スペイン クリスマスのお菓子たち

もうすぐクリスマスです! スペインの人たちにとってとても大切な時期がやってきました。残念ながら今年はコロナウイルスの影響で、例年のようなクリスマスは過ごせませんが、クリスマスを彩るお菓子たちは皆楽しみの一つです。今回は、スペインのクリスマスのお菓子たちを紹介します。

スペインに来るまでは、世界中どこでもクリスマスケーキを食べるものだと思ってました。ところが、ここスペインに来たら、「クリスマスケーキ?」「なにそれ?」「クリスマスにはトゥロンだよ」というから驚きました。素直にカルチャーショックでしたね。まあ、私が初めてスペインのクリスマスを体験したのは、遥か30年近く前のことなので、今のようにインターネットでいろんな国のことを調べたり、外国製品のネット購入などもできない時代だったので、私のようにスペインに来て初めてスペインのクリスマスのお菓子を知ったという人がほどんどでした。

我が家では、クリスマスツリーのサンタさんの靴下の中にクリスマスのお菓子を入れて各々食べています。
何が入っているかはお楽しみです! /(写真:筆者撮影)

日本では、クリスマスの日やイブの夜にクリスマスケーキを買ってきて食べるのが一般的ですが、スペインでは、クリスマス期間中ずっと食べ続けるのがクリスマスのお菓子です。つまり、12月24日のイブの夜ご飯のデザートに始まり、年が明けて1月6日の「三賢王の日」まで、約2週間にわたり食事の後に出てきます。気の早い人たちは、12月8日の無原罪の御宿りの祝日から食べ始めるとか。2週間以上、どうかすると1か月も食べ続けて食べ飽きないのかしら?という疑問が湧くかもしれませんが、このクリスマスのお菓子は種類が幾つかあり、この間にいろんなクリスマスのお菓子を食べているのがスペイン風です。

トゥロン(Turrón)

まず、何といってもクリスマスのお菓子の代表格はトゥロン(Turrón)です。様々なトゥロンがありますが、スーパーなどでも手に入る代表的なものは、柔らかいトゥロン・デ・ヒホナ(Turrón de Jijona)と固いトゥロン・デ・アリカンテ (Turron de Alicante)があります。また、その他にも、街のお菓子屋さんが作るお店独特のトゥロンもいろいろあります。お菓子屋さんのお手製のトゥロンは、チョコレート味、コーヒー味、オレンジ味等様々で、飾りつけもきれいです。切り売りしてくれます。

今年は、サラマンカの村ラ・アルベルカのハンド・メイドのトゥロン(Turrón)にしました。/(写真:筆者撮影)

街のお菓子屋さんのショーケース。真ん中に二つのトゥロンがあります。/(写真:筆者撮影)

ポルボロン(Polvorón)& マンテカート (Mantecado)

次に一般的なクリスマスのお菓子といえば、ポルボロン(Polvorón)でしょう。ポルボロンは、一つ一つ紙に包んであります。このポルボロン、食べ方を知らないで包み紙から出してそのまま食べると、ポロポロと形が崩れて食べずらいです。というのも、包み紙から出す前に、手でしっかり握り固めてから口に入れなければなりません。そうするとポルボロンを一口噛んだ時、ポロポロ、ボロボロになることはないわけです。

ポルボロンは、スペイン南部アンダルシア地方のセビージャ県、エステパという所の物が有名です。16世紀の文献に既にポルボロンの名前が出てくるとのことで、かなり伝統的なお菓子ですね。

我が家での一番人気がこのポルボロンで、毎年色んなポルボロンを買って食べ比べてみましたが、数年前からバスク地方の「フェリッペ・セグンド(Felipe II)」を気に入って買っています。厳密には、ポルボロンという名前ではなくマンテカード(Mantecado)という名前のお菓子で売ってありますが、皆、ポルボロンと呼んでいます。元々、ポルボロンはマンテカートの一種なので、間違いではないのでしょうが、お菓子自体にはマンテカートの名前がついています。

この「フェリッペ・セグンド(Felipe II)」は、ブルッセルに本部がある国際味覚審査機構(I.T.Q.I)から8年連続で(2013年から2020年)、「食品のミッシェラン・ガイド」と呼ばれる「優秀味覚賞」を受賞しているという輝かしい功績を持つお菓子です。また、その他の様々な賞を受賞していて、「受賞数が一番多いマンテカート」としても知られています。

九州出身の私は、福岡名物「ひよこ」のあんこを思い出します。味はもちろんちょっと違いますが・・・。是非、食べ比べてみてください!

