ちょっとスペイン語 -37-  (Dar calabazas a 人)1.[異性を]ふる 2. 落第させる、試験に落ちる

ここでは、ちょっとしたスペイン語の言い回しや、ことわざ、話し言葉など、辞書には載っていない単語も含めて紹介していきます。スペイン語を勉強している方には言葉の幅が広がるお手伝いができればいいなと、スペイン語には興味ないという方には雑学として楽しんでいただければいいなと思っています。

Dar calabazas a 人-1.[異性を]ふる 2. 落第させる試験に落ちる

今回は、同じ表現を使いながら、全く異なる意味を持つ言い回しを紹介します。両方の意味とも、スペインの話し言葉ではよく使われる言葉です。

 (Dar calabazas a 人)1.[異性を]ふる 2. 落第させる試験に落ちる

まずは1つ目の意味から。

¡Buaaa! ¡Estoy muy triste!

うわーん!悲しいよー!

¿Qué te ha pasado, María?

マリア、どうしたの?

Es que me ha dado calabazas…

振られちゃった……。

¿Quién? ¿Pedro?

えっ、誰に振られたの?ペドロ?

Sí. Pensaba que le gustaba a Pedro… pero no…

そう、ペドロも私のことが好きだとばっかり思っていたのに……。

¡Pobrecita!

かわいそうに!

この場合、主語はペドロで、Pedro da calabazas a mi となります。

次は2つ目の意味。

¿Qué tal fue el examen de la semana pasada?

先週の試験どうだった?

¡El profesor me dio calabazas! ¡Después de tanto estudiar!

不合格だった!あんなに勉強したのに!

この場合、主語は先生(El profesor)です。

どちらにしても、直訳すると「誰かが誰かにカボチャの実をやる」という意味です。面白い表現ですよね。カボチャの実を誰かにやることが、その人を振ることだったり、不合格にしたり落第したりすることを意味するなんて!この表現を使ってよくスペイン人は冗談を言ったりもします。

¿Qué tal este curso?

今年の勉強は上手くいってる?

Sí, este año hay buena cosecha de calabazas.

うん、今年はカボチャが豊作だよ。(不合格の教科が一杯)

この言い回しがどこから来たのかネット検索してみると、古代ギリシャから来た表現だとか。というのも、古代ギリシャでは、カボチャの実は、性欲を鎮めるか鈍らせる物質アナフロディジアック(Antiafrodisiaco)と考えられていたので、自分が好きではない人から言い寄られたり、告白されたりすると、カボチャの実を渡してその気がないことを相手に伝えていたということでした。

落第させたり、不合格にする意味でのカボチャの由来は見つかりませんでした。

どちらにしても、面白い表現なのでぜひ使ってみてくださいね。

娼婦とピクニック⁈ サラマンカの楽しいお祭り「ルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)」

今日(2025年4月28日)はサラマンカの人にとって特別な日。ルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)と呼ばれるお祭りの日です。このお祭り、現代に生きる私達にはビックリするようなルーツを持つお祭りですが、地元の人達は自分たちの伝統文化に誇りをもって楽しんでいるようです。

サラマンカ大聖堂(写真: 筆者撮影)

イースターの後のお祭り

キリスト教徒の国スペインでは、他のキリスト教徒の国々と同様に復活祭を祝う様々なお祭りがあります。サラマンカのルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)は復活祭の月曜日の次の月曜日に祝われ、一般的には復活祭の翌日の月曜日にお祭りが多いので、ひと呼吸おいてこのお祭りが行われることも特徴の一つかもしれません。

というのも、ひと呼吸おかなければならない理由がこのお祭りの起源にありそうです。

聖週間中には聖母マリアやキリストの受難等を表した山車が街を練り歩きます(写真: 筆者撮影)

フェリペ王子の結婚式

1543年11月12日、16歳だった王子フェリペ2世とポルトガルのマリア・マヌエラ王女はサラマンカの街で結婚することになっていました。サラマンカには、1218年にスペイン最古の大学であるサラマンカ大学が設立され、フェリペ王子の結婚式が行われた16世紀にはスペイン国内のみならず、世界中の学生がサラマンカ大学で勉強していました。当時、サラマンカには8千人以上の学生が住んでいたらしく、同じ時期のマドリードの人口が1万1千人だった(ウィキペディア参照)ことを鑑みると、驚くほど多くの学生たちがこの街に住んでいたようです。

サラマンカ大学ファサード(写真: 筆者撮影)

結婚式の祝賀は14日の夜から19日まで行われ、その間街中で王室主催の様々なパーティー、お祭り、馬上槍試合、伝統的な両陣営によるトーナメントなどが途切れることなく続きました。ところが王室主催以外にも、街中ではこれ幸いと、淫らな酒場や売春宿などでの一般市民や学生たちがお祭り騒ぎで賑わっていました。このどんちゃん騒ぎの様子に、敬虔かつ厳格な若きフェリペ2世は驚愕します。それもそのはず。サラマンカ大学は、知識の殿堂として、またヨーロッパのキリスト教の光として、神学・哲学・法学の研究を進めていたので、サラマンカは厳粛な街というイメージをフェリペ王子は抱いていたのです。ところが、その厳粛な街サラマンカには別の顔も兼ね備えていました。それは、ありとあらゆる娯楽を無制限にそして無秩序に楽しめるというものでした。

