スペインでバードウォッチング!-壮観! シロエリハゲワシ(Buitre Leonado)-カスティーリャ・イ・レオン州-ロス・アリーベス・デ・ドゥエロ(Los arribes de Duero)

カスティージャ・イ・レオン州

観察日:2021年3月14日

ドゥエロ川はスペイン国内で3番目に長い川で、カスティーリャ・イ・レオン州ソリア県にあるピコス・デ・ウルビオン(Picos de Urbión)を水源地とし、全長約897km、そのうち213kmはポルトガルを流れています。ポルトーワインで有名なポルトーを流れる川でもあり、大西洋に流れ込んでいます。ドゥエロ川が流れるスペインとポルトガルの国境地帯がロス・アリーベス(Los arribes)と呼ばれる地帯です。ここはカスティーリャ・イ・レオン地方の中でも比較的低いところにあるため、気候も温暖です。3月14日に行ってきましたが、ミモザの花も終わり、場所によってはアマポーラの花が咲いていたのでびっくりしました。同じサラマンカ県とはいえ、サラマンカ市内ではアマポーラの花は4月から5月にかけて咲く花です。1ヶ月くらい早いですね。今回は、ドゥエロ・ロス・アリーベス自然公園内にあるバードウォッチングスポットを紹介します。

日本語の名前は分かりませんでしたが、ウィキペディアでは「アスフォデルス・アルブス」と紹介されていました

シロエリハゲワシ(Buitre Leonado)がすぐ目の前に!

バードウォッチャーにとっても、あまりバードウォッチングに興味のない人にとっても、お薦めの野鳥観察スポットは、ピコン・デ・フェリペ展望台(Mirador del Picón de Felipe)とフライレ展望台(Mirador del Fraile)です。かなりの数のシロエリハゲワシ(Buitre Leonado)が、切り立った断崖を背にして飛び交ったり、私たちの頭上または眼下で飛び交う姿は、鳥に興味がない人にとっても忘れられない思い出になること間違いなしです。なんせ、普通シロエリハゲワシを見ることができても遠い空のかなたを飛んでいる鳥なので、ここの展望台から見れるようにすぐ目の前でそれも眼下に見れる場所はそうそうないからです。今回は日が暮れる前の6時から7時(3月14日はまだスペインでは冬時間です)にかけて見に行きましたが、30~40羽のシロエリハゲワシ(Buitre Leonado)がどこからともなく現れて空を飛んでいました。この時間帯には風の流れに乗って飛べるため、本当に沢山のシロエリハゲワシが悠々と飛び交い、なかなか見れない光景でした。肉眼でもシロエリハゲワシの顔や翼の模様まで見えて、訪れていた家族連れなどから感嘆の声があがっていました。バードウォッチャーやシロエリハゲワシの写真を撮りたい方には絶好のスポットです。

風の流れに乗って悠々と飛ぶシロエリハゲワシ(Buitre Leonado)/ 写真:アルベルト・フェルナンデス・メダルデ

悲しい愛の伝説「ピコン・デ・フェリペ(Picón de Felipe)」

さて、このピコン・デ・フェリペ展望台の名前は、この地方で語り継がれている伝説の若者の名前から付けられました

昔、フェリペという山羊飼いの若者が、毎日山羊を連れてこのロス・アリーベスの切り立った断崖に来ていました。川を隔てた向こう側にはブルソスというポルトガルの村がありました。そして、その村のある女性を川の反対側から見ているうちに恋に落ちます。しかし、滔々と流れるドゥエロ川と切り立った断崖という物理的な隔たりが障害となって、フェリペは遠くから見ているだけで会いに行くことができません。恋焦がれる女性に会いに行きたい一心で、フェリペは命も顧みずこの二人を隔てる自然の国境を何度も渡ろうとしますが、無情にも徒労に終わっていまいます。それでもフェリペはあきらめず無我夢中で岩を砕き橋を作って川を渡ろうと試みます。しかし、過酷な自然の前にフェリペはとうとう絶望して自殺してしまいました。

この伝説は、スペインとポルトガルを隔てる自然の国境であるドゥエロ川とその川の両面の断崖が、容易に二つの国を行き来できない過酷な自然環境であったことを物語るものです。実際、1840年にこのピコン・デ・フェリペ展望台からほど遠くないアルデアダビラ(Aldeadávila)という村から定期船が就航するまでは、川を隔てて見える反対側の村や人々を訪ねて行く方法はなかったのです。

ピコン・デ・フェリペ展望台から見れるドゥエロ川 右側はスペイン、左側はポルトガル
ピコン・デ・フェリペ展望台にある岩 山羊飼いフェリペは岩を川に落とし橋にしようとしました

まとめ

フライレ展望台は車で近くまで行くことができますが、ピコン・デ・フェリペ展望台へは、駐車場から1km以上歩いたところにあります。途中歩きにくいところもあるので、できれば歩きやすい靴を履いていくことをお薦めします。ここからは雄大なドゥエロ川とスペイン領、ポルトガル領が見渡せます。また、1960年代にスペインとポルトガル両国共同で造られたアルデアダビラダム(Presa de Aldeadávila)があり、両国の技術の粋を尽くして建設したダムのある風景も一見の価値があります。車がないと行くのは難しいですが、レンタカーでスペインを旅行される場合は、是非足を延ばして頂きたい場所の一つです。勿論、バードウォッチングするにはとてもお薦めスポットです。

1965年の映画「ドクトル・ジバゴ」にも出てくるアルデアダビラダム

情報

カスティーリャ・イ・レオン州のオフィシャルサイト。英語版もあります。ピコン・デ・フェリペ展望台へ行くルートの紹介があります。

Ruta del Picón de Felipe – Portal de Turismo de la Junta de Castilla y León (turismocastillayleon.com)

トリップアドバイザーのサイトでもピコン・デ・フェリペ展望台とフライレ展望台が紹介されています。

Mirador del Picón de Felipe (Aldeadávila de la Ribera) – 2021 Qué saber antes de ir – Lo más comentado por la gente – Tripadvisor

El mirador del Fraile (Aldeadávila de la Ribera) – 2021 Qué saber antes de ir – Lo más comentado por la gente – Tripadvisor

ピコン・デ・フェリペ展望台(Mirador del Picón de Felipe)

フライレ展望台(Mirador del Fraile)

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