「フェリッペ・セグンド(Felipe II)」 一つ一つハンドメイドで、番号までついています! /(写真:筆者撮影)

マサパン(Mazapan)& パン・デ・カディス(Pan de Cádiz)& ピニョナーダ(Piñonada)

クリスマスのお菓子の多くは、アーモンドが入っていますが、スペインのマサパン(Mazapan)ことマジパンもその一つです。そのマジパンの仲間にパン・デ・カディス(Pan de Cádiz)やピニョナーダ(Piñonada)があります。パン・デ・カディスの方はしっとりとした感じですが、ピニョナーダのほうはちょっと堅めです。ピニョン(Piñon)というのはスペイン語で松の実のことですが、マジパンに松の実が一杯!のお菓子です。個人的にはピニョナーダが好きです。

パン・デ・カディス(Pan de Cádiz)は羊羹のように切って食べます。/(写真:筆者撮影)

松の実一杯のピニョナーダ(Piñonada)/(写真:筆者撮影)

ロスコン・デ・レージェス (Roscón de Reyes)

ロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)は、1月6日のみに食べるクリスマス最後のお菓子です。ケーキに近い感じですね。1月6日は、スペインでは「東方の三賢王の日」つまりカトリックの「公現祭」に当たる日で祭日です。この日は、幼子イエスの誕生をしり贈り物を持って拝みに来たと言われる「東方の三賢王」の日に当たり、この日をもってスペインの長いクリスマスが終わります。この日は、三人の王様達がみんなにクリスマスプレゼントを持ってきてくれる日にも当たり、スペインの家庭、特に小さい子供がいる家庭では、プレゼントが来たかどうかを知りたくてワクワクしながら朝早くから目を覚まし、プレゼントを楽しみにしている待ちに待った一日なのです。そして、夕方家族みんなや友人たちもよんで、このロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)と飲むチョコレートを食べながらワイワイおしゃべりに花が咲きます。このロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)は、生クリームやカスタードクリームが入っている物もありますが、基本的にはちょっとパサッとした感じで、砂糖漬けの果物が入っている菓子パンのようなものです。ちょっとしっとり感が足りないので、これを飲むチョコレートに付けながら食べると丁度良い感じですね!

面白いことは、ロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)の中には必ず人形や乾燥豆(乾燥ソラマメやひよこ豆など)が隠されています。切り分けられたとき、人形が当たった人はその年は良い年だとか。でも乾燥豆が当たった人は、次の年のロスコン・デ・レージェス(Roscón de Reyes)を買ってきて皆にごちそうしなければならない、といわれています。いかにも集まってワイワイすることが好きなスペイン人の都合の良い来年の約束って感じですよね! 「わー、私が当たっちゃった! じゃ、来年はロスコン・デ・レージェス持ってくるから、またみんなで集まろうね!」というわけです。

(写真:Wikipedia Public Domain)

お土産にお薦めのクリスマスのお菓子

もし、11月の半ばくらいからスペインにいらっしゃる機会がある方には、是非スペインの色々なクリスマス限定のお菓子をお土産にされることをお薦めします!この時期には、ここで紹介したお菓子以外にも色んな種類のお菓子が季節限定で出てきます。

普通のスーパーによく売られている「トルタ・インペリアル(Torta Imperial)」は、普通のトゥロンに比べると軽く、甘すぎないので日本人の口にも合うアーモンド菓子です。日本の私の家族も大好きなお菓子です。

トルタ・インペリアル(Torta Imperial)/(写真:筆者撮影)

この時期、スーパーに行くと、パッケージが昔懐かしいお菓子も出てきます。この「ラ・エステペーニャ(La Estepeña)」はポルボロンで有名なエステパの会社で、ポルボロンの他にも色んなお菓子があります。

レトロなパッケージ「ラ・エステペーニャ(La Estepeña)」のお菓子 /(写真:筆者撮影)

チョコレートのトゥロンならこれ!「スチャー(Suchard)」なら色んな種類のチョコレートのトゥロンの品揃えが豊富です。子供から大人まで楽しめます!