フェリペ2世の勅令

このことがよっぽど衝撃的なものだったのか、フィリッペ2世は、四旬節と聖週間の間、娼婦たちはサラマンカを離れ、対岸にある売春宿に閉じこもらなければならないという勅令を出します。つまり、娼婦たちは1ヶ月以上サラマンカの街から追い出され、学生等の男性たちは復活祭の月曜日の次の月曜日(ルーネス・デ・アグアス)まではジッと我慢していなければならなかったという訳です。そして、ルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)の月曜日には、堰を切ったように娼婦たちはボートで街に戻りました。

貝の家の窓(写真: 筆者撮影)

ルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)のお祭りに欠かせないオルナッソ(Hornazo)

彼女たちの帰還は、学生たちの間でお祭り騒ぎとなり、彼女たちを歓迎するために川までやってきて、酒を飲んだり、サラマンカの郷土料理であるチョリソやスペインソーセージ、ハムやゆで卵を詰めた人気のオルナッソ(Hornazo)と呼ばれる食べ物を振る舞い、彼女たちの帰還を大いに祝い楽しんだそうです。

これが、ルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)のお祭りのルーツです。

復活祭の翌日の月曜日はまだキリスト復活を祝う宗教的な意味合いの強いお祭りが多かった中、このような宗教的道徳に反するお祭りを祝うにはフィリッペ2世も躊躇したのでしょう。きっと、内心ではこのような破廉恥なお祭りは禁止してしまいたかったというのがフィリッペ2世の本音だったのでしょうが、流石にこれほど熱狂的に祝い、民衆から支持されていたお祭りを完全に禁止することは統治をする上でも得策ではないと考えたに違いありません。そのため、せめて復活祭からもう少し時間が経った次の月曜日までのひと呼吸をおくことになったのでしょう。

オルナッソ(Hornazo)(写真: 筆者撮影)

現在のルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)のお祭り

流石に、21世紀の今日ではサラマンカの街から追い出される娼婦もいませんし、娼婦たちとどんちゃん騒ぎをする男性も居ませんが、お祭りは無形文化財としても指定され、復活祭の月曜日の次の月曜日(ルーネス・デ・アグアス)の午後は、サラマンカ中の市民が思い思いにオルナッソ(Hornazo)と呼ばれるチョリソやスペインソーセージ、ハムやゆで卵を詰めたパイ持参で川沿いにてピクニックをしてお祝いしています。生憎お天気に恵まれない時は、ピクニックではなく友人や家族の家に集まってオルナッソ(Hornazo)を食べます。

オルナッソ(Hornazo)の中身は具が詰まっていて食べ応え十分です(写真: 筆者撮影)

ルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)の午後は、学校は勿論のこと様々な職場もお店も全て休みとなり、街中には人っ子一人いません。サラマンカの人達は皆、トルメス川沿いの原っぱでオルナッソ(Hornazo)を囲んで家族や友人たちとのピクニックを楽しんでいるからです。

大停電(Apagón)でもなんのその!

偶然、今日はスペイン中で大停電(Apagón)が起きたのですが、幸いここサラマンカはスペインの中でも電気の復旧が早く、約3時間半程の停電ですみました。でも、もともと午後はサラマンカ中のお店も役所も閉まってしまうルーネス・デ・アグアス(Lunes de Aguas)の日だったので、あまり大きな被害はなかったようです。その上、サラマンカのほとんどの市民は、お天気に恵まれたこともあり、トルメス川沿いでオルナッソ(Hornazo)を囲んでピクニックをしていたので、あまり電気を恋しく思うこともなかったとか。今年は特に大勢のサラマンカの人達が川沿いで楽しんだようです。

皆さんも来年の復活祭の月曜日の次の月曜日にサラマンカにいらっしゃる際は、是非オルナッソ(Hornazo)持参でトルメス川沿いへ行ってピクニックを楽しんでみませんか。

スペインでバードウォッチング!-種類別 スペインの野鳥 日本語名(カワセミ科)

ここでは、スペインに生息する野鳥の名前を、種類別に集めてみました。スペイン語名をクリックしてもらうと、スペイン鳥学会のホームページに飛びます。残念ながら日本語版はありませんが、英語での鳥の名前は出ています。スペインで野鳥観察されるとき、またはスペインの旅の途中で見かけた鳥のスペイン語名を知りたいときに、少しでもお役に立てれば幸いです。

カワセミ(学名:Alcedo atthis / 西 : Martín pescador)/(写真: アルベルト・フェルナンデス・メダルデ)

Martin pescador = カワセミ科

スペイン語日本語ラテン語//常駐/偶然
Martin pescadorカワセミAlcedo atthis常駐