的としているため、この垣根仕立てによる高品質を追求したブドウの栽培が採用されている訳です。

垣根仕立て(”Espaldera”)のブドウ畑(写真:アルベルト・F・メダルデ撮影)

更に、車で移動しながらベゴーニャが「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」で栽培されているブドウの種類についても説明してくれました。ここでは、アルバリーニョ種(Albariño)、ロウレイラ種(Loureira)、カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)の3種類のブドウが栽培されています。原産地がここガリシア州で、ガリシア州白ワインの代名詞ともいえるアルバリーニョ種(Albariño)が一番多く栽培されていますが、「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」が特に力を入れて栽培数を増やしているのが、カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)。この品種は病気にかかりやすくデリケートな株で、アルバリーニョ種(Albariño)に比べても収穫量が少ないことを理由に、今から約20年前までは殆んどワイン用のブドウとしては使われていない廃れたブドウの種類だったとか。今では、「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」は、97%がこのカイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)である「La Mar(ラ・マール)」というワインを造っていて、カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)を主にしたワインはスペインでも唯一だそうです。ブドウを植えてから4~5年間は収穫せず、その後やっと収穫が始まりワインが造られるそうで、1株のブドウの木は、30~32年程を過ぎると新しいブドウの木に植え替えるという作業が続けられています。車からも2~3年前に植えたばかりというまだまだひ弱いブドウの木が見えました。

左側に見えるブドウの木はまだ植えて2~3年(写真:アルベルト・F・メダルデ撮影)
2021年8月に再度訪問した際、ブドウ園での試飲が楽しめる場所が新しく設置されていました!(写真:筆者撮影)

公務員からワイナリーのオーナーに

「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」は、会社名でもあり、会社を代表するワインの名前でもあります。この会社を約30年前に設立したホセ・マリア・フォンセカ氏は、もともとは日本でいう職業訓練校などで様々な講習などを企画するような仕事をされていた公務員だったそうです。仕事柄、地元の農家や企業等とも交流があり、ご本人がワイン好きということもあり、友人を募ってワイナリーを作ることにしたという、異色の人物。スペインでは、今も昔も安定している職業の一つである公務員は人気があり、公務員試験にパスするのもかなりの競争率をくぐり抜けなければならず、その公務員の仕事を捨てて未知の世界に飛び込むという勇気ある行動、そして現在、スペインの中で有名なワイナリーとして成功を修めているその経営力、自分達が求めるワインを追求し、質の高いワインを作り出しているその感性と情熱に、強い感銘を受け魅かれました。現在も、オーナーとして様々な企画を提案し、ご活躍中です。今回のワイナリー見学ではお会いする機会に恵まれませんでしたが、お父様の意思を受け継いでセールス部門で活躍されている息子さんのアントン・フォンセカ氏とはお話する機会がありました。アントン氏もワイン好き、料理好きで、和食も大好きだとか。今では、日本でも「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」のワインが販売されているので是非試してみてくださいね!

粒の揃ったブドウの実(写真:アルベルト・F・メダルデ撮影)

ブドウの収穫真っ盛り

さて、3種類のブドウを栽培するブドウ畑を見て回り、丁度、今年のブドウ収穫真っ盛りということもあり、ブドウの収穫をしている様子も見せていただきました。地元の学生や失業中の方なども含め200人の人たちが、会社が所有する160ヘクタールのブドウ畑のブドウ収穫に勤しんでいました。山を切り開いて作られているぶどう畑は急勾配(20%)で、収穫作業はかなりの重労働です。その斜面に広がるブドウを一つ一つ丁寧に手作業にて箱に入れる姿は印象的でした。箱には、ブドウを8㎏までしか入れず、ブドウの実が重みでつぶれないよう細心の注意をもって摘み取られていました。今年は、暑い日が多かったせいか、例年より早く熟しているので、私が訪れた9月18日は最終日だったようです。例年ならば、10月の頭まで終わらない収穫らしいので、かなり早い収穫です。オーナーの娘さんカルメンさんが、「今週は、天気予報では強風を伴う雨だったので心配していたけれど、何とかお天気にも恵まれ無事に全部を収穫できそうだ。雨に打たれず品質の良いワインが造れそうだ。」と、ほっとした表情で話してくれました。今年のワインが出来上がるのが楽しみです!クリスマスシーズンには、今年のワインがリリースされるので、今年は「テーラス・ガウダ(Terras Gauda )」の白ワインでクリスマス・ディナーを楽しめますね!

