スペインはタコ料理もいろいろ!タコとジャガイモの煮物(Pulpo con patatas)

スペインは西洋諸国の中でも珍しくタコを食べる習慣のある国。特にポルトガルの北にあるガリシア州ではタコ料理は有名です。プルポ・ア・フェイラ(Pulpo a feira)と言ったり、プルポ・ア・ラ・ガジェガ(Pulpo a la gallega)とも呼ばれているガリシアを代表する伝統料理です。日本でもスペイン料理レストラン等ではよくある料理の一つだと思います。

今回のタコ料理は、バスク地方出身のお魚屋さんから教えてもらったバスク家庭料理です。簡単でとっても美味しいので是非お試しください。

スペインの家庭料理は、美味しいレシピが一杯!(写真: 筆者撮影)

材料:4人分

・生ダコ             800g ~1kg

・ジャガイモ           5~6個(中)

・玉ねぎ             1/2個(中)

・トマト             1 個  

・ニンニク            1片

・塩               適宜

・スペインパプリカ        小匙1~2杯

・オリーブ油           大さじ3~4杯

・イタリアンパセリ        適宜

作り方

まず最初に、ソフリート(sofrito)と呼ばれる香味ベースを作る。このタコ料理に使われるソフリートは、玉ねぎ・トマト・ニンニクが使われる。

1.玉ねぎはみじん切りにして、鍋に多めのオリーブ油(大さじ3~4杯)で、中弱火でゆっくりと気長に炒める。

玉ねぎがひたひたに浸るくらいのオリーブ油をいれます(写真: 筆者撮影)

2.玉ねぎをよく炒めたら、皮をむいてみじん切りにしたトマトとニンニクのみじん切りを入れて、更によーく気長に炒める

とにかく焦らず気長にゆっくりとソフリートを作ります(写真: 筆者撮影)

3.15分~20分位してソフリート(sofrito)ができたら、一口大に切った生ダコを入れてよく混ぜ、蓋をして中弱火で煮る。

生ダコはこんな感じ(写真: 筆者撮影)
タコは縮むので、少し大きめに切った方が良いかも(写真: 筆者撮影)

4.タコが柔らかくなり始めたら(15~20分位)、ジャガイモをペティナイフ等で割りながら一口大にしたものを3の鍋に入れる。少し塩とスペインパプリカを入れて混ぜ、更に15~20分位中火で煮る。

こんな感じで、ジャガイモはペティナイフ等で割ります(写真: 筆者撮影)

5.ジャガイモが柔らかくなったら味をみて整え、みじん切りにしたイタリアンパセリを加え、一煮立ちしたら火を消して出来上がり!

もう少し煮込んだほうがよいかな(写真: 筆者撮影)

スペインの家庭では、ジャガイモをフォークの背で潰して、たっぷりかけたソースに絡ませて食べるのが普通です。確かに、食感も異なり、ソースの絡み具合が絶妙で、グレードアップされます。是非お試し下さい!

ジャガイモをフォークの背で潰した状態(写真: 筆者撮影)

スペインのイチオシお菓子-カスティジェハ・デ・ラ・クエスタの焼き菓子 (Tortas de Aceite de Castilleja de la Cuesta)

美食の国スペイン。スペインと言えばバル!バルと言えばピンチョ!ピンチョと言えばトルティージャ・デ・パタタ(スペインオムレツ)!と連想ゲームの様に次々と出てきますが、スペインのお菓子と言えば何が思い浮かびますか?数年前に日本ではちょっとしたブームになった「バスクチーズケーキ」が思い浮かぶ人もいるかもしれません。でも実はこの「バスクチーズケーキ」ってスペイン人の中では全く知られていないお菓子です。サンセバスチャン発祥のお菓子ですが、スペイン国内ではサンセバスチャンでしか食べれないお菓子かもしれません。遠い東の果ての国日本でブームになったのは奇跡かも⁈

欧州連合(EU)のTSG – 伝統的特産品保証付きのお菓子

さて、今回紹介するスペインの一押しお菓子は、欧州連合(EU)の品質認証に登録され、スペインの「本物の美味しさ」を保証している「伝統的特産品で美味しいもの」の一つに認証されている「トルタス・デ・アセイテ・デ・カスティジェハ・デ・ラ・クエスタ(Tortas de Aceite de Castilleja de la Cuesta)」というお菓子です。

日本語に訳すと「カスティジェハ・デ・ラ・クエスタの焼き菓子(筆者訳)」という意味。「カスティジェハ・デ・ラ・クエスタ」は、スペイン南部アンダルシア地方のセビージャの街の中にある地区の名前です。セビージャのカスティジェハ・デ・ラ・クエスタという地区の伝統菓子になります。

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6枚入りのシンプルなパッケージ(写真: 筆者撮影)

「トルタス・デ・アセイテ・デ・カスティジェハ・デ・ラ・クエスタ(Tortas de Aceite de Castilleja de la Cuesta)」の特徴

上の写真でもお分かりになるかもしれませんが、材料にエキストラバージンオリーブオイルが24%も使われている贅沢なお菓子です。

材料は、小麦粉、砂糖、ゴマ、アニス、塩、アニスエッセンス、そしてエキストラバージンオリーブオイルです。ゴマやアニスが入っているため風味も良く、薄く伸ばした生地を焼いてあり、パイ生地の様なサクサク感が特徴です。