私のお薦めはこれ!ビターチョコにオレンジが入っています。/(写真:筆者撮影)
こちらはクラッシック。ミルクチョコレートです。/(写真:筆者撮影)

そして、数々の賞に輝くマンテカード「フィリッペ・セグンド(Felipe II)」はやっぱり一度は食べたいクリスマスのお菓子です。ただ、大量生産していないので普通のスーパーなどでは買えず、手に入りずらいかもしれません。興味のある方はウエブサイトをご覧ください。

一押しのフィリッペ・セグンド(Felipe II) /(写真:筆者撮影)

フェリッペ・セグンドの公式サイト:PÁGINA OFICIAL del obrador de Mantecados Felipe Segundo – los polvorones más premiados del mundo (reyfelipe.com)

様々な種類があるスペインのクリスマスのお菓子、スーパーや街のお菓子屋さんなどを見て歩くだけでも楽しくなりますよ。

今年は、残念ながらコロナウイルスのせいで日本からスペインに訪れる機会もないかもしれませんが、来年のクリスマス時期にはコロナウイルスが終息していることを願っています。その時は、是非クリスマスのお菓子を楽しんでくださいね!

ピーマン嫌い解消!スペイン流、とっても美味しいピーマンの食べ方「焼きピーマン(Pimientos Asados)」&「揚げ煮シシトウ(Pimientos de Padrón Frito)」

10月も半ば過ぎ、我が家の畑の夏野菜もそろそろ終わりの時期となっています。

ピーマンの収穫がここ1ヶ月程続いていますが、朝晩の気温もグッと下がってきたので今年のピーマンも最終段階に入ってきました。

子供の頃、私自身それほどピーマンが好きではありませんでしたが、スペインに来てピーマンの美味しさ発見!日本では知られていない食べ方や料理の仕方等で、イマイチだったピーマンがピカイチになりました。

そこで、今回はスペインで一般的なとってもおいしいピーマンの食べ方を紹介します。

まずは、焼きピーマン。日本ではパプリカという呼ばれている肉厚のもので作ります。

赤と黄パプリカをオーブンで焼きました

焼きピーマン(Pimientos Asados)

材料:4人分

・赤パプリカ                 2~3個

・黄パプリカ                 2~3個

作り方

1.パプリカは軽く水洗いし、よく水けを拭いておく。

2.180℃に熱したオープンに入れ、約30分焼いたらひっくり返して約30分焼く。しんなりしたら出来上がり。(写真参照)

こんな感じになったら焼き上がりです

3.冷めたら、薄皮と種をきれいに取り除き、焼き汁と一緒に瓶に詰め真空にして保存します。この保存の際、ニンニクを切って焼きピーマンと一緒に瓶に入れたり、焼き汁を少々とバージン・オリーブ・オイルを入れて保存すると、すぐお肉の付け合わせとしても使えますよ。

この焼きピーマン、作り置きしておくと色んな場面で重宝します。

レタス・アボカド・スイートコーン・トマト、そして黄パプリカの焼きピーマンを飾ってサラダに

この他にも、ツナ缶と焼きピーマンを混ぜて、バルサミコ酢、バージン・オリーブオイルと塩で味付けしたものをクラッカーにのせて、カナッペスタイルでもなかなかお洒落なおつまみができます。

また、お肉やお魚をフライパンで焼いて、この焼きピーマンとニンニク、それにそれに瓶に残っているピーマンの焼き汁も少し混ぜてオリーブオイルで軽く炒め、焼いたお肉やお魚その付け合わせにするのもいいですよ。時間がない時にあっという間にできる、便利な料理の一つです。

豚ヒレをフライパンで軽く焼き、焼き汁と焼きピーマンを合わせてトッピングしたトスタ

この焼きピーマン、スーパーなどでも赤パプリカで作ったものが瓶詰めで売っています。ちょっとしたお土産にも喜ばれること間違いなしです!

次に、日本のシシトウにそっくりなピミエントス・デ・パドロン(Pimientos de Padrón)をオリーブオイルで揚げ煮するという、夏になるとレストラン等でもよくみる定番の料理を紹介します。

スペイン版シシトウ(ピミエントス・デ・パドロン)の揚げ煮(Pimientos de Padrón fritos)

材料:4人分

・ししとう                 300g

・オリーブオイル              適宜

・粗塩                   適宜

作り方

1.シシトウには、少し切れ目を入れておく。

2.フライパンに多めにオリーブオイルを敷き、中強火にして温める。

3.オリーブオイルが温まったら、重ならないようにシシトウを入れてゆっくり揚げ煮する。ひっくり返しながら、焦げないように気を付けて揚げる。しんなりなったらすぐ取り出し、油を切る。

4.皿にのせ、粗塩を軽く振って熱いうちに召し上がれ!

手前の大きいやつはイタリアン・ピーマン。同じやり方で揚げ煮したらとても美味しかったですよ!