ブドウの房一つ一つを丁寧に収穫していく(写真:筆者撮影)

固有種カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)の復活と新しいワイン作りへの挑戦-研究開発(I+D)-

その後、再びバンに乗って出発地点まで戻りました。その間にも、ベゴーニャが説明をしてくれます。その中で特に印象深かったのが、カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)の話でした。前述したように、このカイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)はデリケートで収穫量が少ないという理由で、この地方固有のブドウでありながらも忘れられていた種類のブドウでした。ワイナリー設立者であるホセ・マリア・フォンセカ氏は、それぞれのその土地が持つ特異な気質を柱として育っていく固有種の復活、その固有種から作り出されるその土地のワイン、それも質の高いワイン造りを目標に掲げ、今から訳20年前から自社の畑にカイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)を栽培し続けています。

政府機関であるCSIC(Consejo Superior de Investigaciones Científicas「科学研究高等評議会」)と共同にて、I+D(Investigación y Desarrollo「研究開発」)の企画の一つとして研究を始めました。そして、長い研究開発の末、前述した「La Mar」というカイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)のワインを造りだしたのです。今では、「La Mar」は「Terras Gauda 」と並ぶ代表ワインとなっています。このI+D(Investigación y Desarrollo「研究開発」)は現在も様々な企画で行われており、ブドウの木の肥料について、ブドウ畑の土壌について等を、アルゼンチンのワイナリーと共同研究中とのことです。

ワイナリーの中を見学して驚くことは、34のタンクの説明です。これは、ガリシア地方固有のブドウそのものの素晴らしさを追求していくことを会社理念としていたホセ・マリア・フォンセカ氏の情熱が形となっているものです。ワイン造りを始めようと決心したホセ・マリア・フォンセカ氏は、まず研究のために試験場を作り、全ガリシア地方のから115のアルバリーニョ種(Albariño)の株を集め、その中から厳選して34株に絞り、それぞれの成長や品質に合わせてワインを造ってみました。その34株から造られたワインがこのタンクに入っているとのことです。現在ではこのワインのモデルは、I+D(Investigación y Desarrollo「研究開発」)に使用されているそうです。そして、最終的には、「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」の土壌に適した、「Terras Gauda (テーラス・ガウダ)」が求めるワインに理想的な5つの株を選び抜き、実際に栽培始めたとのことです。

研究用にガリシア地方全土から集められたブドウの木34株から造られたワインのタンク(写真:筆者撮影)

地道な努力、科学に裏打ちされた研究、そして決して消えることの無いワイン造り情熱がこのワイナリーのワインに凝縮されています。

収穫されてきたブドウは除梗破砕機(実と茎を分ける機械)へ。ワイナリー内ではブドウの香りが広がっています。(写真:アルベルト・F・メダルデ撮影)

試飲

いよいよ楽しみにしていた試飲です!ワイナリーの工場から出て、お店の横にテイスティング・スペースが設けられていました。

スペイン美人ベゴーニャ(写真:アルベルト・F・メダルデ撮影)

まずは、アルバリーニョ種(Albariño)100%のアバディア・デ・サン・カンピオ(Abadía de San Campio)。口に含むとフルーティで爽やかな甘みが広がってきました。次は、「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)」の顔とでもいうべきテーラス・ガウダ(Terras Gauda)。アルバリーニョ種(Albariño)70%、カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)22%、ロウレイラ種(Loureira)8%のこのワインは、アバディア・デ・サン・カンピオに比べると濃厚で複雑な味。柑橘系の香りがして、しっかりとした味わいがあります。次は、黒ラベルテーラス・ガウダ(Terras Gauda Etiqueta Negra)。テーラス・ガウダをフランス産オークの樽に5ヶ月寝かしている熟成ワインで、普通のテーラス・ガウダに比べると、こくがあります。一般的に白ワインは次の年の白ワインが出るまでに飲んでしまう方が良いと言われていますが、この黒ラベルテーラス・ガウダは15年位までなら寝かして飲んでも味に深みが加わり美味しく飲めるとのことでした。そして、最後にカイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)97%と残りの3%は、ロウレイラ種(Loureira)とアルバリーニョ種(Albariño)で造られているラ・マール(La Mar)。こちらのワインは、全く口当たりの異なるワインです。果物の柿やリーチを彷彿させる香りと、成熟感やコクも兼ね備えたこのワインは、1年程寝かせた後にリリースするとのこと。研究と情熱をもって造り上げた新しいテーラス・ガウダの代表ワインへと成長しています。

黒ラベル テーラス・ガウダ(Terras Gauda Etiqueta Negra) が寝かされているオーク樽(写真:筆者撮影)

試飲は、まずはワインのみでそれぞれを味わい、ベゴーニャとアントンの説明があり、その後、チーズとドライフルーツのおつまみが出てきて、おつまみを食べた後に再びワインを飲んでみました。不思議なことには、ワインのみで飲んだ時と、おつまみを食べた後に飲んだ時では、微妙に感じる味が変わったことです。個人的には、最初にワインのみを飲み比べたときは、テーラス・ガウダが一番気に入ったのですが、チーズと一緒に飲み始めると、ラ・マールもチーズとよく合い、甲乙付け難くなってしまいました。

白ワインだけではなく、個性的な新しいワインを求めて

最後に、ご子息のアントン・フォンセカ氏に今後の会社の抱負をお聞きしました。「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)グループ」として、白ワインだけではなく、スペイン中にある新しいブドウの原産地を開拓していき、高品質で個性的なワインを造っていくことだそうです。実際、ビエルソ地方のメンシア種(mencía)100%のピタクン・アウレア(Pittacum Aurea)という赤ワインや、有機栽培・自然栽培の一種であるバイオダイナミック農法によるブドウ栽培と持続可能な環境のパイオニアであるキンタ・サルドニア(Quinta Sardonia)というワイナリーや、スペインの赤ワインを代表するリオハ地方の赤ワインのエラクリオ・アルファロ(Heraclio Alfaro)という赤ワインも、この「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)グループ」が手掛けています。多様性とそれぞれの土地が持つ特異な気質を柱として、経験と知識を共有かつ利用しながら、個性的で高品質なワインを追求していく、それが、「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)グループ」の設立から変わらぬワイン造りに対する姿勢です。