エキストラバージンオリーブオイルの割合が多いので扱いにくいのが特徴で、なんと一つ一つ丁寧に手作業で生地を練り、熟練した作り手が丸い形に伸ばして焼いていきます。

一枚一枚、油紙に包んで食べやすいようにしてあります(写真: 筆者撮影)

「トルタス・デ・アセイテ・デ・カスティジェハ・デ・ラ・クエスタ(Tortas de Aceite de Castilleja de la Cuesta)」の歴史

前述したように、元々はセビージャの街のカスティジェハ・デ・ラ・クエスタ地区の伝統的で家庭で作られていたお菓子で、徐々にアンダルシア西部にも広まっていきました。特に、復活祭の間に作られていたらしく、きっと卵が入っていないお菓子なのでその時期に食べられていたのでしょう。というのも、スペインでは9世紀から18世紀にかけて、教会が聖週間の間肉や卵を食べることを禁じていたのです。

そして1910年、セビージャに住むイネス・ロサレス(Inés Rosales)という名前の女性が、セビージャの街のカスティジェハ・デ・ラ・クエスタ地区から約30㎞ほど離れたアルハラフェ(Aljarafe)という町にあった自分の家のレシピ本からこの伝統的なお菓子のレシピを救い出して、製造・販売を始めました。名前も「イネス・ロサーレスの焼き菓子(筆者訳)」と命名され、この女性起業家の名前が冠されています。

レトロなパッケージ

上の写真を見てください。「イネス・ロサーレスの焼き菓子(筆者訳)」は、一枚一枚丁寧に油紙に包まれています。これは、パイ生地の様に壊れやすいお菓子を守るため、油脂の配分が多いお菓子なので手が脂っこくならないため、食べやすくするために工夫されたパッケージです。

製造・販売当時からこのスタイルで包装されていたのかどうかは分かりませんが、会社の所在住所と電話番号が包装油紙に印刷されています。そして、電話番号(TELÉFONO)が「30」と印刷されているのが見えます。1910年当時、まだまだ電話を所有する人が稀だったので、電話番号が30という、今では驚くような番号でした。今も当時のままのレトロなパッケージ、包み方にとてもほっこりさせられますね。

色んなフレイバーを楽しもう!

オリジナルレシピの他にも色んなフレイバーが楽しめます。

まずこちらはオレンジ。

スペイン語でオレンジは、「ナランハ(Naranja)」といいます(写真: 筆者撮影)

こちらはレモン。

レモンは、スペイン語でも似た発音「リモン(Limón)」(写真: 筆者撮影)

そして、シナモンもあります。

シナモンは、スペイン語では「カネラ(Canela)」と言います(写真: 筆者撮影)

個人的にはアニスとゴマの風味たっぷりなオリジナルレシピの味が一番お薦めですが、他の味のお菓子もとっても美味しいですよ!残念なのは、スペインから日本へのお土産にするにはあまりにも壊れやすい繊細なお菓子だということ!それでも、わざわざ箱に入れて緩衝材を詰め日本にお土産として持っていき家族や友人に渡すと、皆口をそろえて「これ、美味しいね!」って言われるお菓子の一つです。

是非、スペインにいらっしゃったら食べてみてください!手軽にスーパー等でも手に入りますよ。ただ気を付けてほしいことは、似たようなお菓子が他にも売っていますが「イネス・ロサーレスの焼き菓子(筆者訳)」ほどおいしいのは無いので、このレトロなパッケージを忘れずにお買い求めください。

参考

・イネス・ロサレス(Inés Rosales)社のウエブサイト

https://www.inesrosales.com/tortas-de-aceite-dulces-ines-rosales/torta-aceite-original

・「TSG – 伝統的特産品保証」についての説明があるイネス・ロサレス(Inés Rosales)社のサイト

https://www.tortasdeaceite.com/selloetg.php

・在日欧州連合部の公式ウエブマガジンに「TSG – 伝統的特産品保証」についての説明があります。

お手軽ランチにももってこい!ツナ缶のクリームチーズディップ(Dasha Dip)

このディップはチェコ人の友人から教えてもらったものなので、スペイン料理ではないのですが、手軽に作れて私の周りの日本人もスペイン人も皆大好きなディップなので、公開しちゃいます!私はチェコの友人の名前を付けて「ダーシャ・ディップ」と呼んでいます。(^^♪

材料:4人分

・ツナ缶               1缶(80g)

・玉ねぎ               少々

・クリームチーズ           6 個 (100~110g)

・小ねぎ               少々 

・塩                 適宜

・エキストラバージンオリーブオイル  大さじ1~2杯

作り方

  1. 玉ねぎと小ねぎははみじん切りにする。
醤油さし小皿にいれたもので、こんな感じの量です

2. ツナ缶の水分は良く切っておく。

3. ボールにクリームチーズとツナ缶を入れてフォークを使って潰しながらよく混ぜる。

お薦めのクリームチーズは「Kiri」日本にも売っています(^^♪

4. 塩、エキストラバージンオリーブオイルを適宜入れクリーム状にし、1の玉ねぎと小葱のみじん切りを入れて味を見て、出来上がり。

よく混ぜ合わせクリーム状になったら出来上がりです

軽く焼いたフランスパンでサンドウィッチにしたり、カナッペにして食べると美味しいですよー!