このまま、パクパク食べてもよし、お肉などの付け合わせにしてもよし。決め手は、オリーブオイルなので、サラダ油ではなく、オリーブオイルでお試しくださいませ。

スペインのイースターのお菓子「トリハス(Torrijas)」

スペインのイースターでは欠かせない揚げ菓子「トリハス(Torrijas)」

先週は、イースター(聖週間)に当たりました。イースター(聖週間)にはスペイン中でこの「トリハス(Torrijas)」を食べます。特に今年のセマナ・サンタ(Semana Santa-スペイン語でいう聖週間です)は、新型肺炎コロナウイルスが猛威を振るっているスペインでは外出禁止令の真っ最中。いつもだったら旅行に出かけたり、里帰りしている人達も、皆大人しく自宅で監禁状態です。普段は忙しくてゆっくり料理する時間がない人も今は時間に余裕があるので、「トリハス(Torrijas)」でも作ろう!と張り切っていました。まるで、スペイン中がマスターシェフになった感じです。

今日は、我が家の「トリハス(Torrijas)」のレシピを公開します。

トリハス(Torrijas)

材料:4人分

(漬け汁A)

A. 牛乳                        1/2L

A. 卵                         1個

A. 砂糖                        大さじ4杯

A. シナモン                      大さじ1杯

・厚切りフランスパン                 8切れ

・オリーブオイル                   100㎖

・シナモンシュガー (砂糖とシナモンを混ぜたもの)  適宜

作り方

(前日)1.漬け汁用の材料 A 全部をハンドミキサーにかけてよく混ぜ合わせる。

    2.厚切りフランスパンを容器に並べ、1 の漬け汁 A を上からまんべんなくかけて、パンに十分漬け汁がしみこむように一晩冷蔵庫に入れておく。 

漬け汁をよーく染み込ませて!

(当日)1.フライパンにオリーブオイルを入れて、漬け汁を吸い切ったフランスパンをきつね色になるまで揚げる。

    2.揚げたら、シナモンシュガーをかける。

砂糖とシナモンでシナモンシュガーを作ります

一見、フレンチトーストのようですが、漬け汁をたっぷり吸いこんでいるので、外側はカリッとして、口の中に入れるとトロッと柔らかい、とても美味しいお菓子です。パン、牛乳、卵が入り栄養満点!子供やお年寄りの方にもおすすめの「トリハス(Torrijas)」、どうぞ作ってみてください。

表面はサクッと、そして中身はトロッと!

おいしいポタージュを召し上がれ!

寒くなってきました。私が住むサラマンカも最高気温が10℃前後で、最低気温は4~5℃ほど。  寒くなると食べたくなるものの一つは、ポタージュです。たっぷり野菜が入って体にも優しく、のど越しも良いポタージュは、病気の母が大好きだった食べ物でした。病院食でもこのおいしいポタージュがもっと普通に出ればいいのに…と漏らしていた言葉を思い出します。確かに、ポタージュ自体は日本でもよく知られている料理ですが、一般家庭で普通に作るメニューのひとつとは言い難いかもしれません。ここスペインの一般家庭では、よく色んな種類のポタージュを作って食べています。野菜嫌いの子供もポタージュにすると食べられるので、食事を作る親にとってはありがたい料理のひとつです。子供にもお年寄りにも食べやすく、それに何といっても美味しいポタージュを日本の方々にももっと食べてほしいので、3種類のポタージュを紹介します。

にんじんのポタージュ

クルトンを入れても美味しいですよ

材料:4人分

・人参                       中4本

・ジャガイモ                    中2個

・玉葱                       中1個

・ニンニク                     1片

・チキンスープストック(市販のものでも結構です)  1リットル

・白ワイン                     100ml

・塩、オリーブオイル                適宜

作り方

1.鍋に多め(大匙2~3杯)のオリーブオイルを入れて、ざっくりとみじん切りにしたニンニクと玉葱を入れて炒める。その後、輪切りにしたジャガイモと人参を加えてさらに炒める。

2.白ワインを入れ、ジャガイモと人参が少し柔らかくなるまで煮込む。

3.塩、スープストックを加えて中火で約30分間煮る。

4.具が柔らかくなったら、ハンドミキサーにかけて出来上がり。

*好みによって濃度を調節してください。もっとサラッとしたポタージュが好みであればスープストックを多めに入れてください。

*もし、自家製のスープストックを作るのであればご参考までに。

鶏ガラ1羽分/人参 大1本/玉葱 中½個/長ねぎ 1本/セロリ 1本/ローレル 1枚/水 1,3リットル を火にかけ沸騰したら中~弱火で1~2時間ほど煮る。その間灰汁を丁寧に何度も取り除く。火を止めた後は、濾してスープストックをとる。