笑顔が素敵なアントン・フォンセカ氏(写真:アルベルト・F・メダルデ撮影)

おすすめ!ワイナリー見学

ブドウ畑から収穫、ワイナリー内の見学、そしてそれぞれのワインの飲み比べなど、本当に楽しく充実したひと時を過ごせました。何気なく飲んでいたワインも、造り手の思いや情熱、そして研究・開発などを知ったうえでもう一度飲んでみると、そのワインに対する愛着がグッと湧き、一緒に飲むお友達にもそのワインの物語を話すことによって会話が盛り上がります。スペインにいらっしゃる際は、是非、ワイナリー見学をお薦めします!

また、テイスティング・スペースの隣にはお店もあり、お土産用のワインを購入できますよ。 「テーラス・ガウダ(Terras Gauda )グループ」では、ワインだけではなく、ハーブの蒸留酒やこの地方でとれる野菜や果物の保存食品(缶詰や瓶詰)も販売しています。日本への美味しいお土産がここで見つかるかもしれませんね

ここ「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)」では、幾つかのコースがありますが、おすすめのコースは、「Terras Gauda para 2(二人のためのテーラス・ガウダ)」です。このコースには、アルバリーニョ種(Albariño)100%のアバディア・デ・サン・カンピオ(Aabadía de San Campio)、テーラス・ガウダ(Terras Gauda)、カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)97%のラ・マール(La Mar)の3種類のワインを試飲できます。カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)の白ワインはここのワイナリーでしか造っていないので、カイーニョ・ブランコ種(Caiño Blanco)とアルバリーニョ種(Albariño)の味の違いを是非とも味わってほしいものです。

もしお子様連れの家族でワイナリー見学をされる方の場合は、お薦めコースは、「Plan familiar(ファミリー・プラン)」です。年齢別に2つのワークショップが用意されています。10歳までの子供たちには、創造的なワイン・ワールドを体験するワークショップ、11歳以上のの子供たちには、ストップ・モーション技法を使いワイナリーで見学したことをストーリーとして作成するワークショップがあります。きっと子供たちにとってもスペインのワイナリー見学は、忘れがたい旅の思い出になること間違いなしです。

大人も子供も楽しめる「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)」のワイナリー見学。是非スペイン旅行のコースに入れてみてはいかがでしょうか。

Terras Gauda (テーラス・ガウダ)が造っているワイン。左からアバディア・デ・サン・カンピオ、テーラス・ガウダ、黒ラベルテーラス・ガウダ、ラ・マール。(写真:アルベルト・F・メダルデ撮影)

参考

・「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)グループ」の公式サイト。個人でワイナリー見学を予約される方はこちらからどうぞ。:https://www.terrasgauda.com/ 

・残念ながら「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)」のワイナリーは紹介されていませんが、ガリシア州リアス・バイシャスのワイナリー見学ルートが紹介されています。スペイン観光公式サイト:https://www.spain.info/ja/waingaku/wain-ruto-riasu-baishasu/

・日本人向けにワイナリーツアーを企画している会社(スペインワインのプロフェッショナルである、バルセロナのOFFICE SATAKEと、バリャドリッドのBUDO YAを中心にスペイン各地のプロフェッショナルが、ワイナリーを本格的に案内)。「テーラス・ガウダ(Terras Gauda)」も訪問可能ですよ!:http://enoturismo.jp/?page_id=703

・ガリシア州公式観光サイト。ガリシア州の素晴らしい魅力を発見できるサイト。日本語版があるのも嬉しいですね!:https://www.turismo.gal/homu/kanko-hissu-supotto?langId=ja_JP

ちょっとスペイン語-4- (Hablar como una cotorra – ペチャクチャしゃべる)

ここでは、ちょっとしたスペイン語の言い回しや、ことわざ、話し言葉など、辞書には載っていない単語も含めて紹介していきます。スペイン語を勉強している方には言葉の幅が広がるお手伝いができればいいなと、スペイン語には興味ないという方には雑学として楽しんでいただければいいなと思っています。

Hablar como una cotorra – ペチャクチャしゃべる

鳥のインコのことをスペイン語では「cotorra」といいます。数多いインコが鳴いているのを聞いたことがありますか。かなりうるさく、耳障りな鳴き声です。このインコの鳴き声を聞いたことがある方なら、この表現がぴったりだということをお分かりになるでしょう。

La novia de Juan habla mucho. Cuando estoy con ellos, solo su novia habla como una cotorra, mientras Juan la escucha.

フアンの彼女はおしゃべりだね。二人と一緒の時はいっつも、フアンが聞き役で、彼女が一人でペチャクチャしゃべっているよ

この表現には、単なるおしゃべりだけではなく、聞いている方はうんざりというニュアンスがある場合もありますので、ご注意を。

最近は、マドリードの街中の公園などでも飼われていたインコが逃げ出して繁殖したのか、このインコ達が沢山いますので、耳を傾けてインコの鳴き声を聞いてみてくださいね。

マドリード観光-カルロス3世なしにはマドリードは語れない!