カナッペだといくつでもパクパクと食べれます(笑)

超簡単、超おいしい!ムルシア風ズッキーニの卵とじ(Zarangollo murciano)

我が家の畑は、連日食べきれないほどの大量のズッキーニの収穫で大変!ズッキーニの大量消費レシピがないかなと思っていたら、スペイン人の友人がこのレシピを教えてくれました。スペイン南部ムルシア地方の郷土料理だそうです。名前はサランゴージョ・ムルシアーノです。サランゴージョという名前の料理はエストレマドゥーラ地方の郷土料理もあるそうですが、こちらはムルシア地方の料理です。早速作ってみると、とっても素朴な味でした。集まりの料理にももってこいです!

材料:4人分

・ズッキーニ           2~3本

・玉ねぎ             1/2~1 個(中)

・卵               3 個  

・塩               適宜

・黒胡椒             好みで

・オリーブ油           大さじ4杯

作り方

  1. 玉ねぎは薄切りにする。
切った玉ねぎの薄切り

2. ズッキーニは縦半分に切り、薄切りにする。

皮はむかずにそのままでもO.K. 今回はピーラーを使って部分的に皮をむきました

3. フライパンにオリーブ油大さじ4を入れる。温まったら1の玉ねぎの薄切りを入れて中強火で約1分間炒める。

しっかり油をなじませて

4. その後、2のズッキーニの薄切りを入れてさらに中強火で約5分間炒める。

結構な量なので大きめのフライパンで炒めてください

5. 塩をして、火を中弱火にして20分~30分程気長に炒める。

野菜のかさが減ってクタッとなってくるまで、気長に炒めることがポイント

6. 野菜のかさが減りかなりクタクタになってきたら、卵を割り入れ、黄身を混ぜながら卵とじを作る。

直接フライパンの中に卵を割り入れるところがとてもスペインらしい!
木べらで卵の黄身を崩しながら混ぜて、卵とじにしていく

7. 味見をして、塩が足りなければ足し、好みで黒胡椒を入れる。

黒胡椒はお好みで。黒胡椒を入れない人も多いそうです

8. トロトロっとクリームっぽくなったら出来上がり。

¡Qué aproveche!

別のバージョンで、ジャガイモを入れる「サランゴージョ・ムルシアーノ」もあるそうです。ボリューム感が欲しい方にはジャガイモ入りもいいかもしれませんね。

フランスパンを薄切りにして、その上にのせてカナッペの様にして食べても美味しいですよ!

焦らずゆっくりと野菜がクタクタになるまで炒めるのがポイントです!簡単なので是非挑戦してみてくださいね!

グリーンピースの大量消費はこれ!生ハム入りグリンピース(Guisantes con jamón)

もう6月に入ったので、日本ではグリーンピースの時期が終わってしまっている頃かもしれませんが、私が住むカステージャ・イ・レオン州のサラマンカでは秋に植えていた畑のグリンピースの収穫が5月末から始まりました。今年は例年に比べて沢山種を撒いて育てていたので、大量の収穫で幸せ一杯な気持ちになっています。(笑)

今回は、とっても簡単で、スペインではとてもポピュラーな「生ハム入りグリンピース(Guisantes con jamón)」のレシピをお届けします。

我が家の畑で収穫した大きなザル一杯のグリンピース(写真: 筆者撮影)

材料:4人分

・グリーンピース         800g(缶詰や冷凍の物でも可)

・料理用生ハム          100g(またはベーコン)

・ニンニク(みじん切り)     2片

・小麦粉             大匙1杯

・パプリカ            小匙2杯    

・塩               適宜

・オリーブ油           大さじ4杯

・イタリアンパセリ(みじん切り) 適宜

作り方

1.さや付きの場合はさやから豆を取り出して、熱湯に塩少々入れて柔らかっくなるまで約5分程煮てザルにあげておく。その際、煮汁は50ml程残してとっておく。

缶詰の場合は煮る必要はないです。(写真: 筆者撮影)

2.フライパンにオリーブ油を入れて中火で熱し、小さく切った料理用生ハムを入れて炒める。

軽く炒めます(写真: 筆者撮影)

3.2~3分ほど炒めたら小麦粉を入れて弱火にし、小麦粉を煎り付けるようにして炒める。

小麦粉をいれたところ(写真: 筆者撮影)

4.小麦粉が少し茶色っぽく色が変わってきたところで、パプリカを入れ更に弱火で炒める。

パプリカが焦げないように気を付けて!(写真: 筆者撮影)

5.1の下茹でしていたグリンピースを4のフライパンに入れよく混ぜ、みじん切りにしたニンニクも入れる。

グリンピースとニンニクが入りました(写真: 筆者撮影)

6.1で取っておいたグリンピースの茹で汁50mlを入れよく混ぜ、最後にみじん切りにしたイタリアンパセリを入れる。塩加減を見て、必要であれば塩を足す。

これで出来上がりです(写真: 筆者撮影)

7.お皿に入れて ¡Qué aproveche!

