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スペイン クリスマスのお菓子たち

もうすぐクリスマスです! スペインの人たちにとってとても大切な時期がやってきました。残念ながら今年はコロナウイルスの影響で、例年のようなクリスマスは過ごせませんが、クリスマスを彩るお菓子たちは皆楽しみの一つです。今回は、スペインのクリスマスのお菓子たちを紹介します。

スペインに来るまでは、世界中どこでもクリスマスケーキを食べるものだと思ってました。ところが、ここスペインに来たら、「クリスマスケーキ?」「なにそれ?」「クリスマスにはトゥロンだよ」というから驚きました。素直にカルチャーショックでしたね。まあ、私が初めてスペインのクリスマスを体験したのは、遥か30年近く前のことなので、今のようにインターネットでいろんな国のことを調べたり、外国製品のネット購入などもできない時代だったので、私のようにスペインに来て初めてスペインのクリスマスのお菓子を知ったという人がほどんどでした。

我が家では、クリスマスツリーのサンタさんの靴下の中にクリスマスのお菓子を入れて各々食べています。
何が入っているかはお楽しみです! /(写真:筆者撮影)

日本では、クリスマスの日やイブの夜にクリスマスケーキを買ってきて食べるのが一般的ですが、スペインでは、クリスマス期間中ずっと食べ続けるのがクリスマスのお菓子です。つまり、12月24日のイブの夜ご飯のデザートに始まり、年が明けて1月6日の「三賢王の日」まで、約2週間にわたり食事の後に出てきます。気の早い人たちは、12月8日の無原罪の御宿りの祝日から食べ始めるとか。2週間以上、どうかすると1か月も食べ続けて食べ飽きないのかしら?という疑問が湧くかもしれませんが、このクリスマスのお菓子は種類が幾つかあり、この間にいろんなクリスマスのお菓子を食べているのがスペイン風です。

トゥロン(Turrón)

まず、何といってもクリスマスのお菓子の代表格はトゥロン(Turrón)です。様々なトゥロンがありますが、スーパーなどでも手に入る代表的なものは、柔らかいトゥロン・デ・ヒホナ(Turrón de Jijona)と固いトゥロン・デ・アリカンテ (Turron de Alicante)があります。また、その他にも、街のお菓子屋さんが作るお店独特のトゥロンもいろいろあります。お菓子屋さんのお手製のトゥロンは、チョコレート味、コーヒー味、オレンジ味等様々で、飾りつけもきれいです。切り売りしてくれます。

今年は、サラマンカの村ラ・アルベルカのハンド・メイドのトゥロン(Turrón)にしました。/(写真:筆者撮影)

街のお菓子屋さんのショーケース。真ん中に二つのトゥロンがあります。/(写真:筆者撮影)

ポルボロン(Polvorón)& マンテカート (Mantecado)

次に一般的なクリスマスのお菓子といえば、ポルボロン(Polvorón)でしょう。ポルボロンは、一つ一つ紙に包んであります。このポルボロン、食べ方を知らないで包み紙から出してそのまま食べると、ポロポロと形が崩れて食べずらいです。というのも、包み紙から出す前に、手でしっかり握り固めてから口に入れなければなりません。そうするとポルボロンを一口噛んだ時、ポロポロ、ボロボロになることはないわけです。

ポルボロンは、スペイン南部アンダルシア地方のセビージャ県、エステパという所の物が有名です。16世紀の文献に既にポルボロンの名前が出てくるとのことで、かなり伝統的なお菓子ですね。

我が家での一番人気がこのポルボロンで、毎年色んなポルボロンを買って食べ比べてみましたが、数年前からバスク地方の「フェリッペ・セグンド(Felipe II)」を気に入って買っています。厳密には、ポルボロンという名前ではなくマンテカード(Mantecado)という名前のお菓子で売ってありますが、皆、ポルボロンと呼んでいます。元々、ポルボロンはマンテカートの一種なので、間違いではないのでしょうが、お菓子自体にはマンテカートの名前がついています。

この「フェリッペ・セグンド(Felipe II)」は、ブルッセルに本部がある国際味覚審査機構(I.T.Q.I)から8年連続で(2013年から2020年)、「食品のミッシェラン・ガイド」と呼ばれる「優秀味覚賞」を受賞しているという輝かしい功績を持つお菓子です。また、その他の様々な賞を受賞していて、「受賞数が一番多いマンテカート」としても知られています。

九州出身の私は、福岡名物「ひよこ」のあんこを思い出します。味はもちろんちょっと違いますが・・・。是非、食べ比べてみてください!

