ちょっとスペイン語 -38-  (Hasta cuarenta de mayo no te quites el sayo-5月40日まではコートを脱ぐな)

ここでは、ちょっとしたスペイン語の言い回しや、ことわざ、話し言葉など、辞書には載っていない単語も含めて紹介していきます。スペイン語を勉強している方には言葉の幅が広がるお手伝いができればいいなと、スペイン語には興味ないという方には雑学として楽しんでいただければいいなと思っています。

近くを歩いていると道端にこんな可憐な花が咲いていました(写真: 筆者撮影)

5月も後半となり、もうすぐ6月になろうとしています。

今年のサラマンカは、例年になく2月頃からずっと雨の多い天気が続いてきました。通常、スペインは秋と4月に雨が多く降ります。ところが、今年に入って2月頃から雨が多いなと思っているうちに、3月に入ると本格的に雨が降り出し、まるで日本の梅雨のようでした。4月は通常通り雨が多い1ヵ月でしたが、5月に入っても一向に雨が止む気配がなく中旬辺りまでずっと雨の毎日。流石に皆、長雨にはうんざりさせられ、「鱗が生えそうだよ!」とか「今年のイースターの山車はゴンドラ式にしないといけないね!」等ど色んなジョークが飛び交っていました。(笑) 

さて、雨が多かったのは普通ではなかったのですが、スペインは結構朝晩の気温差が激しい国です。お昼に25℃を超す日でも朝晩は5℃程というのは普通です。スペインの人は、この時期はまるで玉ねぎのように重ね着をして温度調節をし、体調管理に気を付けています。

この時期にテレビの天気予報等でよく聞くことわざがあります。このことわざを今日は紹介します。

Hasta cuarenta de mayo no te quites el sayo-5月40日まではコートを脱ぐな

直訳を挙げていますが、「6月上旬までは寒い日もあるので、暖かくして過ごすことをおすすめする、寒さのぶり返しに気を付けて」、という意味を含んでいます。

Mañana va a hacer calor. Dicen que sube la temperatura hasta los 30 grados de máximo.

明日は暑くなるってよ。最高気温は30℃まで上がるって言ってた。

¿De verdad? Entonces, ya voy a guardar la ropa de invierno.

本当⁈ じゃ、冬服はもう片付けてしまおう。

Espera una semana más. Ya sabes aquí “Hasta cuarenta de mayo no te quites el sayo“, puede que vuelve el frio de nuevo.

あと1週間位待ったほうがいいよ。スペインでは「5月40日まではコートを脱ぐな」って言って、寒さがぶり返すかもしれないから。

¡Es verdad! La guardaré después de cuarenta de mayo.

そうだね!じゃ、5月40日になってから片付けるよ。

今日は5月28日。サラマンカは、先週まで朝晩10℃以下で肌寒い毎日でしたが、今日は最低気温15℃、最高気温は32℃まで上がるようです。本当に、寒暖差が激しく体調管理が大変です。どうぞ皆様もお体に気を付けて下さいね。

新ローマ教皇選出!カトリックの国スペインの反応は⁈

第267代ローマ教皇レオ14世

去る5月8日に、キリスト教カトリック教会の新しいトップがコンクラーベ(Cónclave)によって選出され第267代のローマ教皇となりました。初めてのアメリカ合衆国出身の教皇で、ペルーの国籍も持っているとのこと。司教になる前から宣教師として長年ペルーで活動したため、南米の信者たちからも慕われているようです。実際、スペイン語でのスピーチで、長年寄り添ってきたペルーのチクラヨの人達へのメッセージもありました。

スペインでの反応

スペインでは、新教皇が選出されるとすぐニュースとなり、アメリカ合衆国出身でレオ14世の親がスペイン系にルーツを持っているということも強調されていました。

5月8日のスペインの新聞「ABC」では、「ロベール・プレヴォスト氏とはどんな人物か。スペインとの関係、両親と年齢(Quién es Robert Prevost, el nuevo Papa León XIV: su relación con España, sus padres y su edad)(筆者訳)」という見出しで、レオ14世の母方の祖先がスペイン人だったと記載されていました。(参照: https://www.abc.es/sociedad/robert-prevost-misionero-chicago-opciones-elegido-papa-20250508111416-nt.html?ref=https%3A%2F%2Fwww.google.com%2F