お皿にたっぷり盛って沢山食べるのがスペイン風。

今回は畑で収穫したグリンピースを使いましたが、缶詰を使うと下茹でする一手間が省けます。

料理用生ハムを入れるのがやはりスペイン料理!なのですが、日本で手に入らない場合は、ベーコンでも大丈夫です。ただ、矢張り同じ味には仕上がりませんが・・・。

もし余ったら、トルティージャ・デ・パタタス(Tortilla de patatas)ならぬトルティージャ・デ・ギサンテス(Tortilla de guisantes)を作ってもとっても美味しいですよ。我が家はいつも多めに作ってトルティージャ・デ・ギサンテス(グリーンピースのオムレツ)を作ってこの生ハム入りグリンピース料理を二度楽しんでいます。(笑)

トルティージャ・デ・パタタス(Tortilla de patatas)のレシピはこちらです。

ピリ辛!煮込み鶏肉料理 (Pollo cabreado)

家計に優しい鶏肉は普段料理で活躍してくれる主婦の味方です。私が住むサラマンカのレストランでは地元のイベリコ豚を使った豚肉料理が多いのですが、一般家庭では鶏肉料理もよく食べられています。今回の鶏肉の煮込み料理は、知人の神父様から頂いたオリジナルレシピです。辛いスペイン料理は珍しいのですが、スペインでは辛くするために辛いパプリカや唐辛子、ピパーラ(Piparra)と呼ばれるバスク地方名産の唐辛子等を使った料理が一般的です。今回の料理は唐辛子が使われています。

ピリ辛!煮込み鶏肉料理 (Pollo cabreado)

材料:4人分

・鶏ぶつ切り肉     600~800g

・玉葱         1個

・ニンニク       2~3片(お好みで)

・唐辛子        1~2本(お好みで)

・白ワイン       100ml    

・塩          適宜

・オリーブ油      大さじ4杯(できればエキストラ・バージンオリーブ油)

作り方

1.ニンニクを切りすり鉢で軽く擦る。

私はニンニクたっぷり味が好きなので表示分量より少し多めに入れています。(写真: 筆者撮影)

2.1のニンニクにオリーブ油大さじ2杯と白ワインを100ml程入れて、更に軽く擦り混ぜる。

エキストラバージンオリーブオイルを使うとこんな感じの色になります。(写真: 筆者撮影)

3.鍋にオリーブ油大さじ2杯を敷き、熱くなったら鶏ぶつ切り肉を入れて中強火で焦げ目をつけていく。その後火力を弱中火に下げ、やや大きめに切った玉ねぎを鍋に入れて鶏ぶつ切り肉と一緒に炒める。

玉ねぎは俎板の上で切るのではなく、直接鍋の上でペティナイフを使いながら適当に切っていくのがスペイン風。(写真: 筆者撮影)

4.玉ねぎが少しクタッとなってきたら、予め種を取り除き適当にちぎった唐辛子をいれ更に炒める。

唐辛子はお好みで。(写真: 筆者撮影)

5.2の擦ったニンニク・エクストラバージンオリーブ・白ワインを4の鍋に入れて、鶏ぶつ切り肉に絡ませる。塩もお好みで入れる。鶏肉が柔らかくなるまで煮込む。水分が足りなくなったら、途中で水を差す。最後に味を見て塩味が足りなければ塩を足して出来上がり。

ソースをたっぷりかけてパンに付けながら食べると更に美味!(写真: 筆者撮影)

神父様が教えて下さった「祝福された」ピリ辛の鶏肉の煮込み料理です。ちなみにスペイン語の名前はポージョ・カブレアード(Pollo cabreado)ですが、直訳すると「怒っている鶏肉」という意味で、ピリッと辛い味を「怒っている」と表現しているスペイン人の感覚が面白いですね。この名前も神父様ご自身が名付けられたものです。

日本でも手軽に材料調達できて至ってシンプルな料理ですので、是非ご家庭で試されてくださいね。

ピカーダ (picada) で味付けしたコウイカと肉団子 (Sepia con albóndigas)

ピカーダ (picada) と呼ばれる調理技法をご存じでしょうか?カタルーニャ地方料理には欠かせない調味料のようなソースです。ソースと言っても単品で使うマヨネーズなどとは異なり、調理の中で使われるものです。私が住むカステージャ・イ・レオン州では全く使われない調理技法で、ピカーダ(Picada)入りの料理を作ると一気に地中海沿岸を連想させてくれます。

今回は、日本でも簡単に材料が手に入るコウイカと肉団子 (Sepia con albóndigas) のレシピを紹介します。

コウイカと肉団子 (Sepia con albóndigas)