かぼちゃのポタージュ

材料:4人分

・カボチャ                      750g

・玉葱                        中1個

・人参                        中1本

・長ねぎ                       中1本

・ニンニク                      1片

・ピーマン                      ½ 個

・ナチュラルトマト(市販の缶詰または完熟トマト)   100㏄

・オリーブオイル 大匙2杯

・塩                  適宜

作り方

1.玉葱、人参、長ねぎ、ニンニク、ピーマンをざっくりとみじん切りにし、鍋にオリーブオイルを多め(大匙2~3杯)に入れ、弱火でよく炒める。

2.野菜をいためている間、カボチャを賽の目切りにする。

3.1の野菜がクタクタに炒まったら、2の野菜を入れてさらに5分間ほど炒める。

4.次に野菜がヒタヒタなるまで水を入れ、塩をし、ナチュラルトマトを入れて弱火~中火で約1時間ほど煮る。(圧力鍋を使用すると、短時間でできます。)

5.野菜が柔らかく煮えたら火を止め、塩加減を見て調節し、ハンドミキサーにかけて出来上がり。

野菜たっぷりのポタージュ

材料:4人分

・人参                       中2本

・ジャガイモ                    中2個

・玉葱                       中1個

・長ねぎ                      1本

・緑黄色野菜                    適宜               (ほうれん草、不断草、インゲン、ブロッコリー等、なんでも残っている野菜を使う)

・ニンニク                     1片

・塩、オリーブオイル                適宜

作り方

1.全ての野菜を適当の大きさに切り、ヒタヒタの水と塩を入れて弱火~中火で約1時間ほど煮る。(圧力鍋を使用すると、短時間でできます。)

2.野菜が柔らかく煮えたら火を止め、塩加減を見て調節し、ハンドミキサーにかけて出来上がり。

3.皿に盛り、食べる際にバージン・オリーブオイルを少しかけて混ぜあわせて食べる。

*少し甘みが欲しければ、リンゴのコンポートを少し入れると、緑黄色野菜の苦みが消えて、食べやすくなりますよ。

かせいた―ドュルセ・デ・メンブリージョ(Dulce de Membrillo) スペインと日本の出会い

スペイン名ドュルセ・デ・メンブリージョ(Dulce de Membrillo)は、マルメロのジャムを煮詰めてかため羊羹のようにしたスペイン・ポルトガル特産の甘い保存食です。メンブリージョは、日本ではマルメロと呼ばれる果物です。渋みが強いので生で食することはできませんが、砂糖で煮て美味しいジャムまたはお菓子になります。実はこのお菓子、17世紀(1634年)に長崎に渡ってきました。そして、日本では「かせいた」と呼ばれるようになりました。なんでも、ポルトガル語の名前であるCaixa da Marmelada(カイシャ・ダ・マルメラーダ)から”カセイタ”という名前が生まれたと言われています。ちなみにCaixa da Marmeladaは、「マルメラーダの箱」という意味です。スペインのドュルセ・デ・メンブリージョ(Dulce de Membrillo)が日本の羊羹のように長方形の形をしていることを鑑みると、「箱型のマルメロ菓子」とでもいう意味だったのでしょう。

マルメロの果実。友人宅庭の収穫をお裾分けしていただきました。

この「かせいた」というお菓子、肥後細川家の初代細川忠興が気に入り、徳川幕府や京都の公卿たちへの献上品として用いられたとのことです。以後、肥後藩主細川家は「かせいた」を毎年4月に幕府へ献上し、この習わしは幕末まで継続されたそうです。そして、江戸時代から戦前まで現熊本県宇土市走潟町の現浜戸川河岸段丘地に、「かせいた」の原材料として使われていたマルメロが栽培され、肥後藩の貴重な献上品として「かせいた」を製造していたということ。

スペイン国内どこにでもあるごく普通の、全く飾り気のない庶民の食べ物が、日本、熊本に渡り、徳川幕府や京都の公卿たちへの献上品という上級社会の限られた人たちのみが食することができる特別な食べ物となり、まるで肥後細川ブランド品ともいえる高級な食べ物に変わったことに、好奇心をそそられます。

日本にポルトガル人がはじめて漂流したのが、1543年。そして、1580年から1640年までは、スペイン王がポルトガル王を兼ねる同君連合が成立していたので、1634年に「かせいた」がポルトガル人によって日本にもたらされたときは、正しくスペインとポルトガルがお互いに影響しあっていた時期です。