教皇制は、キリスト教の勃興と共に誕生し、様々な局面を迎えながらも2000年以上にも亘り存在し続けているヨーロッパで最も古い制度で、世界でも最も古い制度の一つです。世界中の隅々にまで教会があり、その信者数たるや13億人を数えるので、中国やインドの人口がそれぞれ約14億人ということを鑑みると、キリスト教カトリックを「一つの国」と考えるとかなり大きな国になるということです。そのトップの選出に世界中が注目したのも納得ですよね。日本でも教皇の選出方法コンクラーベ(Cónclave)についての報道等も多くみられました。

連日のニュース

さて、新教皇誕生から1週間近く経ちますが、スペインでは連日新教皇のニュースが流れてきます。

昨日(5月12日)のスペインの新聞「20 minutos」では、「新教皇レオ14世、バチカンから生中継。教皇はバチカンのメディアに「平和のためのコミュニケーションの道」を選ぶよう呼びかける(Nuevo Papa León XIV, en directo | El Papa pide a los medios en el Vaticano que elijan “el camino de la comunicación a favor de la paz”)(筆者訳)」という見出しの記事を掲載して、刻一刻と新教皇の行動を伝えています。(参照: https://www.20minutos.es/internacional/directo-robert-prevost-nuevo-papa-leon-xiv-ultima-hora-vaticano-5708614/)

本日(5月13日)のスペイン新聞「El País」には、「レオ14世、トランプ大統領の大量強制送還作戦に立ち向かうローマ法王(León XIV, un papa para hacer frente a la campaña de deportaciones masivas de Trump)(筆者訳)」という見出しで、社会問題に取り組んだレオ13世から「レオ」という名前を選んだことに言及したうえで、「レオ14世は、社会正義へのコミットメントを明らかにした」と締めくくられていました。(参照: https://elpais.com/us/migracion/2025-05-13/leon-xiv-un-papa-para-hacer-frente-a-la-campana-de-deportaciones-masivas-de-trump.html)

教皇レオ13世は、19世紀に、歴史的な回勅『レールム・ノヴァールム(Rerum novarum)』と呼ばれる新教皇の手紙によって、全世界のカトリック教会の司教にむけて、第一次産業革命後に問題となっていた貧富の差や経済・福祉における国家の役割について説き、社会問題に取り組んだ画期的な教皇でした。そのため、教皇レオ14世の母国アメリカ合衆国の大統領が何千人もの移民を犯罪者にし、拘留し、追放していることに対して、この新しい教皇が傍観しているはずはないだろうということです。

他にも本日のスペイン新聞「El Mundo」には、「ローマ法王は「真実を伝えたために投獄されたジャーナリスト」の自由を求める(El Papa pide la libertad para “los periodistas encarcelados por contar la verdad”)(筆者訳)」と題する見出しで、「公正で適切な判断を下すことができるのは、十分な情報に基づいた国民だけです」と教皇は強調していることを取り上げています。(参照: ttps://www.elmundo.es/internacional/2025/05/12/6821c689e4d4d8a06c8b45ae.html

このように、新教皇の行動や、政治的意見等がスペインの新聞には連日載せられていて、つくづくキリスト教カトリックのトップであるローマ法王の影響力の強さを感じさせられます。そして、スペイン国民の関心の高さにも驚かされます。と同時に、ヨーロッパ内でウクライナ戦争が勃発したり世界中で戦争や紛争が起きている現在、多くのスペインの人々が心の底から一刻も早い停戦を願い、その平和の願いを世界的にも影響力のある新ローマ法王に託していることが伝わってきます。

番外編 バードウォッチング!-「お手軽バードウォッチング」(ポーランド・首都ワルシャワ)

観察日: 2025年4月13日

スペインではないのですが、番外編としてポーランドでのバードウォッチングについて紹介しています。イースター休暇を利用して友人たちとポーランド旅行に行ってきました。今回はバードウォッチングを中心とした旅行ではなく、初めて訪れるポーランドとして一般的な観光コースを車を借りて回りました。という訳で、街中などを歩いていて出会った鳥たちなので、あくまでもお手軽なバードウォッチングでしかないことを初めにお断りしておきます。

盾と矛を持ってワルシャワ市民を守っているシレンカと呼ばれる人魚の像(写真: 筆者撮影)