材料:食欲旺盛な人4人分

・コウイカ             800g

・玉葱                1個

・トマト              2~3個

・魚の骨のだし           1/2ℓ

・小麦粉              150g          

・塩                 適宜

・オリーブ油             大さじ 4杯

肉団子用の材料

・豚挽き肉             250g

・卵                1個

・ニンニク             1片

・イタリアンパセリ          少々

・牛乳に浸したパン          一切れ 

・塩胡椒               適宜

ピカーダ (picada) 用の材料

・ニンニク             1片

・トーストしたアーモンド      20粒

・ハーゼルナッツ          4粒

・松の実               小匙1杯

・白ワイン             125㎖

作り方

1.コウイカを一口大の大きさに切り、鍋にオリーブオイル少々をひいて中火で炒める。炒めたら一旦鍋から取り出しておく。

一口大の大きさに切ったコウイカ

2.みじん切りにした玉ねぎを同じ鍋に入れて中火で炒める。更に、皮と種を取りみじん切りしたトマトを入れて炒める。

みじん切りにした玉ねぎとトマトを炒め、トマトの水分が無くなるまで気長に煮詰めてください。

3.トマトの水分が無くなったら、1のコウイカを鍋に戻し入れる。10分ほど弱火で炒めたら魚の骨のだしと塩少々を加え、更に25分間煮る。

コウイカを戻し入れて、みじん切りにした玉ねぎとトマトとよく混ぜます。

4.その間、肉団子用の材料をボールに入れて全てをよく混ぜ合わせる。小さめのコップに小麦粉を少し入れて、一口大の大きさの肉団子を作ってコップに入れて小麦粉をまぶす。

小さなコップに少量の小麦粉をいれ、一口大の大きさの肉団子を入れて小麦粉にまぶしながら形を整えます。こんな感じです。

5.小麦粉をまぶした肉団子を、オリーブオイルを敷いたフライパンに入れて万遍なく焼く。焼いた肉団子の油をよく切り、3の鍋に入れ中火で10分間煮る。

肉団子を上手に動かしながら、全面を焼いていきます。この段階では中まで火が通る必要はなく、肉団子の形が壊れないように焼き付ければ大丈夫です。

6.煮ている間にピカーダ (picada) を作る。ニンニクは小さく切り、すり鉢に白ワイン以外のピカーダ (picada) 用の材料を全て入れて潰し、少しづつ白ワインを加えながら、ソース状になるまですり潰していく。

少しずつ白ワインを加えながら、この写真の様にソース状にします。

7.5の鍋に6のピカーダ (picada) を入れて、更に5分間煮る。味見して味を調える。

味見をして、塩加減が丁度良ければ出来上がりです。

肉団子とコウイカの絶妙のコンビ、そして最後に入れるピカーダ (picada) によってスペインの地中海料理独特の味を楽しむことができます。是非、作ってみてくださいね。

スペインのカーニバルのお菓子いろいろ

今年は、2月9日(金)から13日(火)まではカーニバルです。このお祭りは太陰暦で行われるため、イースター(復活祭)の時期によって毎年日付が変わります。具体的には、イースター(復活祭)の日曜日から遡って47日目の火曜日です。イースター(復活祭)は、春分の日以降の満月の日の次に来る日曜日と定められていて、毎年少しずつ当たる日が違います。今年は、3月31日(日)がイースター(復活祭)です。

さて、カーニバルと聞いて何を想像しますか?一番有名なカーニバルのお祭りはやはりブラジルの「リオのカーニバル」でしょうか。スペイン国内では、アフリカ大陸の横に位置するスペイン南部の諸島サンタ・クルス・デ・テネリフェのカーニバルが一番有名かもしれません。気候的にもスペイン本土とは異なり暖かい気候ということも手伝って、ブラジル的なリズミカルで奔放かつスペクタクルなカーニバルです。こちらは15日間に亘ってお祭りが開催されます。

クライマックスの日は火曜日のカーニバル(Martes de Carnaval)と呼ばれる最後の日です。ただ、学校以外の普通の社会人や大学生はその日は休日ではないので、その前の土曜日や日曜日に仮装して出かける人も多いですね。

その華やかなカーニバルの期間前から、街のお菓子屋さんでは地方色豊かなカーニバルのお菓子が出回ります。今回は、それらのお菓子について紹介します。

・オレハス・デ・カルナバル(Orejas de Carnaval)

パリパリっとした食感も楽しめる(写真: 筆者撮影)

オレハス・デ・カルナバル(Orejas de Carnaval)という名前の通り、スペイン西北部のレオン県やガリシア州でポピュラーなカーニバルの時期に食べるお菓子です。オレハス(orejas)というのは、スペイン語では「耳」を意味する「Oreja(オレハ)」の複数形です。「カーニバルの耳」というのがこのお菓子の名前ですが、一体何の耳を指しているのでしょうか?実は、豚の耳をかたどったものだと言われています。

カーニバルは、毎年日にちは異なるものの2月に行われます。昔からスペインでは、2月に豚を殺しその肉を使ってチョリソー(Chorizo)等のいわゆるソーセージやサラミを作ってきました。これは、農作物が少ない冬の間の貴重な食糧、保存食として昔から行われているスペイン語ではマタンサ(Matanza)と呼ばれる豚の屠殺です。

また、カーニバルの最終日が終わる次の日からは、キリスト教徒の間では復活祭(イースター)に向けて四旬節と呼ばれる断食の犠牲を伴う時期に入ります。基本的には、肉食を絶つ、食事の量を控えるということでしたが、キリスト教では主日(日曜日)には断食をしない習慣なので日曜日には普通に食事をしていました。

ただ、「肉食」の中には豚足や豚の耳は含まれておらず、「肉」の代用食として四旬節中にも食べられていました。そして、カーニバルの時期に重なるマタンサ(Matanza)-豚の屠殺-の習慣とこれから始まる四旬節中の断食の時期でも「肉」の代用として食べることができた豚の耳が民衆の間で上手く融合したことにより、カーニバルの時期に食べる「豚の耳」をかたどったお菓子が登場してきたという訳です。(ディアリオ・デ・レオン「Diario de Leon」2021年2月10日付新聞記事より)

この説がどこまで本当なのかは分かりませんが、このお菓子はとても素朴で美味しいので、カーニバルの時期は勿論、お菓子屋さんによっては1年中販売しているところもあります。是非、お試しください!

