スペインの春を呼ぶ花アーモンド

パッと見は桜と見間違う

今年のスペインは記録的な暖冬で、ここサラマンカではしばらく20度近い気温が続いていました。その暖かな気候に誘われて、一気にアーモンドの花があちこちで咲き誇っています。

20年以上前に初めてここスペインにやってきて、サラマンカでスペイン語を勉強し始めたのも丁度2月の寒い時期でした。あの頃は、もっと寒くてかなり雪が降ったりして、もっと温暖なスペインの冬を想像していた私は、あまりの寒さに毎日震えていたのを思い出します。そして、3月に入りサラマンカからちょっと田舎に足を延ばしたら、なだらかな丘に桜の花が咲いているのが見え、「えー!サラマンカでも桜が咲くんだ!でもまだ3月の頭なのに、まだまだ寒いのに・・・?」と不思議に思い友人のスペイン人に尋ねると、「あれはアーモンドの花だよ。」と教えてくれました。「へー、アーモンドの花って桜の花そっくり!」と驚いたことを今も鮮明に覚えています。

アーモンドの花と桜の花の見分け方

アーモンドの花と桜の花がよく似ているのもそのはず。アーモンドは、バラ科さくら属の落葉樹です。桜とは従妹同士のようなもの。似ているはずです。我が家のお向いさんの庭にも立派なアーモンドの木があり、花を楽しんだ後はアーモンドの実も楽しめる、”花も団子も楽しめる”楽しみの多い木です。アーモンドの花は、桜と同じように花弁が5枚あり、花弁の先が少し割れています。色も白っぽいものからピンクのものまでありますが、我が家付近のアーモンドの花は、日本の桜の花より薄いピンク色のものが多いようです。本当に、パッと見ただけまたは遠目に見ただけではアーモンドと桜の花の違いを見分けるのは難しいでしょう。では、どうやって見分けたらよいのでしょうか。桜の花はご存知の通り、枝から花柄(かへい)が出てその先に花が咲きます。しかし、アーモンドには花柄がないか極端に短く、枝から直接花が咲いています。一般的に、アーモンドのほうが桜より1か月以上前に花が咲き始めるので、今の時期に桜そっくりの花をスペインで見かけたら、アーモンドの花に間違いないです。

花弁がなく直接枝に花が咲いている

アーモンド栽培

アーモンドの木がスペインで栽培されるようになったのは、なんと2000年以上も前から。東から交易などできた人-フェニキア人-によって、中央アジア原産のアーモンドがペルシャやメソポタミアを通って西の果てスペインまでもたらされたらしい。その後は、ローマ人がさらに広めていったとのこと。

2018年のデータでは、スペインは米国に次ぐ世界第2位のアーモンド生産国です。それだけに、もしこのアーモンドの花の時期にスペインを訪れる機会がある方は、きっと色んな所でこの桜によく似たアーモンドの花を見ることができますよ。

色々なアーモンド製品

お菓子に飲み物、肌のクリームなど、スペインでは色んなアーモンド製品を見ることができます。クリスマスの時期に必ずスペイン中の家庭で食べられるお菓子トゥロン(Turrón)。アーモンドの実から作るこのトゥロンは、アーモンドの実が丸ごとたっぷり入っているハードタイプと、アーモンドの実をすりつぶしてペースト状にし、油を加えて柔らかでかつチョット粘り気のあるソフトタイプの2種類があります。個人的には、ハードタイプのものが大好きですね。他には、やはりクリスマスによく食べられるマジパン(Mazapan)。巡礼の街サンティアゴ・デ・コンポステーラのお菓子タルタ・デ・サンティアゴ(Tarta de Santiago)は、アーモンドを粉状にしたアーモンド・プードルで作られていて、しっとりとした口触りが何とも言えず美味!是非、サンティアゴ・デ・コンポステーラに行く方は試食していただきたいお薦めのお菓子です。日持ちも良いので、お土産にも喜ばれますよ。

飲み物では、アーモンドのオルチャータ(Horchata de almendra)と呼ばれるアイスドリンクも夏場にはお薦め。また、アーモンドオイルもシャワー後に全身に塗ると保湿効果抜群、低刺激なので赤ちゃんに塗っている人も多いですね。日本ではあまり見られないかもしれませんが、アーモンドオイル入りのシャンプーなども多いです。アーモンドオイル物をお土産にするのもいいかもしれません。

チョコレートのトゥロン、丸ごとアーモンドが使われています

美術におけるアーモンド

キリスト教の国スペインを旅していると、度々Mandorla(マンドルラ)と呼ばれるアーモンド形の光輪を見ます。もともとイタリア語でアーモンドという意味だとか。ロマネスク様式やビザンチン様式の美術品によくみられ、特に復活したキリストを表現する際にこのマンドルラが使われています。また、聖母マリアや聖人にも使われています。下の写真でも、アーモンド形のマンドルラの中にキリストが座っています。このような彫刻、絵画はロマネスク様式が多く存在するスペイン北部ではよくみられるので、注意して見てくださいね。

モアルべス・デ・オヘダの聖ヨハネ教会(パレンシア県)

アーモンドのお花見

至る所にアーモンドの木があり、花真っ盛り(ラ・フラヘネーダ(La Frageneda)

ここサラマンカ県にあるラ・フラヘネーダ(La Frageneda)という村には村の人口の何倍ものアーモンドの木が栽培されています。ポルトガルとの国境をなすドゥエロ川とアゲダ川の合流点にあるこの村は、2月末から3月頭はアーモンドの花盛りです。アーモンドのお花見に行くにはもってこい。お弁当ならぬスペインのボカディージョ(フランスパンで作ったスペイン式サンドイッチ)を持って、是非ラ・フラヘネーダ(La Frageneda)までお花見をしにぶらぶら散策しませんか。きっと、お決まりの観光コースだけでは味わえない、ディープな旅が楽しめること間違いなしです!