スペイン・ポルトガル人はその後日本国内から追放されますが、彼らが残したこの甘い食べ物は幕末まで200年以上「かせいた」として生き残り、当時の重要人物たちが喜んで食べていたことやお茶の際のお菓子として重宝がられたこと等を想像し、きっとその200年の間に「かせいた」の原型である「ドュルセ・デ・メンブリージョ」のことやポルトガル・スペイン人のことはすっかり忘れられていたのだろうな、などと色んなことに思いをはせることは興味深いものです。

実は、今から10年ほど前に熊本城内の城彩苑にある熊本城ミュージアムを訪れた際、スペインでよく食べ親しんでいたドュルセ・デ・メンブリージョ(Dulce de Membrillo)にそっくりなお菓子が展示されていることに気づき、ビックリして説明を読み、調べてみてこのことを知りました。カステラが、ポルトガル人たちによって「カスティージャ地方のお菓子」と呼ばれていたスペインのお菓子だということは結構知られていますが、この「かせいた」については全く初耳だったので驚いたのを覚えています。

さて、この「かせいた」は、明治以降すっかり忘れられていましたが、現在は細川家秘伝の銘菓を復元するという目的で、「加勢伊多」という名前で復活し、熊本市水前寺成趣園内にある古今伝授之間と隣接する茶屋で有料にて味わうことができます。最中の皮で薄く切った濃厚なジャムを挟んであり、上品なお菓子になっていました。ちなみに、マルメロとは言いますが、熊本ではすでに藩御用のマルメロ栽培は無くなったので、原料はカリンだそうです。

もしスペインにいらっしゃることがあれば、ぜひこのドュルセ・デ・メンブリージョ(Dulce de Membrillo)をご賞味ください。真空パック入りのものもスーパーなどで手軽に購入できるので、お土産にも喜ばれると思いますよ。お土産にされる際、是非肥後細川藩の「かせいた」のお話をされると更に話に花が咲くこと間違いなしです!

ここでは、ドュルセ・デ・メンブリージョ(Dulce de Membrillo)のスペイン版のレシピを紹介します。

さっそく我が家でもドュルセ・デ・メンブリージョを作ってみました

ドュルセ・デ・メンブリージョ(Dulce de Membrillo)

材料

・マルメロ(なければカリン)  1㎏(正味)                    

・砂糖             1㎏

・レモン汁           1個分

作り方

1、マルメロの皮をむき芯をとり、ザクザク小さく切る。

2、鍋に1のマルメロと、砂糖、レモン汁、水をヒタヒタに入れる。最初は強火で、煮立ったら中弱火でマルメロが柔らかくなるまで約15分ほど煮る。水分が多いようであれば、水分をきる。

3、2のマルメロをミキサーにかける。

4、ここで砂糖を入れ、もう一度火にかける。弱火で約一時間ほど時々かき混ぜながら煮詰める。

5、モッタリした感じになり、キャラメル色に近い色になったら火を消す。

6、熱いうちに長細い型に入れて、そのまま冷やす。冷えたら固まるので、好みの厚さに切ってパンに乗せたり、チーズと一緒に食べる。

スペイン式の食べ方は、チーズを切ってその上にのせて食べます。カナッペの上にチーズと一緒に乗せると美味!単にパンに塗って食べても美味しいですよ。

チーズと一緒にクルミものせて

切って容器に入れ、冷凍することもできます。是非、このスペインと日本の出会いの物語ある「かせいた」を作ってみてくださいね。

江戸時代の徳川幕府の面々や京都の公卿のみが食べられた肥後細川ブランド品の原型「ドュルセ・デ・メンブリージョ」(Dulce de Membrillo)を是非お試しください!

追記

この南蛮菓子の日本版「かせいた」についての動画があります。現在唯一、「かせいた」の由緒正しい技術を継承されてご自身で作られ、お茶会でお茶菓子として出されている茶道の村上美枝子先生にインタビューした貴重な動画です。雅美な菓子として復刻したこの「かせいた」についてのいきさつなども興味深いものです。是非、ご覧ください。

熊本と言えば「くまモン」!と肥後細川家の九曜紋の入ったお菓子(写真: 筆者撮影)

スペインで家庭菜園!日本の野菜もスペインの野菜もなんでも作っちゃえ!