スペインの首都マドリッド。欧州の首都にふさわしく堂々たる建物や大きな通りがあり、ぶらぶら散歩するだけでも楽しい街。美術館あり、噴水あり、並木道あり、カフェテリアあり、エンブレム的な建物ありと、マドリッドの街の風景はとても魅力的です。18世紀のスペイン王カルロス3世は、「マドリッド最良の市長」(El mejor alcalde de Madrid)と言われています。それは、現在のマドリッドの街の風景を彼がつくったからです。

1750年 アルカラ通りから見たマドリード / Wikipedia Public Domain

カルロス3世、ナポリからマドリードへ

カルロス3世は、1716年1月20日スペイン国王フェリッペ5世の三男としてマドリードで生まれました。その後しばらくスペイン南部の街セビリアに暮らしていた時期もありましたが、15歳の時スペインを去ってナポリ王となり、その後シチリア王として24年間シチリアを統治していました。三男という立場から、スペイン国王としては生まれなかったカルロス3世は、シチリア王としてイタリアに生涯暮らすつもりでいたようです。

ところが、子がないまま二人の兄達が死に、思いがけずスペイン国王になることに。本人は、スペイン国王になる気はさらさらなかったようで、病床に付す兄の回復を毎日祈っていたとか。そんなカルロス3世の祈りも神には届かず、1759年12月9日にスペイン国王としてマドリードに戻ることになります。

カルロス3世、マドリードの街を見て嘆く

カルロス3世はマドリードに着いたとき、マドリードの街のあまりの汚さ、不衛生で美しさのない街並みを見て嘆いたと言われています。

その頃のマドリードの街には下水の処理システムなどなく、マドリード市民は各家庭で出る汚水(尿から便に至るまで)をバケツに溜め、家の窓から汚物を投げ捨てる(!!!)習慣がありました。今では考えられないことですが、頭の上から汚物が降ってきたり、歩く道には汚物が悪臭を伴いそこかしこにまかれていて、のんびり通りを歩くこともできないような状況でした。汚物を窓から捨てるときは、「水がいくよ!」「あぶないよ!」という意味で 「¡Agua Va! (アグア・バ!)」と注意を促していたとか。この習慣から、「予告なしに突然」「出し抜けに」などという意味で使われる「Sin decir agua va 」という表現も生まれました。

また、家畜なども我が物顔に通りを歩いていたらしく、彼らもまた所構わず用を足していたので、その当時イタリアからきた旅人たちによる、「なんて臭くて汚い街だ!」という文書が残されているくらいです。

マドリードの街のあまりの悲惨な状態を嘆いたカルロス3世は、マドリードをヨーロッパの首都にふさわしい美しく近代的かつ衛生的な街に整備するため様々な法律や建築計画等を打ち出していきます。

カルロス3世、マドリード大改造

フランチェスコ・サバティーニ / Wikipedia Public Domain

早速、シシリアからフランチェスコ・サバティーニという建築家を呼び寄せ、下水道網の敷設に取り掛かります。また、新しく敷石を敷き、通りの清掃についての計画を次々に実行していきます。その内容は、馬車道には敷石を敷き、歩道を舗装し、家庭から出る汚水は腐敗槽や汚水溜めに誘導し、ごみ収集を行うという画期的な内容でした。これによって、窓から汚水を投げ捨てることも禁じられ、マドリードの街から「アグア・バ!(¡Agua va!)」の声が聞こえなくなりました。ちなみに、この腐敗槽や汚水溜めの汚物は、夜のうちに街の外に運ばれていました。

数年後には、マドリード市民に、自分の家の前の道を朝一番に清掃することや5月から10月までは打ち水をすることを義務付ける命令まで出すという徹底したものでした。また、街の中を勝手に歩き回っていた家畜たちも取り締まりの対象になりました。

その他、カルロス3世は、マドリードの夜の街に街灯をともしました。その数4000本以上あったというから驚きです。また、通りを広くし、広場や噴水などを作り、マドリードの市民が気持ち良く散歩できる環境を作っていきました。通りの代表的なものには、プラド通り (Paseo del Prado)デリシアス通り (Paseo de Delicias)カステジャーナ通り (Paseo de la Castellana) があります。さらに、墓地を街の外れに作ったり、通りや広場に木や植物を大量に植えたりしました。

18世紀のヨーロッパは、聖書や神学など今までの権威から離れて、理性による知によって世界を把握しようとする啓蒙思想が主流となっていた啓蒙時代でした。この啓蒙思想の波はスペインにも押し寄せていて、カルロス3世もこれに従い、歴史学院(Academia de Historia)、言語学院(Academia de Lengua)、法学院(Academia de la Jurispurdencia)、芸術学院(Academia de Bellas Artes)等を次々に開設します。

マドリードにあるカルロス3世ゆかりの建物や通り

カルロス3世が造ったプラド通り (Paseo del Prado) は、マドリードを訪れたら絶対に外せない観光ルートの一つです。この通りは幅広く、並木道で、夏の日差しが強いマドリードでも気持ちよく散歩できる絶好の通りです。そして、マドリード観光お目当てのプラド美術館やティッセン・ボルネミッサ美術館もこのプラド通りにあります