・フローレス・デ・カルナバル(Flores de Carnaval)

花の形が可愛い!(写真: 筆者撮影)

こちらは、花をかたどったお菓子で名前も「カーニバルの花」という可憐な名前です。オレハス・デ・カルナバル(Orejas de Carnaval)と同様に揚げ菓子です。

可愛い花をかたどった型。お菓子作りが大好きなお友達にはお土産にしても喜ばれそう!(写真: 筆者撮影)

カステージャ・ラ・マンチャ州やガリシア州、エクストレマドゥーラ州など、スペイン各地で見られるお菓子です。上の写真はレオン市のお菓子屋さんで買い求めたもので、「レオン市でもカーニバルの時期に食べるお菓子の一つだよ」と教えてくれました。レオン市は、今はカステージャ・イ・レオン州の中の一つですが、歴史的にはカステージャ王国とは別のレオン王国が存在していて、当時のレオン王国は今のガリシア州も領土の一部として統治していたこともあり、今のガリシア州と共通する食べ物や習慣も多々あります。

スペイン近代化の中で、歴史的には同じ王国だった場所が分裂されたり統合されたりして今の州制度が成立していますが、長い間培われた食文化は人々の生活の中ではしっかりと根ざしていて、今現在も食され、人々から愛され続けていることは興味深く、脈々と受け継がれてきた伝統文化を感じさせられます。

・カサディエージェス(Casadielles)

こちらは揚げ菓子バージョンではなく、パイ生地バージョンの「カサディエージェス(casadielles)」(写真: 筆者撮影)

最後に紹介するカーニバルの時期に食べるお菓子は、スペイン北部のアストゥリアス州の「カサディエージェス(casadielles)」です。こちらは、クルミを中に詰めた包み揚げ菓子で、アストゥリアス地方のある地域ではクリスマスに広く食べられ、他の地域ではカーニバルのお祭りで食べられています。どちらにしても、アストゥリアス州ではそのシンプルさと味の両方で人気のあるデザートの一つです。

その起源については、ローマ時代以前にアストゥリアス人が作り始めたとする説があります。アストゥリアス人(astur)はナッツ類を集める民族であったため、レシピにこれらの食材を多く使っていたと考えられているからです。

こちらのお菓子はスペインの他の州では食べれないお菓子なので、もしスペイン北部のアストゥリアス州に訪れる機会がある方は、食べてみられることをお薦めします!

クリスマスディナーにどうぞ!豚肩ロースのハーブオーブン焼き(Lomo de cerdo con hierbas al horno)

もうすぐクリスマスです。今年のクリスマスイブは日曜日に当たるので、自宅でちょっぴり豪華な夕食を楽しんでみませんか。この料理はスペインの典型的なクリスマス料理ではなく、普段に食べるものですが、勿論クリスマスでも食べれます。スペインではクリスマスで食べる時は、普通の豚肉ではなくイベリコ豚の肩ロースを使ってちょっと贅沢な気分を味わったりします。また、最後にお洒落なポルトーワインソースのレシピも紹介しますので、最後までお楽しみに!

豚肩ロースのハーブオーブン焼き(Lomo de cerdo con hierbas al horno )

材料:4人分

・豚肩ロースかたまり        600~800g

・玉葱                 1個

・ローズマリー           小さじ1/2杯

・タイム              小さじ1/2杯     

・塩                 適宜

・オリーブ油             大さじ 4杯

作り方

1.玉ねぎは半分に切り、薄切りにする。玉ねぎが大きい場合は、更に半分に切ったうえで薄切りにする。

ちょっと大きめの玉ねぎだったので半分の半分に切っています

2.オーブンを180℃に温めておく。

3.豚肩ロースかたまりをオーブン用の耐熱容器にいれ、軽く塩を振り、オリーブ油大さじ1杯を刷り込む。ローズマリー、タイムも満遍なく振りかけておく。

肉の下に薄くオリーブ油(分量外)を引いておくと焦げにくくなります

4.1の切った玉ねぎを肉の周りに置き、玉ねぎにも軽く塩を振り、残りオリーブ油大さじ3杯を上からかける。

まるで玉ねぎのベッドにお肉が寝ているよう(笑)

5.4をオーブンに入れて20分程焼く。その後肉をひっくり返し、玉ねぎが焦げないように軽く混ぜる。更に、20分程焼く。

6.竹ぐしを刺して赤い汁が出なければ、オーブンの火を消す。まだ赤い汁が出るようであれば、もうしばらく焼く。焼きすぎると肉がパサつくので、焼きすぎないよう気を付けて!

