スペインの臓器移植ドナー数、世界でトップ!

今年も世界一!

意外だと思われる方も多いと思いますが、スペインは世界でもトップクラスの臓器移植大国です。そして、この臓器移植手術を支えているのが、臓器を提供してくれるドナーの存在。2021年8月の政府公式発表によると、100万人当たりのドナー数が29年連続でスペインは世界一

2022年1月末の発表では、100万人当たりドナー数がスペインは40,2人で、EU諸国平均が18,4人なのでスペインのドナー数は2倍以上、ドイツと比べてみても4倍の比率です。ちなみに日本は残念ながら臓器移植に関しては後進国と言え、2019年の資料で0,99人です(参照:「臓器移植対策の現状について」臓器移植委員会4月21日に作成)。日本は少ないとは知っていましたが、まさか100万人当たり1人にも達していない事実にはショックでした。

2021年の臓器移植手術は約5,000件!

2021年に行われた臓器移植手術は、腎臓移植 2,950件、肝臓移植 1078件、肺移植 362件、心臓移植 302件、膵臓並びに7つの大腸部分*移植 82件です。そして、子供への臓器移植手術は159件ありました。なんと、その合計数は4,933件にも上ります。そしてそのうち、死亡した人から受けたドナー1905人による臓器移植手術件数は4,457件ありました。

*7つの大腸部分(Siete intestinales):盲腸・虫垂・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・肛門 (Ciego/Apéndice vermiforme/Colon ascendente/Colon transverso/Colon descendente/Colon sigmoideo/Ano)

スペインの臓器移植の現状

スペインは、臓器移植に関する法律に定めるように、ドナー拒否の意思表示をしていない限り、全てのスペイン人はドナーの対象だとみなされています。そして、実際ドナーとしての必要条件を満たしていると医療チームが判断したら、ドナーできるような仕組みになっています。私の周りでも自分に何かあった場合は、是非臓器ドナーをして少しでも助かる命を助けてほしいと言っている人がほとんどです。

また、スペインでは2021年3月に「安楽死法」が成立し、安楽死が法的に認められたので、安楽死を求める人からのドナーも今後は出てくると予想されています。

スペインでは、公的国民保険に加入していれば公的医療機関は無料です。日本のように、全国どこででも病院にかかることができるのではなく、基本的には居住している地域の公的医療機関にかからなければなりません。もし、私立の病院にかかる場合は100%自己負担です。(私立の医療保険制度に加入して、毎月定まった金額を支払うことで私立の病院代をカバーすることは可能です。実際、公的医療保険以外に私的医療保険にも加入している人も多々います。)そして、公的医療機関で臓器移植手術を受ける場合は、手術代金は無料です。

スペイン人と結婚し、サラマンカ市内に居住していてスペインの公的国民保険に加入してる日本人が、10年位前に骨髄移植をしなければならなくなりました。手術はやはり日本の方がいいかもと考え、一旦東京に帰って有名な病院を当たってみましたが、日本ではその当時骨髄移植手術自体珍しいうえ、ドナーが少ないことと費用がかなり掛かることを告げられました。でも、色々調べてみると、スペインは移植手術先進国で、その上、サラマンカ大学病院は特に有名だということが判明し、スペインに戻って骨髄移植手術をしてもらうように手続きを始めました。結局は、スペインの移植をする際の国際ネットワークの力で、ハワイの日系のドナーから骨髄提供があり、サラマンカ市民ということも手伝い、地元優先で思ったより早く手術を受けることができました。その上、その日本人は公的国民保険加入者であったので、手術代金、入院費等全て無料でした。その時初めて私もスペインの医療機関、医療システムの素晴らしさを実感しました。

これだけ臓器移植手術先進国のスペインですが、スペイン国立移植医療機関(Organización Nacional de Transplantes)によると、毎年約10%の人がドナー提供を待っている間に死亡しているという悲しい事実も現実にはあります。

コロナ下でのドナー

さて、そんなスペインの臓器移植事情も、今回のコロナ下では厳しいものがありました。コロナ以前の2019年は100万人当たりドナー数がスペインは49,6人だったのが、2020年にはドナー数が23%、臓器移植手術も19%減少しました。それだけに、2021年は2020年に比べると臓器移植手術が8%増加し、少しずつ回復の兆しが見えてきているようです。

参考

・スペイン国立移植医療機関(Organización Nacional de Transplantes)がドナーや臓器移植について分かり易く説明しています。

Donación (ont.es)

・日本の臓器移植の現状に興味のある方はこちらをどうぞ。臓器移植委員会が4月21日に作成した「臓器移植対策の現状について」のPDF版です。

難病法における難病の定義 (mhlw.go.jp)

・具体的な数字等を今回参照したスペインの全国紙「エル・パイス(El País)」2022年1月21日付の記事です。

Los trasplantes de órganos en España superan el bache de la covid y aumentan un 8% en 2021 | Sociedad | EL PAÍS (elpais.com)

・スペイン政府公式サイト、ラ・モンクロア(La Moncloa)にも、スペインがドナーや臓器移植手術のリーダーであることを述べています。

La Moncloa. 16/08/2021. España mantiene su liderazgo mundial en donación de órganos en 2020, a pesar de la pandemia [Prensa/Actualidad/Sanidad]


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