元気いっぱいの野菜たち

私が住む村では、村の役場が希望者に家庭菜園用の土地を貸し出してくれるサービスがあります。一区画約200平方メートルの広さで、貸し出し料金は水道料金込みで年間50ユーロ(約6000円)。友人から誘われてこの広い土地に野菜を植え始めてから早6年目。今では、夫と2人で毎年奮闘中です。

ここカスティーリャ・イ・レオン州は、地形がメセタ(台地)と呼ばれる広大な乾燥高原。年間平均降水量は、サラマンカ県では408㎜、平均気温は12,1℃。ちなみに日本は約1700mm、東京の年間平均気温は15,4℃。夏は比較的暑いけれど、冬は結構寒い地方です。ただ、乾燥しているので体感温度は低く、夏はクーラー無しでも十分暮らしていけます。冬は寒いので、セントラルヒーティング完備の家が一般的です。毎月の平均日照時間は230時間、日本は154時間。太陽の光をたっぷり浴びた、おいしい野菜がたくさん収穫できます。

せっかくなので、できれば八百屋さんに売っていない野菜や品種を植えたいと思い、サラマンカでは見かけない日本の野菜なども作って楽しんでいます。また、お店ではあまりお目にかけない種類のトマトやトウモロコシなども植えています。

茄子、青ピーマン、黄色いパプリカ、ミニトマト、トマト、ルバーブ

日本の野菜は、かぼちゃ、枝豆、水菜、スナップエンドウなど。カボチャは、スペインのカボチャとハロウィーン用のカボチャを植えています。トマトは、熟れると実が柔らかくなるので殆んど市場には出回っていないけれど、畑仲間の中では有名な黒トマトや2年ほど前から見かけるようになった青トマトも仲間入り。実がしっかりしたトマトを日本人は好みますが、この黒トマトは実が柔らかく、塩をちょっと振ってエキストラ・バージン・オリーブオイルをかけて食べると、しっかりしたトマトの味とオリーブオイルがその味を引き立てて最高の味です。赤トマトはそのままも美味しいですが、トマトソースにしても絶品。スペインはトマトの種類も豊富です。

青トマトが熟す前はまるで茄子のような色
黒トマト、青トマト、ピンクトマト、赤いトマト
ズッキーニの花は天ぷらに
左からかぼちゃ、ズッキーニの花、インゲン、ズッキーニ、ピミエントス・デ・パドロン(獅子唐)の天ぷら
茹でたジャガイモ、茹でたインゲンにオリーブオイルで炒めた長ネギのみじん切りをのせ、最後に自家製トマトソースをかけて
日本のかぼちゃとスペインのカボチャ

毎年、新しい品種の野菜を作って、自分たちの好みの野菜を発見するのは楽しいものです。それに、同じように村の土地を借りて野菜作りを楽しんでいるスペインの人たちとの交流も野菜作りの醍醐味のひとつでしょう。枝豆や日本のかぼちゃを畑のお隣さんたちにお裾分けし、食べ方やレシピを教えたり、逆に私たちが作っていない野菜を頂いたり・・・。枝豆は、こちらの和食レストランでも付け出しで食べたことがあり知っているというスペイン人も多く、人気があります。日本のかぼちゃは皮が硬くて切りにくいということもあり、残念ながらイマイチ不人気です。

皆口をそろえて言いますが、一番おいしい野菜はトマトです。お店で売っているトマトは殆んど匂いもしませんが、一個一個はさみで切るごとにプーンとトマトの匂いがして、幸せな気持ちにしてくれます。皆、トマトを食べたいばっかりに一生懸命畑に精出しているといっても過言ではありません。トマトは、前述したようにそのまま塩とオリーブオイルをかけて食べたり、ガスパッチョにしたり、トマトソースを作ったり。また、洗ってそのまま丸ごと冷凍して料理に使ったりでき、とても便利です。トマトジャムにして、カナッペ用にクラッカーにトマトジャムを塗りオイルサーディンをのせて食べるのもお薦めの食べ方のひとつです。

今回は、トマトソースとトマトジャムのレシピを紹介します。

基本のトマトソース

材料:完熟トマト 1㎏

   玉葱    100g

   ニンニク  2片

   エクストラ・バージン・オリーブオイル   50g

   黒砂糖(白砂糖でもよい)   30g

   塩

作り方

1. ニンニクと玉葱はみじん切り、トマトはざく切りにする。

2. 鍋にオリーブオイルを入れ火にかけ、1のニンニクと玉葱を気長に弱火で10分ほど炒める。

3. トマト、黒砂糖、塩を入れて火を強めて中火で水分が飛び約半分の量になるまで炒める。

*この基本のトマトソースに人参、ピーマン、セロリ、バジルなどを加えても美味。

*基本のトマトソースは、肉、魚、野菜料理に使ったり応用が利きます。バジル入りのトマトソースは、我が家のパスタ用ソースの定番です。

トマトジャム

材料:トマト   1㎏

   白砂糖   500g

   レモン汁  1/2個(好みで)