切った後、玉ねぎと混ぜ合わせても良し、切ったままの状態でテーブルに出すのも良し

7.食べやすい厚さに切り分け、リンゴのコンポートや焼きピーマンと一緒にどうぞ。

このままでも十分美味しいですが、付け合わせにりんごのコンポートや焼き赤ピーマンもよく合います。この写真ではリンゴのコンサートを添えています

今回はクリスマス用ということで、豚肩ロースのオーブン焼きによく合うお洒落なポルトーワインソースも紹介します。

ポルトーワインソース(Salsa de oporto )

材料:作りやすい分量

・ポルトーワイン          220㏄

・砂糖           150g

作り方

1.鍋に砂糖を入れ、その上からポルトーワイン150㏄を入れて、最初は強火、沸騰後は弱火にかけ、30分程煮詰める。

2.煮詰まったら、残りのポルトーワイン70㏄を入れ、更に10分程度煮詰めて火を止める。

作り方は至って簡単ですが、ササっと塩焼きした豚肉や鶏肉にかけて食べると相性良く、グレードアップされます。このソースは、瓶に入れて冷蔵庫で保存すると半年はもちます。冷やしていると固まるので、使う前に少し湯煎するか、電子レンジで温めることをお薦めします。

諸聖人の日(Día de Todos los Santos)に食べるスペインのお菓子色々

毎年11月1日は、「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」としてスペインでは祝日です。これは、カトリック教会の祝日の一つ全ての聖人と殉教者を記念する日で、古くは「万聖節」と呼ばれていました。そして翌日11月2日は死者の日に当たります。既にこの世を去ってしまった家族や友人などに思いを馳せながら、お墓参りをしたり家族で集まって故人を偲んだりします。日本のお盆のようなものと考えてもらえば分かりやすかもしれません。

家族が集まれば、矢張りみんなでワイワイ語りながら食事やお菓子を食べるのはどこの国でも同じこと。日本では、昔に比べるとお盆をお祝いする習慣は廃れてきていると思いますが、それでも地方などではお盆には家族で集まり食事をしたり、落雁を食べる機会もあるでしょう。ここスペインでもこの日はいろいろなお菓子を食べる習慣があります。今回は、諸聖人の日(Día de todos Los Santos)に食べる様々なスペインのお菓子を紹介します

ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)

左側のものは、ココナッツを使い形も骨っぽく仕上げています(写真: 筆者撮影)

「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」というは、「聖人の骨」という意味です。日本人の感覚からはちょっと驚きの名前ですが、スペイン人にとっては愛情をこめて死者を象徴する「骨」を食べているようです。もともとカトリック教会では、イエス・キリストや聖母マリアの遺品、キリストの受難にかかわるもの、また諸聖人の遺骸や遺品を「聖遺物(Reliquia)」として大切に保管し、聖人とその遺物に加護と神への取り次ぎを求める願掛けや治癒の奇跡を含む様々な宗教実践が形成されてきました。(ウィキペディアより)もしかすると、「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」という「聖人の骨」を表したお菓子を食することにより、庶民のささやかな願掛けや病気で苦しんでいる人の治癒の奇跡を望む切実な願いが込められていたのかもしれません。

ちょっと敬遠したくなるような名前のお菓子ですが、アーモンドの粉と砂糖を練り合わせたマジパンの中に卵黄を使ったクリームが入っていて、結構食べ応えのあるお菓子です。「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」の最初のレシピとしては、1611年、スペイン王フェリッペ2世の厨房責任者フランシスコ・マルティネス・モンティーニョ(Francisco Martínez Montiño)著書「料理・菓子・スポンジケーキ(ビスコッチョ)・保存食の方法『Arte de Cocina, Pastelería, Vizcochería y Conservería』」(筆者訳)に記載されていました。

私が住むカステージャ・イ・レオン州では、「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」に食べる定番のお菓子ですが、スペイン中色んな所で食べられているようです。マジパンの生地に様々な味と色を付けてカラフルな「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」が最近では出回っています。

上からオレンジ味、キーウィ味、イチゴ味の「ウエソス・デ・サント(Huesos de Santo)」(写真: 筆者撮影)

ブニュエロス・デ・ビエント(Buñuelos de viento)

諸聖人の日(Día de todos los Santos)には欠かせないブニュエロス・デ・ビエント (Buñuelos de viento)(写真: 筆者撮影)

ブニュエロス・デ・ビエント (Buñuelos de viento)は、ピンポン玉程の大きさで一口サイズの揚げシュークリームです。とても美味しく手食べやすいサイズということも手伝い、ついつい何個でも食べてしまう魅惑のお菓子です。(笑) 

ブニュエロス・デ・ビエント (Buñuelos de viento) の「ブニュエロス (Buñuelos)」は、小麦粉を使った生地を丸めて油で揚げたお菓子のこと、「ビエント(Viento)」は、「風」という意味ですが、ここでは「デ・ビエント (de viento)」で、「膨らんだ(hinchados)」という意味です。この揚げ菓子の中にカスタードクリームやスペインではカベージョ・デ・アンヘル(Cabello de angel)と呼ばれている金糸瓜(またはそうめんかぼちゃ)を使ったクリーム、チョコレートクリームや生クリーム等が入っています。