プラド通り (Paseo del Prado) / 筆者撮影

このプラド通りには、カルロス3世が手掛けた建物があります。まず代表的なものは、プラド美術館 (Museo del Prado) です。本来は、自然科学博物館としてカルロス3世が建築家フアン・デ・ビジャヌエバに造らせたものです。そのため、同時に自然科学博物館の隣にマドリード王立植物園 (Real Jardín Botánico) も造らせました。

更に、このプラド通りが始まる場所にシベーレスの噴水 (Fuente de Cibeles) があり、通りを歩いていく途中にアポロの噴水 (Fuente de Apolo) または四季の噴水 (Fuente de las Cuatro Estaciones) があります。ちなみに、シベーレスの噴水があるシベーレス広場は、スペインサッカーチームのレアル・マドリードが勝利した際にパレードが行われる場所で有名です。スペインサッカーファンには見逃せない場所でしょう。さらに歩いていくとホテルリッツ前にネプチューンの噴水 (Fuente de Nepturno) があります。これらの噴水もカルロス3世が造らせたものです。カルロス3世がマドリードの街を美しく、魅力的で、マドリード市民だけではなくマドリード以外から訪れる人たちをも魅了する街にしようという心意気が伝わってくるのが、このプラド通りといえるでしょう。

Archivo:Cibeles con Palacio de Linares closeup.jpg
シベーレスの噴水 (Fuente de Cibeles) / Wikipedia Public Domain

また、マドリードの代名詞ともいえるソル広場 (Puerta del Sol) にもカルロス3世が造ったエンブレム的建物があります。それは、ソル広場の中では最も古い建物で時計台がある王立郵便局 (Real Casa de Correos) です。毎年、大晦日の夜、多くの市民がこの時計台の前に集まります。というのも、年が替わる12時の鐘の音に合わせて、ブドウを12個食べるためです。もし、鐘の音が終わるまでに12個のブドウを食べてしまったら、新年は良い年になるといわれています。もし大晦日の日にマドリードに滞在する機会があれば、あなたも是非12個のブドウ持参で王立郵便局前でスペイン式に新年をお祝いしてみてはいかがでしょうか。きっと忘れられない一生の楽しい思い出になること間違いなしです!

王立郵便局 (Real Casa de Correos) / 大晦日の夜には、12個のブドウ持参の人たちで賑わう / 筆者撮影

その他にカルロス3世の建造物としては、アルカラの門 (Puerta de Alcalá)サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂 (La iglesia de San Antonio de la Florida)カバジェロ・デ・グラシア王立礼拝堂 (Real Oratorio de Caballero de Gracia) などが挙げられます。サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂 は、通称ゴヤのパンテオン (Panteón de Goya) と呼ばれ、スペインの偉大なる宮廷画家ゴヤはこの教会に眠っています。この教会にある天井のフレスコ画「聖アントニオの奇跡」はほかでもないゴヤの作品で、一見の価値がありお薦めです。

サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂 (La iglesia de San Antonio de la Florida) / ゴヤが描いた天井のフレスコ画「聖アントニオの奇跡」/ Wikipedia Public Domain

サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ礼拝堂についてはこちらもどうぞ。

マドリード市民の反応

さて、1760年から精力的にマドリードの改造を推し進めてきたカルロス3世ですが、改造当初はマドリード市民にはあまり受けが良くなかったとのこと。自宅前の道の清掃や打ち水の義務まで課せられた市民は、しぶしぶ実行していたのでしょう。そのことを側近が報告すると、カルロス3世は「わが市民は、体を洗うと泣く子供のようだな。( Mis vasallos son como los niños: lloran cuando se les lava.)」と答えたといいます。言い得て妙とはこのことですね。

この時代、カフェテリアや劇場が現れ、闘牛、ダンス、コンサート等、マドリード庶民の新しい楽しみや習慣が生まれていきましたが、それも皆カルロス3世のお陰です。マドリード市民は、プラド通りなどを散歩し、カフェテリアに入ってその頃人気だった飲むチョコレートとスポンジケーキ(bizcocho)を楽しんだのです。日本の庶民が楽しんだ江戸文化に近いものがあったかもしれません。

そしてついには、1797年にマドリードにやってきたフランス外交官に、「ヨーロッパの中で最も清潔な街の一つだ」と言わしめるほど、カルロス3世が改造したマドリードは、衛生的かつ近代的な街へと変貌を遂げ、21世紀の現在でも魅力的な街となりました

カルロス3世に会いに行こう!