作り方

  1. トマトの皮をむいてざく切りにする。(皮が剥きにくいときは、十字の切り込みを入れ熱湯につけて皮を剥くと剥きやすくなる。)
  2. 鍋にトマト、白砂糖、好みでレモン汁を入れて30分~1時間ほど置く。
  3. 最初は強火で、沸騰したら弱火で灰汁を取りながら木べらで気長に時々かき混ぜながら45分位煮る。(少し緩めで火を止め、
  4. ハンドミキサー(ブレンダー)にかける。

フライパンで焼いた鶏肉や豚肉に、トマトジャムを付けて食べてもおいしい。

新鮮なトマトが手に入ったら、是非試して食べてみてくださいね。

暑くなったらガスパチョを!

6月に入り、一気に気温が上昇して暑い日が続いています。スペイン人にとって暑くなるとまず最初に食べたくなる料理は、冷たいトマトのスープ、ガスパチョでしょうか。いつも行く村の八百屋さんでも、お客さんが「こんなに暑い日はやっぱりガスパチョにかぎるね~」なんて話しています。このトマトがたっぷり入ったヘルシーなスペイン料理は、日本でも知らない人はいないくらい有名ですよね。

今日は、基本のガスパチョと、ちょっとお洒落な果物入りガスパチョのレシピを紹介します。

基本のガスパチョ

材料:4人分(1リットル)

・完熟トマト  1㎏                                  

・パプリカ  1/2個  

・ニンニク  1片  

・エクストラ・バージン・オリーブオイル  60ml  

・バルサミコ酢  大匙2杯  

・バゲットパン  2~3切れ(約50g)  

・塩  適宜  

(好みで タマネギ 50g、キュウリ 50g)

作り方

1.バゲットパンをひたひたの水につけておく。

2.完熟トマト、赤パプリカを適当な大きさに切る。ニンニクも小さめに切っておく。

3.全ての材料を大きめの鍋に入れ、ハンドミキサーでブレンダーしていく。

4.水分が少ないようであれば、水を足す。

5.冷蔵庫で冷やして召し上がれ!

トッピングには刻んだ生ハムとバジルで

イチゴのガスパチョ

材料:4人分(1リットル)

・完熟トマト 1/2kg

・イチゴ  1/2㎏ 

・パプリカ  1/2個 

・ニンニク  1片  

・エクストラ・バージン・オリーブオイル  60ml  

・バルサミコ酢  大匙3杯

・バゲットパン  2~3切れ(約50g)  

・塩  適宜  

(好みで タマネギ 50g、キュウリ 50g)

作り方

1.バゲットパンをひたひたの水につけておく。

2.完熟トマト、イチゴ、赤パプリカを適当な大きさに切る。ニンニクも小さめに切っておく。

3.全ての材料を大きめの鍋に入れ、ハンドミキサーでブレンダーしていく。

4.水分が少ないようであれば、水を足す。

5.冷蔵庫で冷やして召し上がれ!

イチゴとミントの葉で飾って

スイカのガスパチョ

材料:4人分(1リットル)

・完熟トマト 1/2kg

・スイカ  1/2㎏

・パプリカ  1/2個 

・ニンニク  1片  

・エクストラ・バージン・オリーブオイル  60ml  

・バルサミコ酢  大匙3杯

・バゲットパン  2~3切れ(約50g)  

・塩  適宜  

(好みで タマネギ 50g、キュウリ 50g)

作り方

1.バゲットパンをひたひたの水につけておく。

2.完熟トマト、すいか、赤パプリカを適当な大きさに切る。ニンニクも小さめに切っておく。

3.全ての材料を大きめの鍋に入れ、ハンドミキサーでブレンダーしていく。

4.水分が少ないようであれば、水を足す。

5.冷蔵庫で冷やして召し上がれ!

このレシピを教えてくれたスペイン人のお友達はセビーリャ出身のコックさんで、「胃にもたれないサッパリしたガスパッチョ」と言っていましたが、生のタマネギときゅうりが入っていないので食べやすく、私も私の家族もみんな大好きです。水の量、暑くて食欲がないときは水の量を多めにしてサラッとのど越しよく作り、しっかり食べたいときは、水の量を少し少なめにして食べたりしています。どうぞ、お好みに合わせて調節してみてくださいね。

スペインには色んな種類のトマトが一杯!