ワルシャワ市内で楽しめるバードウォッチング

第二次世界大戦の際、ワルシャワ市内は徹底的に破壊されましたが、残った資料や記録を頼りにワルシャワ旧市街を「壁のひび一本にいたるまで忠実に」復元したそうです。そして、「ワルシャワ旧市街」は「破壊からの復元および維持への人々の営み」が評価された最初の世界遺産となりました。そんなポーランドの人達が戦争からの復興を願って復元した素晴らしい街並みを堪能した後、夏の間、毎日曜日にショパン・コンサートが開かれることで有名なワジョンキ公園(Łazienki Królewskie)に足を延ばしてみました。お目当ては公園の中にある水上宮殿。水に映る宮殿は本当に美しいものでした。

ワジョンキ公園(Łazienki Królewskie)内の水上宮殿(写真: 筆者撮影)

公園の中を散策していると、様々な動物に遭遇しました。そして、予期せぬ様々な鳥たちにも会うこともできました!

ワジョンキ公園(Łazienki Królewskie)の人気者

公園の中を逍遥していると、1本の木の前で子供連れの家族等結構な人数の人達が携帯で写真を撮っているようなので、私も近づいてみることにした。木の上に見事な羽を持つオスのインドクジャク(Pavo real) が居ました。木の上に居るインドクジャク(Pavo real) を目の前で見るのは初めてだったので、新鮮な驚きを感じました。

-インドクジャク(学名: Pavo cristatus / 西:Pavo real)

派手な色がひときわ目立っています(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

人馴れしているこのインドクジャク(Pavo real) は、その後木から飛び降りて公園内をのんびり散歩していました。美しい羽は公園内の人達の目を引き、人気者でした。 

ヨーロッパでは珍しいオシドリ(Pato mandarín)も!

オシドリ(Pato mandarín) は日本では馴染み深い鳥ですが、ヨーロッパではほとんど見ることができない希少な鳥です。その美しい姿がヨーロッパでも愛されていて、ヨーロッパ各地に移入され、多くの公園で飼育されています。(ウィキペディア参照)

ワジョンキ公園(Łazienki Królewskie)で見たオシドリも多分、移入されて飼育されているオシドリ(Pato mandarín) だと考えられます。

-オシドリ(学名: Aix galericulata / 西:Pato mandarín)

「おしどり夫婦」という日本語を思わず思い出しました(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

キツネやリスも住む公園

広い公園内をのんびりと楽しんでいると、時々リス達の姿を見かけました。しばらく観察していると、しきりと穴を掘って木の実を掘り出したかと思うと、また別の場所に穴を掘って木の実を隠しています。そのひたむきな姿がとても可愛かったですね。子供たちが木の実をリスに直接渡そうとしている光景もほのぼのとしたものでした。

小柄で茶色のヨーロッパリス(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

また、いきなりキツネが建物の陰から出てきて目の前を通り過ぎました。とにかく、公園内の鳥も動物も周りの人間の存在を全く意に介さないようで、自然に公園内でそれぞれの活動をしているのは驚きでした。

周りの人達など気にも留めずのんびりと通り過ぎていくキツネ(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

公園内で見れた他の鳥たち

他にも池に居た白鳥 (Cisne vulgar)、ヨーロッパコマドリ(Petirrojo)、カケス(Arrendajo)やヒメアカゲラ (Pico mediano)等も見ることができましたよ。

-ヨーロッパコマドリ(学名: Erithacus rubecula/ 西:Petirrojo)

ヨーロッパコマドリ(Petirrojo)はスペインでもよく見かける可愛い鳥です(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

-コブハクチョウ(学名: Cygnus olor / 西:Cisne vulgar)

はやりヨーロッパの公園には白鳥がつきものですね(笑)(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

-カケス(学名: Garrulus glandarius / 西:Arrendajo)

カケスのカップルが求愛中のようでした(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

-ヒメアカゲラ(学名: Leiopicus medius / 西:Pico mediano)

初めてヒメアカゲラ(Pico mediano)を見ました!可愛いですね(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

もし、ワルシャワに訪れる機会があれば、是非ワジョンキ公園(Łazienki Królewskie)をゆっくり逍遥されることをお薦めします。

春の芽吹きで緑の優しい色が心も身体も癒してくれました(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)