ひとしきり大晦日の夜ご飯が終わると、各人が12個のブドウを手にしてテレビの前に集まります。遅くても0時15分前にはテレビにスイッチを入れます。テレビをつけると、スペイン国営放送がマドリードのソル広場(Puerta del Sol) にある王立郵便局 (Real Casa de Correos) の時計台と、新年を迎えようとソル広場に詰め掛けている人々の姿が映し出されます。
ソル広場(Puerta del Sol) にある王立郵便局 (Real Casa de Correos) の時計台(写真: 筆者撮影)
もし大晦日の日にマドリードに滞在する機会があれば、あなたも是非12個のブドウ持参で王立郵便局 (Real Casa de Correos) 前でスペイン式に新年をお祝いしてみてはいかがでしょうか。きっと忘れられない一生の楽しい思い出になること間違いなしです!ブドウの皮をむいて種を取っておく準備をお忘れなく!
実は、レオン市ではここ20~25年位前からお目見えした古くて新しいレオン特有のクリスマスの飾り付けがあります。「クリスマスのラモ・レオネス(Ramo leonés de Navidad)」と呼ばれる飾り付けです。最近では、レオンの街中に大きなこの飾り付けが立てられたり、街中を歩いていると様々な店先でこの飾り付けを見ることができます。私が最初に留学した90年代前半には見たことも聞いたこともないものでしたが、今ではとてもポピュラーな飾り付けとなっています。
クリスマスのラモ・レオネスの起源は、キリスト教以前の時代まで遡ります。「ラモ・レオネス」の「ラモ(ramo)」とはスペイン語では木の枝という意味の言葉ですが、「Ramo leonés de Navidad」を直訳すると「クリスマスのレオンの枝」という意味です。つまりその起源には、キリスト教以前のヨーロッパ諸国で一般的だった自然崇拝があり、特に樹木崇拝があります。樹木崇拝は、春を迎える前兆としてまた冬至にまつわる祭事で豊穣の象徴として一般的なものでした。レオンにおける「ラモ・レオネス」も、豊穣を祈り春への序曲として捧げられていたものだったと考えられています。
1996年のクリスマスに、レオン伝統文化協会(La asociación ‘Facendera pola Llingua’)が、レオン語(ラテン語から派生した一つで、カスティージャ・イ・レオン州のレオン県とサモラ県の一部で話されている-ウィキペディアより)で書いたクリスマスカードに「クリスマスのラモ・レオネス」の絵を描き入れて大量に印刷して配ったことから、このレオンの伝統的な飾り付けが一般的に知られることになりました。