諸聖人の日(Día de todos los Santos)に食べるお菓子の中でも一番ポピュラーなお菓子です。私が住むサラマンカでは、美味しいお菓子屋さんに前もって予約して10月31日頃から買って食べている人が多いようですね。

パネジェッツ(Panellets)

カタルーニャ州・バレンシア州・バレアレス諸島等で最も伝統的かつポピュラーなお菓子で、アーモンドを使った小さなマジパンに様々な風味を加えてあり、色んなバリエーションを楽しめます。

ちなみに、「パネジェッツ(Panellets)」は、欧州連合(EU)の品質認証に登録され、スペインの「本物の美味しさ」を保証している「伝統的特産品で美味しいもの」の一つに認証されています。これは、伝統的特産品保証(TSG=Traditional Specialties Guaranteed)と呼ばれるもので、本物の「パネジェッツ(Panellets)」は、マジパンに、アーモンド以外のでんぷん(ジャガイモまたはサツマイモ)やリンゴを加えることや保存料、着色料の添加は禁止されていて、伝統的かつ安全な食べ物であることが保証されています。(スペイン農業・漁業・食品省のウエブサイト「伝統的特産品保証TSG(Traditional Speciality Guaranteed)」参照) 但し、お店などで売っているものは、サツマイモが入っているものが一般的のようです。

前述の通り「パネジェッツ(Panellets)」にはバリエーションが多く、カタルーニャ州・バレンシア州・バレアレス諸島に訪れる機会があれば、「パネジェッツ(Panellets)」の食べ比べをされるのも一興でしょう。代表的な「パネジェッツ(Panellets)」を紹介します。

バリエーション豊かで可愛いパネジェッツ(Panellets)」(写真: Wikipedia Domain)

両端 パネジェッツ・デ・ピニョネス(Panellets de piñones)

「パネジェッツ(Panellets)」はカステジャーノ語(一般的にスペイン語と呼ばれている言葉)では、エンピニョナードス (Empiñonados) と呼ばれています。松の実(ピニョネス-Piñones)をマジパンの周りにまぶしてあります

右から4列目 パネジェッツ・デ・カフェ(Panellets de café)

前述のスペイン農業・漁業・食品省のウエブサイト「伝統的特産品保証TSG(Traditional Speciality Guaranteed)」によると、アーモンドと砂糖のみのマジパンに挽いたコーヒーと焦がした砂糖を加えて茶色のコーヒー色に仕上げ、アイシングシュガーでコーティングした後、オーブンで焼きます。コーヒー豆を模した可愛い「パネジェッツ(Panellets)」もありますよ。

右から5列目 Panellets de almendra

こちらは、松の実の代わりにアーモンドをマジパンにまぶしたものです。

真ん中 Panellets de coco

マジパンにもココナッツが入っていて、周りにもココナッツをまぶしてあり、とんがり帽子のように先っぽを尖らせた形に作ってあります。

「パネジェッツ(Panellets)」は、カタルーニャ州・バレンシア州・バレアレス諸島等のお菓子なのでこの地方以外ではなかなか見つかりません。もし、これらの州に行かれる機会があれば、是非ご賞味ください。一口サイズのバラエティー豊かな「パネジェッツ(Panellets)」は、日持ちも良いものも多いのでお土産に買って帰るのもお薦めです。

焼き栗(Castañas asadas)

最後に紹介する「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」の日に食べるお菓子は「焼き栗」です。

11月は栗の季節です。この時期になると街角で焼き栗を売っていますが、栗のお祭りが各地で開催されます。スペイン北部で催される「マゴスト(Magosto)」やスペイン東部の「カスタニャーダ(La Castañada)」のお祭りが有名どころでしょうか。私が住むサラマンカでも県内各地でそれぞれの栗祭りを楽しんでいます。10月31日から11月11日の間に開催される所が多く、11月1日の「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」にも焼き栗を食べる習慣があります

もし、この時期にスペイン北部やスペイン東部を訪れる機会がある方は「マゴスト(Magosto)」や「ラ・カスタニャーダ(La castañada)」のお祭りに参加されると面白いと思います。

「焼き栗 (Castañas asadas)」自体はスペインの冬の風物詩で、クリスマス明けくらいまではスペイン各地の街角で焼き栗を売っているので、冬の間にスペインを訪れる方は、是非街角で焼き栗を買って食べてみてくださいね。木枯らしが吹く中、焼き立ての栗を食べるのはいかにもスペインらしく、スペインの秋から冬の楽しみの一つです。

最後に

「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」という11月1日前後の短い期間のみにしか売っていないお菓子もあるので、この時期にスペイン訪問される方は「諸聖人の日 (Día de todos Los Santos)」のお菓子を是非食べてみてください。旅の良い思い出になること間違いなしです!

参考

・欧州の「本物の美味しさ」を保証する認証制について興味のある方は、在日欧州連合代表部の公式ウエブサイトをご覧ください。

https://eumag.jp/issues/c1013/

・伝統的特産品保証(TSG=Traditional Specialties Guaranteed)、スペイン語では「ETG=Especialidad tradicional garantizada)」について興味のある方は、スペイン農業・漁業・食品省のウエブサイトをご覧ください。

https://www.mapa.gob.es/es/alimentacion/temas/calidad-diferenciada/etg/Panellets.aspx