「フェリッペ・セグンド(Felipe II)」 一つ一つハンドメイドで、番号までついています! /(写真:筆者撮影)

マサパン(Mazapan)& パン・デ・カディス(Pan de Cádiz)& ピニョナーダ(Piñonada)

クリスマスのお菓子の多くは、アーモンドが入っていますが、スペインのマサパン(Mazapan)ことマジパンもその一つです。そのマジパンの仲間にパン・デ・カディス(Pan de Cádiz)やピニョナーダ(Piñonada)があります。パン・デ・カディスの方はしっとりとした感じですが、ピニョナーダのほうはちょっと堅めです。ピニョン(Piñon)というのはスペイン語で松の実のことですが、マジパンに松の実が一杯!のお菓子です。個人的にはピニョナーダが好きです。

パン・デ・カディス(Pan de Cádiz)は羊羹のように切って食べます。/(写真:筆者撮影)

松の実一杯のピニョナーダ(Piñonada)/(写真:筆者撮影)

ロスコン・デ・レージェス (Roscón de Reyes)

ロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)は、1月6日のみに食べるクリスマス最後のお菓子です。ケーキに近い感じですね。1月6日は、スペインでは「東方の三賢王の日」つまりカトリックの「公現祭」に当たる日で祭日です。この日は、幼子イエスの誕生をしり贈り物を持って拝みに来たと言われる「東方の三賢王」の日に当たり、この日をもってスペインの長いクリスマスが終わります。この日は、三人の王様達がみんなにクリスマスプレゼントを持ってきてくれる日にも当たり、スペインの家庭、特に小さい子供がいる家庭では、プレゼントが来たかどうかを知りたくてワクワクしながら朝早くから目を覚まし、プレゼントを楽しみにしている待ちに待った一日なのです。そして、夕方家族みんなや友人たちもよんで、このロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)と飲むチョコレートを食べながらワイワイおしゃべりに花が咲きます。このロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)は、生クリームやカスタードクリームが入っている物もありますが、基本的にはちょっとパサッとした感じで、砂糖漬けの果物が入っている菓子パンのようなものです。ちょっとしっとり感が足りないので、これを飲むチョコレートに付けながら食べると丁度良い感じですね!

面白いことは、ロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)の中には必ず人形や乾燥豆(乾燥ソラマメやひよこ豆など)が隠されています。切り分けられたとき、人形が当たった人はその年は良い年だとか。でも乾燥豆が当たった人は、次の年のロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)を買ってきて皆にごちそうしなければならない、といわれています。いかにも集まってワイワイすることが好きなスペイン人の都合の良い来年の約束って感じですよね! 「わー、私が当たっちゃった! じゃ、来年はロスコン・デ・レージェス持ってくるから、またみんなで集まろうね!」というわけです。

(写真:Wikipedia Public Domain)

お土産にお薦めのクリスマスのお菓子

もし、11月の半ばくらいからスペインにいらっしゃる機会がある方には、是非スペインの色々なクリスマス限定のお菓子をお土産にされることをお薦めします!この時期には、ここで紹介したお菓子以外にも色んな種類のお菓子が季節限定で出てきます。

普通のスーパーによく売られている「トルタ・インペリアル(Torta Imperial)」は、普通のトゥロンに比べると軽く、甘すぎないので日本人の口にも合うアーモンド菓子です。日本の私の家族も大好きなお菓子です。

トルタ・インペリアル(Torta Imperial)/(写真:筆者撮影)

この時期、スーパーに行くと、パッケージが昔懐かしいお菓子も出てきます。この「ラ・エステペーニャ(La Estepeña)」はポルボロンで有名なエステパの会社で、ポルボロンの他にも色んなお菓子があります。

レトロなパッケージ「ラ・エステペーニャ(La Estepeña)」のお菓子 /(写真:筆者撮影)

チョコレートのトゥロンならこれ!「スチャー(Suchard)」なら色んな種類のチョコレートのトゥロンの品揃えが豊富です。子供から大人まで楽しめます!

私のお薦めはこれ!ビターチョコにオレンジが入っています。/(写真:筆者撮影)
こちらはクラッシック。ミルクチョコレートです。/(写真:筆者撮影)

そして、数々の賞に輝くマンテカード「フィリッペ・セグンド(Felipe II)」はやっぱり一度は食べたいクリスマスのお菓子です。ただ、大量生産していないので普通のスーパーなどでは買えず、手に入りずらいかもしれません。興味のある方はウエブサイトをご覧ください。

一押しのフィリッペ・セグンド(Felipe II) /(写真:筆者撮影)

フェリッペ・セグンドの公式サイト:PÁGINA OFICIAL del obrador de Mantecados Felipe Segundo – los polvorones más premiados del mundo (reyfelipe.com)

様々な種類があるスペインのクリスマスのお菓子、スーパーや街のお菓子屋さんなどを見て歩くだけでも楽しくなりますよ。

今年は、残念ながらコロナウイルスのせいで日本からスペインに訪れる機会もないかもしれませんが、来年のクリスマス時期にはコロナウイルスが終息していることを願っています。その時は、是非クリスマスのお菓子を楽しんでくださいね!

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