プエルタ・デル・ソル広場 (Puerta del Sol) にある騎馬像は18世紀のスペイン王カルロス3世です。1994年、マドリードの都市改造、近代化を行った「マドリッド最良の市長」(El mejor alcalde de Madrid)」であるカルロス3世の偉業を讃えこの騎馬像が建てられました。カルロス3世は、スペイン国の王であり「市長」ではなかったのですが、、、。300年経った現在、カルロス3世はマドリード市民、ひいてはスペイン人から最も好意を持たれている王の一人です。

狩猟をこよなく愛していたというカルロス3世。別名「狩猟家 (El Cazador)」とも呼ばれています。馬にまたがる姿は一番彼らしい姿かもしれません。プラド美術館には、ゴヤが描いた「カルロス3世、狩猟家 (Carlos III, Cazador)」という作品があります。残念ながら馬上姿ではありませんが。

ゴヤ 「カルロス3世、狩猟家」/ プラド美術館

また、チョコレートが大好きだったようで、毎日同じカップに入れて飲んでいたとか。

カルロス3世が造ったプラド通りを散歩し、プラド美術館や様々な建造物、威厳のある噴水などを鑑賞したら、カフェテリアに入って彼の時代に流行っていた、そして今も多くのスペイン人が大好きな、飲むチョコレートとスポンジケーキ(bizcocho)を楽しんで18世紀のカルロス3世時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。300年以上経った今も、カルロス3世が望んだ美しく、近代的で魅力的なマドリードをあなたも実際に堪能してみてください。

マドリード 情報

・マドリードの観光ガイドはこちらにお任せ!

  -マドリード観光オフィシャルサイト(日本語)   https://www.esmadrid.com/ja

・上記サイトの中にお得なマドリードの美術館、博物館カード情報があります。ちなみに、「美術館通りカード (Abono Paseo del Arte)」は、人気のプラド美術館・ティッセン・ボルネミッサ美術館・ソフィア王妃美術館の3つの美術館が対象のお得なパス。30,40ユーロで通常よリ20%お得ですよ。「国立美術館・博物館年間カード (Tarjeta anual de Museos Estatales」は、かなりお得な36,06ユーロ。「国立考古学博物館 (Museo Arqueológico Nacional)」、「ソロージャ美術館 (Museo Sorolla)」等多くの美術館・博物館が含まれている欲張りなカードです。ただ、ティッセン・ボルネミッサ美術館は含まれていないのでご注意を!

  -マドリード観光オフィシャルサイト(日本語)/観光カード     https://www.esmadrid.com/ja/kanko-card

・マドリードの歴史に興味がある方は、是非「マドリード歴史博物館」へ!サーモンピンクの建物で、バロック様式のファサードも一見の価値ありです。

-マドリード歴史博物館 (Museo de Historia de Madrid) 住所:フエンカラル通り 78番 マドリード (C/ Fuencarral, 78 Madrid) 最寄りのメトロ:トリブナル (Tribunal 1号線 水色ライン、10号線 紺色ライン) 電話番号:91-701 18 63  Fax:91-701 16 86  開館時間:火~土 10:00~20:00 / 日・祝 10:00~20:00 *月曜日・1月1日・5月1日・12月25日は休館  入場料:無料

スペインでバードウォッチング-サラマンカ・トルメス川沿い

コロナウイルス危機により、スペインではいまだに警戒事態が続いていて、6月21日以降にやっと警戒事態宣言終了となる予定です。スペインの警戒事態宣言は罰金を伴った外出禁止令が出され、日本の非常事態宣言に比べるととても厳しいもの。必需品の買い物、許可された職場や病院等へ行く以外では全く外出ができない時期が約50日間も!その間、車も人も全く姿を消した街の中では、鳥たちのさえずりの声がひときわよく聞こえ、こんなにも鳥がこの町には居たのか!と今更ながらの驚きの発見でした。鳥たちのさえずりは、家から出れない不自由な身を辛く感じ、自由な身の鳥たちを心底羨ましく思うと同時に、心を癒してくれるものでもありました。そして、外に出れないながらも鳥たちのさえずりの声によって春の訪れを感じることができた初めての経験でもありました。

2020年6月17日現在も、感染者数が多く死亡者も多かったマドリッドに近いサラマンカは県外への移動は禁止されています。そういう状況なので、今回は我が家から歩いて15分位にあるトルメス川沿いへ、家の中から声だけ聴いていた鳥たちを探しにバードウォッチングに行ってきました。

夕方6時くらいから1時間半くらいゆっくり歩いて、川沿いや遊歩道沿いの鳥たちを楽しめました。久しぶりに鮮やかな青色が美しいカワセミに出会ったり、本来ならばスペインでは見られないワカケホンセイインコも見ました。家で観賞用に飼っていたインコが逃げたか、逃がされたのか、どちらにしても今やすっかり野生化してかなりの数のワカケホンセイインコが、トルメス川沿いにコロニーを作り居ついています。鳴き声がかなりうるさいくらいです。散歩道の真ん中にズアオアトリが降りてきて、自転車に乗った若者が通るまでじっくり観察できました。日本では見られない鳥で、名前の通り頭が青く体は茶色のかわいらしい姿に魅せられました。

今日会った鳥たちは次の通りです。

・カワセミ(学名:Alcedo atthis / 西:Martín Pescador)

・モリバト(学名:Columba palumbus / 西:Paloma Torcaz)

モリバト(学名:Columba palumbus / 西:Paloma Torcaz)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ツバメ(学名:Hirundo rustica / 西:Golondrina común)

ツバメ(学名:Hirundo rustica / 西:Golondrina común)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ニシイワツバメ(学名:Delichon urbicum / 西:Avión común)

ニシイワツバメ(学名:Delichon urbicum / 西:Avión común)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ヨーロッパアマツバメ(学名:Apus apus / 西:Vencejo común)

・ズアオアトリ(学名:Fringilla coelebs / 西:Pinzón)

ズアオアトリ(学名:Fringilla coelebs / 西:Pinzón)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・エナガ(学名: Aegithalos caudatus / 西:Mito)

エナガ(学名: Aegithalos caudatus / 西:Mito)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・アオガラ(学名: Cyanistes caeruleus / 西:Herrerillo común)

アオガラ(学名: Cyanistes caeruleus / 西:Herrerillo común)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ヒガラ(学名:Periparus ater / 西:Carbonero Garrapinos)

ヒガラ(学名:Periparus ater / 西:Carbonero Garrapinos)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・クロジョウビタキ(学名:Phoenicurus ochruros / 西:Colirrojo Tizón)

クロジョウビタキ(学名:Phoenicurus ochruros / 西:Colirrojo Tizón)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・クロウタドリ(学名: Turdus merula / 西:Mirlo)

クロウタドリ(学名:Turdus merula / 西:Mirlo)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・マガモ(学名: Anas platyrhynchos / 西:Ánade Azulón)

マガモ(学名: Anas platyrhynchos / 西:Ánade Azulón)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ワカケホンセイインコ(学名: Psittacula krameri / 西:Cotorra de Kramer)

ワカケホンセイインコ(学名: Psittacula krameri / 西:Cotorra de Kramer)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・イエスズメ(学名:Passer domesticus / 西:Gorrión común)

イエスズメ-雌(学名:Passer domesticus / 西:Gorrión Común)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・トビ(学名: Milvus migrans / 西:Milano negro)

トビ(学名: Milvus migrans / 西:Milano negro)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ゴシキヒワ(学名:  Carduelis carduelis / 西:Jilguero)

ゴシキヒワ(学名:  Carduelis carduelis / 西:Jilguero)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・ズグロムシクイ(学名:  Sylvia atricapilla / 西:Curruca capirotada)

ズグロムシクイ(学名:  Sylvia atricapilla / 西:Curruca capirotada)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

・カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)

カササギ(学名:Pica pica / 西:Urraca)/ 写真 アルベルト・F・メダルデ

コロナウイルスのせいでなかなか遠出もできない状況ですが、歩いていける近所でも色んな鳥たちに会えるかもしれませんよ。是非、双眼鏡持参で近場のバードウォッチングを楽しんでくださいね。

圧巻!スペインのアマポーラ畑-アマポーラの海

5月も終わり6月も半ばです。2020年の約半分が過ぎていこうとしています。世界中で感染が広がった新型肺炎コロナウイルスに翻弄された2020年前半、後半は「新しい生活様式(スペインでは”Nueva normaldad”です)」と呼ばれる窮屈な生活、「古い生活様式」(Vieja normalidad)が恋しくなる生活が始まることになりそうです。特効薬やワクチンがない以上、まだまだ気を抜かず手洗い励行、距離を置く、なるべく家に居る、というような感染対策が続きます。

さて、去年のブログにも5月はアマポーラの季節だと書きましたが、今年は4月に雨が多く、更に丁度外出禁止令が出ていて踏み荒らされることもなく、各地で素晴らしいアマポーラ畑が広がっています。今日は、友人から送られてきたカスティーリャ・イ・レオン州、サモーラの街のアマポーラ畑の写真を紹介します。

真っ赤な絨毯を敷き詰めたような美しさで、深い赤と石造りの建物がマッチしています。高さは約1メートルほどにもなり、まるでアマポーラの海のよう。

今年のアマポーラの季節はそろそろ終わりを迎えます。コロナウイルスも終わりを迎え、来年にはここスペインの美しいアマポーラ畑を見に来ていただきたいなと心から願っています。

ちょっとスペイン語 -3- (Enero nevado, ferbrero alocado, marzo ventoso, abril lluvioso, traen a mayo florido y hermoso ー 1月雪降り、2月は気まぐれ、3月風吹きゃ、4月にゃ雨降る、そうすりゃ花咲き きれいな5月)

ここでは、ちょっとしたスペイン語の言い回しや、ことわざ、話し言葉など、辞書には載っていない単語も含めて紹介していきます。スペイン語を勉強している方には言葉の幅が広がるお手伝いができればいいなと、スペイン語には興味ないという方には雑学として楽しんでいただければいいなと思っています。

Enero nevado, ferbrero alocado, marzo ventoso, abril lluvioso, traen a mayo florido y hermoso ー 1月雪降り、2月は気まぐれ、3月風吹きゃ、4月にゃ雨降る、そうすりゃ花咲き きれいな5月                         (筆者訳)

もうすぐ5月も終わりです。ここカスティーリャ・イ・レオン州の今年の5月は、例年より更に美しい5月となりました。

この諺はスペインのカスティーリャ・イ・レオン州でよく知られているものです。人や場所によっては、「Enero nevado 」を「Enero helado(1月霜降り)」、「Febrero alocado」を「Febrero revuelto(2月は気まぐれ)」、「Marzo ventoso」を「Marzo airoso(3月風吹く)」等、別の言い方で表すこともあります。また、1月と2月を外して単に、「Marzo ventoso, abril lluvioso, trae a mayo florido y hermoso」ということも多いですね。

「nevado」は「雪に覆われた」という意味。「alocado」は、「loco」から派生した単語で、「気が変になったような、思慮(分別)のない」という意味です。「ventoso」は「風の強い」、「lluvioso」は「雨の多い」という意味。そして、「traer」は「連れてくる、もたらす」という意味で、「florido」は「花の咲いている」、「hermoso」は「美しい」という意味です。

本当に、昔の人たちはよく言ったものだと思います。振り返ってみると、1月は地球温暖化の影響のためか暖冬、更に2月は記録的な暖冬でまるで5月くらいの気候となり、半袖で過ごす人も多かったほどです。でも、3月はこの諺のように風の強い日が多く、4月はまるで日本の梅雨かと思うほど雨の毎日でした。そして5月に入ると雨は止み、一気に気温も30℃まで上がり、この諺の通り花いっぱいのきれいな5月がやってきました。生活体験に基づく、昔から言い伝えられてきた諺の魅力を実感しています。

スペインのイースターのお菓子「トリハス(Torrijas)」

スペインのイースターでは欠かせない揚げ菓子「トリハス(Torrijas)」

先週は、イースター(聖週間)に当たりました。イースター(聖週間)にはスペイン中でこの「トリハス(Torrijas)」を食べます。特に今年のセマナ・サンタ(Semana Santa-スペイン語でいう聖週間です)は、新型肺炎コロナウイルスが猛威を振るっているスペインでは外出禁止令の真っ最中。いつもだったら旅行に出かけたり、里帰りしている人達も、皆大人しく自宅で監禁状態です。普段は忙しくてゆっくり料理する時間がない人も今は時間に余裕があるので、「トリハス(Torrijas)」でも作ろう!と張り切っていました。まるで、スペイン中がマスターシェフになった感じです。

今日は、我が家の「トリハス(Torrijas)」のレシピを公開します。

トリハス(Torrijas)

材料:4人分

(漬け汁A)

A. 牛乳                        1/2L

A. 卵                         1個

A. 砂糖                        大さじ4杯

A. シナモン                      大さじ1杯

・厚切りフランスパン                 8切れ

・オリーブオイル                   100㎖

・シナモンシュガー (砂糖とシナモンを混ぜたもの)  適宜

作り方

(前日)1.漬け汁用の材料 A 全部をハンドミキサーにかけてよく混ぜ合わせる。

    2.厚切りフランスパンを容器に並べ、1 の漬け汁 A を上からまんべんなくかけて、パンに十分漬け汁がしみこむように一晩冷蔵庫に入れておく。 

漬け汁をよーく染み込ませて!

(当日)1.フライパンにオリーブオイルを入れて、漬け汁を吸い切ったフランスパンをきつね色になるまで揚げる。

    2.揚げたら、シナモンシュガーをかける。

砂糖とシナモンでシナモンシュガーを作ります

一見、フレンチトーストのようですが、漬け汁をたっぷり吸いこんでいるので、外側はカリッとして、口の中に入れるとトロッと柔らかい、とても美味しいお菓子です。パン、牛乳、卵が入り栄養満点!子供やお年寄りの方にもおすすめの「トリハス(Torrijas)」、どうぞ作ってみてください。

表面はサクッと、そして中身はトロッと!

ちょっとスペイン語 -2- (Confinamiento – 監禁、拘禁、幽閉)

ここでは、ちょっとしたスペイン語の言い回しや、ことわざ、話し言葉など、辞書には載っていない単語も含めて紹介していきます。スペイン語を勉強している方には言葉の幅が広がるお手伝いができればいいなと、スペイン語には興味ないという方には雑学として楽しんでいただければいいなと思っています。

Confinamiento – 監禁、拘禁、幽閉

4月に入りました。ここスペインでは新型肺炎コロナウイルスによる出禁止令が出て4週間目になります。この罰則を設けた外出禁止令は、都市封鎖(ロックダウン)により新たな感染者を抑え込もうというもの。丸3週間を超え、やっと死亡者の数も新しい感染者の数も減少傾向になってきました。

さて、この外出禁止令により都市封鎖が実施され、スペイン中の国民が自宅に閉じこもることを余儀なくされましたが、スペイン語では Confinamiento (コンフィナミエント)といい、辞書を見てみると「監禁、拘禁、幽閉」という何ともまるで犯罪者にでもなったような気にさせられる訳が出てきました。動詞は Confinar (コンフィナール)。これは他動詞で、「閉じ込める、監禁する」という意味

Ya estamos confinados más de 3 semanas. Pero el Gobierno quiere alargar 2 semanas del confinamiento. ¡Ojala que termine cuanto antes!

家から出れなくなってもう3週間以上経つよ。でも政府はさらに2週間延ばす気だって。あー、一刻も早く終わってほしいよ!

本当に心から一刻も早くこの”幽閉、監禁”状況から脱出し、自由に街中を闊歩できる日が待ち遠しい毎日です。そして、スペインの人たちの気さくな両頬に軽くキスする挨拶や、ハグできる日が一日でも早く訪れることを願わずにはいられません。